【TABIZINE 現地特派員による寄稿】
スウェーデンの首都ストックホルムにある小さな水族館「Aqualia」では、毎年秋になると海から魚が里帰りすると言う不思議な現象が起こるってことを知っていますか?
ストックホルム中心地にありながら外国人観光客には知られていない小さな水族館では、まるで映画の「ファインディング・ドリー」のように、海から水槽に魚が返ってくるというのです。
自然豊かなユールゴールデン島にある地元の人に評判のとても小さな水族館。
営業しているのかな? と思える程ですが、たくさんの家族連れで賑わっていました。入り口から熱帯雨林のコーナーを抜けると、早速「ドリー」こと「ナンヨウハギ」がいます。
でも今回の主役はドリーではなく、「トラウト」という1.5メートルほどまで成長するサーモンの一種です。
毎年秋になると里帰りする魚
この水族館では毎年春になると、卵から孵化しある程度の大きさに成長した2才のトラウト海に放流しています。やがて数年の年月が流れた秋に、大きく成長したトラウトが生まれ育った水族館の水槽へ帰ってくるのです。
サーモンは産卵期になると記憶をたどり生まれた川へ戻ってくる事で有名ですが、このとても不思議な瞬間を目にする事が出来ます。
さて、どうやって水族館の水槽に戻ってくるのか不思議ではありませんか? その秘密は一見、排水溝のように見えるこの場所にありました。
これは、トラウトが生まれた場所へ戻ってくる習性を利用して作られた人口の川で、海から繋がっている水槽まで、一生懸命に段差を超えて行きます。
ゴール地点の水族館内の水槽では、トラウトを見る事が出来ました。
熱帯雨林の森で吊り橋渡る。個性的な展示
30分あれば充分に見学出来てしまう程小さな水族館ですが、実は独特の展示方法が採用されており訪れる人を驚かせています。
北海道の旭山動物園が導入して話題になった、動物の本来の魅力をイキイキと展示する「行動展示」が採用されており、アマゾン地域に住む魚のコーナーは熱帯雨林を再現した蒸し暑い部屋に、浅い水槽に魚が展示されています。
カメラが曇るほどの湿度ですが実際に動物が生きる環境を想像しやすく、吊り橋を渡りちょっとしたアドベンチャー気分を味わえます。
水中世界を体験できる水槽のトンネル
海の中にいるような気分になれる水槽の中のトンネルは、子供たちが大好きな場所。
頭が良く好奇心旺盛なサメ達は、子供たちの方へ泳いで来ます。
他にも動物達の餌タイムや水槽の下に潜れるコーナーなど、工夫が沢山されていました。
魚好きには堪らない?カフェテリア
徹底して魚との距離が近いこの水族館では、カフェテリアにも魚が泳いで入ってきます。
実はこの水族館のカフェにはテラス席があり、王領地でもあるユールゴールデン島の美しい景色を独占出来るちょっぴり贅沢な場所です。
館内にはスウェーデン版さかなクンの様な男性が、里帰り第一号のトラウトを嬉しそうに抱く写真が展示されていたのが印象的でした。
この小さな水族館が市民から愛されているのは、飼育員たちの工夫と努力の賜物なのです。
あなたもスウェーデンの小さな水族館を覗いて見ませんか?
住所 Aquaria Vattenmuseum AB Falkenbergsgatan 2 115 21 Stockholm
入場料 大人SEK120 3歳~15才以下の子供80 SKE
時間 10時―16時半
休日 月曜日
【ホームページ(スウェーデン語)】