長野市戸隠にある戸隠神社は、長野駅からバスで約1時間の日本最高峰の聖地のひとつです。戸隠山は、天照大御神が隠れた天岩戸が飛んできたとされる地で、かつては比叡山と並ぶ修験道の霊場でした。
そんな戸隠山には、奥社・九頭龍社・中社・火之御子社・宝光社の五社からなる戸隠神社があります。少し遠いイメージのある戸隠神社ですが、都内から日帰りで行くことも十分可能。そこで実際に日帰りで戸隠神社へ行ってきました。
朝一の新幹線に乗って長野駅へ
まず始発の北陸新幹線に乗って東京駅（6:16発）から長野駅（7:38着）へと向かいます。
長野駅から戸隠神社へはアルピコ交通株式会社が発行している「戸隠高原フリーきっぷ（2600円）」がお得です。このきっぷ一枚で長野駅から戸隠高原エリアへの往復料金、戸隠高原エリアの中での乗車料金（エリア内で何度でも乗り降りできる）、善光寺〜長野駅間の片道料金をすべてカバーできます。始発の新幹線に乗車すれば、8:27分発の戸隠高原行きのバスに余裕を持って乗車できるでしょう。
またアルピコ交通株式会社への行き方は、長野駅の善光寺口を出て、左手に歩いて行くとホテルメトロポリタンにぶつかります。そこからホテルに向かって右手に進んだ、道路を挟んだ反対側にあるので、迷うことなく見つけることができますよ。アルピコ交通株式会社のすぐ前が戸隠神社に向かう7番乗り場のバス停になっていて便利です。
まずは「宝光社」「日之御子社」へ。
苔むした灯篭、約270段の石段が風情のある「宝光社」
長野駅から最初に参拝したい「宝光社」へはバスで約1時間。バスを降りて、左手に歩いて行くと、鳥居が見えてきます。その鳥居をくぐると、目の前に風情のある杉木立に囲まれた石段が。気合を入れて、約270段ある石段をのぼっていくと、荘厳な社殿が現れます。
宝光社は天表春命（あめのうわはるのみこと）を御祭神とし、学問や技芸、裁縫、安産、家内安全、厄よけなどのご利益があるそうです。女性であれば一度は訪れたい神社だと言えますよ。ちなみに、石段をのぼるのがきついようなら、ゆるやかなのぼりの女坂から社殿に向かうこともできます。筆者はこの神社に参拝しただけで、気持ちがすっとしました。急な石段をのぼった甲斐があったのかもしれません。
樹齢500年を超える「結びの杉」がある「日之御子社」
次に向かったのは、「宝光社」から徒歩約20分の「日之御子社」。ひたすら上り坂を歩いて行くと、「日之御子社 」にたどり着きます。しかし、結構な坂道ですので、ほぼ1時間ごとに運行しているバスに乗車した方がいいかもしれません。筆者は歩いてしまいましたが、途中でバスに乗ればよかったかも？ と少し後悔しました。足が疲れてきた頃にやっと「日之御子社 」に到着。この神社は、天鈿女命（あめのうずめのみこと）を御祭神とし、芸能や縁結びのご利益があると言われています。
また境内には樹齢500年を超える「結びの杉」があり、他の4社とは少し違った雰囲気でした。古事記によると、天岩戸開きの際に岩戸の前で天鈿女命が舞い踊ったとのことなので、神聖な儀式が行われる神社なのかもしれませんね。さらに神仏習合の際も、一貫して神社だったそうなので、言葉は少し変ですが神社らしい神社といった雰囲気が漂っています。
次はいよいよ「中社」「奥社」へ！
樹齢800年を超える「3本杉」あり、周囲には蕎麦屋が点在する「中社」
「日之御子社」を後にし、次に向かったのは徒歩約20分の場所にある「中社」（筆者は頑張って歩きましたが、バス移動ももちろん可能）。ここには樹齢700年以上のご神木と、樹齢800年を超える「3本杉」、社殿右手裏には滝があり神秘的な雰囲気でした。天照大神が天岩戸にお隠れになった際、岩戸神楽（太々神楽）を創案した天八意思兼命（あめのやごころおもいかねのみこと）が御祭神です。そのため、学問や試験合格、商売繁盛のご利益があるとされています。
社殿右奥にある滝。近くに行ってみると、結構な水量で肌寒さを感じるほどでした。澄んだ滝の水を眺めていると、心が清められていくのを感じましたよ。
バス停の近くにある3本杉の一つ。偶然にも、この杉の付近で激しい雨が降ってきて、慌ててこの杉の下に入ると、雨宿りができ、守られている気分になりました。
鳥居を越えた瞬間、別世界へトリップ！新しい人生を切り開くパワーをくれる「奥社」
「中社」で参拝を済ませた後、いよいよ「奥社」へ。さすがに足が疲れてきたので、バスで「奥社」へ向かうことにしました。奥社の鳥居を抜けると、そこは別世界。足元は砂利道で、周囲は森、時折、ウグイスの美しい鳴き声が聞こえてきました。ぐんぐん歩みを進めていくと、約15分で随神門に到着。
随神門は茅葺き屋根の朱塗りの門で、左右には左大臣と左大臣が鎮座しています。ここが「奥社」までの中間地点です。
随神門を越えると、参道の景色が一変し、樹齢400年の巨杉が両脇にそびえ立っていました。ここは日本屈指の龍穴スポットとのことで、歩いているだけで力強いエネルギーを感じて、背中がゾクゾク。腕を見ると寒いわけでもないのに鳥肌が立っていました。
巨杉エリアを抜けると、ゆるやかなのぼりが、徐々に急になっていき、最後は大きな石段をいくつものぼることに。この石段は先が見えず、もう着くかな？ と思うと、カーブになっていてまた新たな石段が目に前に現れるを何度か繰り返し、まるで修行僧になった気分に。片道約2キロの奥社への参拝は想像以上にハードなものでした。
しかし、やっとたどり着いた奥社は神々しい輝きを帯びていて、先ほどの疲れが吹っ飛んでいきましたよ。奥社の御祭神は天照大神が隠れた天岩戸を神力でこじ開けた、天手力雄命（あめのたぢからおのみこと）で、開運守護・五穀豊熟・家内安全・諸災消除のご利益があると言われています。
最後に奥社から石段をおりたところにある九頭龍社も参拝。こちらは魔除け、虫歯、縁結びのご利益があるそう。虫歯が治るご利益って珍しいですよね。二度と虫歯に悩まされないよう、しっかり祈願してきました。
次は気になるおみくじ情報、蕎麦情報です！
当たっていてびっくり！数え年で引く珍しい御神籤（おみくじ）
戸隠神社の奥社のおみくじは、自分の数え年を伝え、神職の方が祝詞を唱えてから引いてくれる珍しいものでした。渡されたおみくじをさっそく読んでみると、思い当たることが書かれていて、びっくり！ ここまで的確なアドバイスが書かれたおみくじには、これまで出会えたことがありませんでした。300円と少々高めのおみくじですが、奥社に参拝したら、ぜひ引いてみることをおすすめします。
おまけ：人気の戸隠そば店「うずら家」に行ってみた
戸隠神社の五社巡りの途中で、中社のすぐ横にある人気戸隠そば店「うずら家」でランチをしました。「うずら屋」は午前10時30分から営業開始なのですが、開店15分前にはすでにお客さんがお店の前に10人以上いて、紙に名前を書いて、営業開始を待つことに。10時30分ぴったりにお店が開き、紙に書かれた名前を店員さんが上から順番に呼んで、お店に案内してくれました。
注文を済ませると、最初にテーブルにお通しとしてきゅうりの漬物が運ばれてきました。それを食べてそば茶を飲んで、待つこと約10分。筆者が注文した天ざるそば（1800円）が運ばれてきました。戸隠そばは5つに小分けされて盛られている「ぼっち盛り」が特徴的で、やや硬めで味わい深く、濃厚なつゆとの相性もバツグン。自らおろす天然わさびの香りが鼻に抜け、最高な味でした。天ぷらの方もサクサクとした歯ごたえで、どれも美味しくあっという間に完食してしまいました。戸隠神社にまた来ることがあったら、ぜひもう一度味わいたいと思うお蕎麦でしたよ。
都内から日帰りでも行ける戸隠神社は、「心機一転するのに最適な神社」だとも言われています。毎日に行き詰まりを感じている、新しいことがしたい、という気持ちが強いのなら、訪れてみるといいかもしれませんね。お土産を買うこと、北陸新幹線の指定席を往復で取ることを考えたとしても2万5千円あれば余裕で日帰り旅行ができますよ。
この神社を訪れた後、筆者は心が軽くなり、小さなことに悩まなくなりました。どうやら、さっそくご利益があったようです。
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