ベルギー、ドイツ、フランスに囲まれたヨーロッパの小国・ルクセンブルク。人口わずか57万人という小国ですが、実は世界でも指折りのお金持ち国家として一目置かれている存在です。
世界遺産のルクセンブルク旧市街をはじめ、旅先としても魅力たっぷりのルクセンブルクの秘密に迫ります。
一人あたりGDP世界一の富裕国
日本では「それどこ?」と言われてしまうことの多い国、ルクセンブルク。実際のところ、ルクセンブルクは人口わずか57万人、面積も神奈川県ほどしかないヨーロッパの小国です。ルクセンブルクと国境を接するベルギーやドイツ、フランスに比べると、日本での認知度は圧倒的に低いと言わざるをえません。
ところが、ルクセンブルクは20年以上連続で一人あたりGDP(国内総生産)が世界一。世界屈指の富裕国としてその名をとどろかせています。ちなみに日本の一人あたりGDPは世界22位。ルクセンブルクは人口が少ないために、GDPこそ大きな数字にはならないものの、居住者一人あたりが稼ぎ出す富は世界一なのです。
ヨーロッパを代表する金融センター
人口57万人のルクセンブルクが、どうやって世界でもトップクラスの豊かな国となったのか。その最大の要因は、ヨーロッパを代表する金融センターの座を勝ち取ったことにあります。
1960年代からルクセンブルクの経済を牽引していた鉄鋼業の不振を受け、ルクセンブルクは金融立国を目指す方向に舵を切りました。その政策が功を奏し、いまやロンドンに次ぐユーロ市場、ヨーロッパを代表する国際的な金融センターを有するまでに発展したのです。
首都のルクセンブルク市には海外からも多数の金融機関が進出しており、ユーロ圏における富裕層向けのプライベート・バンキングの中心地となっています。
世界遺産の首都・ルクセンブルク市
ルクセンブルクの首都は、国名と同じルクセンブルク市。ルクセンブルクの旧市街は「北のジブラルタル」の異名をもつ難攻不落の城砦都市。ペトリュス渓谷に守られた天然の要塞で、断崖と2つの川に囲まれた地形を生かして造られた街並みは、世界遺産に登録されています。
ルクセンブルク旧市街最大の見どころのひとつが、ノートルダム寺院。17世紀に創建、1930年代に再建された壮大な教会で、ルクセンブルクのジャン前大公とベルギーの前王女の場となったことでも知られています。
ルクセンブルクを代表する景観が、「ボック」と呼ばれる断崖からの眺め。川と城壁に抱かれ、数百年ものあいだ時を止めているかのようなルクセンブルク旧市街の絶景が楽しめます。
古城の風景が美しいヴィアンデン
「森と渓谷の国」と呼ばれるルクセンブルクでは、あちこちで自然と歴史的建造物が調和した絵画のような風景に出会えます。
そのひとつが、フランスの文豪ヴィクトル・ユーゴーが亡命中に滞在した場所としても知られるヴィアンデン。ルクセンブルク中央駅から鉄道で25~40分のエテルブルック駅で下車し、そこからバスでおよそ30分のところにあります。
街のシンボルが、9世紀から長い歳月をかけて建てられたヴィアンデン城。豊かな緑に抱かれ、小高い丘の上にたたずむその姿は息を呑むほど美しく、ロマネスク様式の部屋や騎士の部屋など、城内も見ごたえ十分です。
周辺国と組み合わせて旅行プランを
ルクセンブルクを旅行する場合、周辺国と組み合わせた周遊プランを組むのが一般的です。特に人気なのが、オランダ、ベルギーと合わせて3か国を周るプラン。オランダ・ベルギー・ルクセンブルクの3ヵ国は「ベネルクス」と呼ばれ、3か国をまとめたガイドブックやツアー、鉄道パスなども販売されています。
あるいは、フランスのパリから東に向かってルクセンブルクへ入り、ケルンなどの西ドイツの都市に抜けるルートもおすすめです。
知られざる「小さな大国」ルクセンブルク。周辺の大国に翻弄された歴史を持ちながらも、独自の地位を築くことに成功した国の姿を見てみたくありませんか。
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Haruna ライター
和歌山出身、上智大学外国語学部英語学科卒。2度の会社員経験を経て、現在はフリーランスのライター・コラムニスト・広報として活動中。旅をこよなく愛し、アジア・ヨーロッパを中心に渡航歴は約60ヵ国。特に「旧市街」や「歴史地区」とよばれる古い街並みに目がない。半年間のアジア横断旅行と2年半のドイツ在住経験あり。現在はドイツ人夫とともに瀬戸内の島在住。
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