カンボジアといえば、世界遺産のアンコールワットが思い浮かぶと思いますが、郊外にも魅力的な遺跡がいくつか存在します。近年、地雷の撤去が進んだり、国境紛争が終わり、観光できるようになった遺跡もあるのです。そこで人生で一度は訪れたい、郊外にある遺跡を3つご紹介。ピラミッドも登場しますよ。
まるで「天空の城ラピュタ」のよう、密林の中にあるベンメリア遺跡
シェムリアップの中心街から車で約1時間の場所にあるベンメリア遺跡は、映画「天空の城ラピュタ」のようだと人気の遺跡。しかし、この遺跡が発見される1990年代よりも前、1986年に「天空の城ラピュタ」は公開されており、モデル地というわけではなさそうです。
また、アンコールワットをしのぐ規模だと言われるこの遺跡は、地雷撤去後の2001年から一般公開されていますが、地雷が埋まっているエリアはいまだに見学することができず、一部のみ見学可能です。
約1000年前につくられた、この遺跡の魅力は密林の中にあり、崩壊が進んでいて、苔むしているところ。観光地化されていない神秘的な遺跡で、訪れる人の心を捉えて離しません。遺跡に続く道が舗装されておらず、しつこい物売りがいないのも、うれしいところでした。
遺跡には木造の足場があり、崩壊が進む回廊や経蔵跡などを眺めることができます。
回廊の一部に入ることもできました。乾季ですが、やや湿度があり、少しカビ臭かったです。いにしえのクメール人たちはこの神殿で、どのような祈りを捧げたのでしょう。想像力を掻き立てられます。
ベンメリア遺跡は、ところどころガジュマルなどの木が絡まっていて、まさにラピュタの世界。間近で見ると迫力があり、より神秘的です。
ベンメリア遺跡を訪れる人の数は、年々増えているとのこと。しかし、午前中の早い時間帯であれば、ほぼ貸切状態で、遺跡を見学できます。この遺跡では、アンコールワットのチケットは使えず、5USドルの入場料がかかりますが、一見の価値がありますよ。
次はフォトジェニックなコーケー遺跡です!
ピラミッドの上までのぼることができる、フォトジェニックなコー・ケー遺跡
ベンメリア遺跡から車で約30分の場所にあるコーケー遺跡は、約30の寺院遺跡や塔の遺跡からなる遺跡群です。シェムリアップ郊外の遺跡巡りは、ベンメリアまでという人も多いと思いますが、滞在日数に余裕があれば、ぜひ訪れたい遺跡のひとつ。
アンコール王朝時代、この遺跡が使われたのはたった数年とのこと。その後、長い間、放置されていて、崩壊も激しいです。また遺跡周辺の密林にはいまだに地雷が埋まっていますので、ガイドと一緒に訪れた方が安心かもしれません。
この遺跡の一番の見所は、ピラミッド型をしたプラサットトム寺院遺跡。この遺跡だけ見ると「メキシコのピラミッド?」と思ってしまいますよね。
ピラミッドの頂上までのぼることもできます。しかし、頂上に続く木の階段が途中で息切れするほど急! 足を踏み外すと、転落の危険も。歩きやすい履き慣れたスニーカーで行くことをおすすめします。
ピラミッドの上からは、カンボジアのジャングルを望めて、迫力満点。この遺跡の入場料は10USドル(アンコールワットのチケットは使えません)です。
次は絶景のプレアヴィヒア寺院!
カンボジア、タイの両方を眺められる、絶景プレアヴィヒア寺院
シェムリアップの中心街から車で約3時間。タイとの国境にはプレアヴィヒア寺院があります。この寺院は9世紀末につくられ、2008年にカンボジアで2つ目の世界遺産に登録されました。「天空の遺跡」と呼ばれるこの寺院遺跡からの景色は圧巻! 標高約500メートルの高さからカンボジアとタイの景色を望めます。
この寺院に向かうのには、麓で4WDの車もしくは、バイクに乗り換える必要があります。それだけ急なのぼり坂なのです。寺院遺跡の手前にはカンボジア軍が駐屯して、遺跡を守っています。というのも、この遺跡はタイとカンボジアの国境にあり、数年前まで武力衝突が起こっていて危険だったのです。現在は落ち着き、のんびりと遺跡の見学ができますよ。
こちらが遺跡の崖からの景色。野焼きの煙で少々霞んでいますが、素晴らしい景色でした。はるばるここまできた甲斐があったと感じましたよ。
プレアヴィヒア寺院に点在する遺跡は青空に映えて、どれも美しい。この遺跡はシェムリアップから離れていることもあり、観光客が少ないのも魅力。片道3時間と、行くのには覚悟が必要な遺跡ですが、一度見たら忘れられない絶景を拝めます。また、この遺跡の入場料は10USドル(アンコールワットのチケットは使えません)です。
遺跡巡りの帰り道で見えた夕日。カンボジアではプノン・バケン寺院から眺める夕日が有名ですが、田舎の道から見る夕日も綺麗でした。
カンボジアの郊外にある遺跡は、つくられた年代も異なり、それぞれ独特な存在感を放っていました。朝日鑑賞から多くの観光客が集まるアンコールワットの遺跡群とは異なり、静かに心ゆくまで遺跡を見学できますよ。今回、ご紹介した3つの遺跡をすべて巡れるオプショナルツアーもありますので、カンボジアに行く機会があったら、ぜひ訪れてみてくださいね。
[All photos by Ayami]