あなたは機内食が好きですか?
長距離フライトでは欠かせない機内食。近年ではどの航空会社も機内食の見直しに力を入れていますが、エコノミークラスを利用する誰もが「美味しい!」と記憶に残るほどの食事を提供できている会社は少ないのではないでしょうか。実は機内食があまり美味しくないと感じるのには、歴とした理由があったのです。
今回は、機内食が地上で食べる食事と比べて味気がないその理由と、長距離フライトをより快適にする機内食の選び方についてご紹介します。
地上と同じものを食べても味が違う?気圧と湿度と音の関係
地上で口にするものに比べて、機内食が味気なく感じるのには科学的な理由があります。通常の飛行機は高度1万メートルを飛行しています。高ければ高いところに行くほど気圧は下がりますが、飛行機内に空気を送り込み調整をすることで、私たちは飛行機の中でも地上と同じように過ごすことができるのです。
飛行中の機内の気圧は0.8気圧と、地上に比べて0.2気圧の差があり、この気圧差により人間の味覚は通常時と比べ約30%低下し、特に「塩味」と「甘味」が感じられにくくなるのです。
気圧の変化だけでなく、飛行機内の湿度も味覚に関連しています。飛行機内の湿度は20%以下になることが多く、乾燥しがち。喉や鼻が乾燥し嗅覚が鈍くなることで、地上で出されるものと同じものを食べても、味が薄いと感じてしまうのです。
さらには飛行中の機内は常にエンジン音で満たされています。この騒音が人間の味覚を鈍らせるという研究結果が、アメリカの医学博士によって証明されています。気圧、湿度、音の影響で、飛行機内では知らないうちに私たちの味覚が衰えているのです。
より水分量が多いものがベター!再加熱してもより美味しさを保てる食事を選ぼう
客の搭乗が始まってから機内食のサービスが始まるまでは時間があるため、機内食は配膳前に再加熱されます。この再加熱により、乾燥してパサパサになってしまう食材も多いのです。
機内食を選べる場合には、ソースがかかったものや煮込み料理など、より水分量の多いものの方が再加熱時の乾燥の影響が少なく、より旨味を閉じ込めることができます。麺類や米類は元々の水分含有量が少ないため、再加熱時に味や質感が落ちてしまうため、機内食として食べるにはあまりおすすめできません。
航空券を取るときに知っておきたい、食事が美味しい航空会社
飛行機という特殊空間の中で、味覚が鈍くなり、再加熱の問題があると分かっていても、機内食は長距離フライトの楽しみの一つでもあります。
航空券を予約する時には、チケットの価格や乗り継ぎの良さだけでなく、食事が美味しい航空会社という視点から航空券を比べてみるというのも一つの方法です。シンガポール航空、トルコ航空、オーストリア航空などは、エコノミークラスでも機内食が美味しいことで定評があります。
目的地に着くまでの空の旅をより快適にするために、食事が美味しい航空会社を比べてみるのはいかがでしょうか。
知っている人だけが得をする!スペシャルミールの存在
日本人の我々にとってはあまり馴染みがありませんが、世界には宗教上や真理上の理由から特定の食物を食べない方が多く存在します。そのような人のために用意されているのが、スペシャルミールと呼ばれる特別メニュー。航空会社によってその種類は異なりますが、ベジタリアンミールを始め、ヒンドゥーミール(豚、牛、魚を含まない)やイスラムミール(酒類、豚肉を含まない)など、様々なオプションがあります。
これらの特別メニューはチケットを購入後に選択することができ、機内では一般の機内食よりも先に配膳されます。また注文数が少ないため、通常の機内食よりも新鮮であることが多いようです。スペシャルミールは誰でも注文することができるので、出発前に予約をしておくと、より美味しい機内食を食べることができるかもしれません。
長いフライトの楽しみでもある機内食。飛行機内で起こる仕組みを知って、より味わい深い空の旅をお過ごしください。
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