世界の観光客数は増加を続けています。
国連世界観光機関(World Tourism Organization)によれば、 2017年には13億22百万人が旅行したそうで、これは前年比7%の増加。ちなみに、7%の増加が毎年続くと11年目には倍になるんです。
活況の観光業界ですが、世界のあちこちで、急増する旅行客数を原因とした問題が起きているようです。次の旅行の計画前に、注意すべきことをあらかじめチェックしておきましょう。また、問題のある都市と似ている他の旅先候補がないかも、考えていきたいと思います。
バルセロナでは旅行客が迷惑の種?!
LCCも多く乗り入れ始めて、旅行客が2012年以来25%と急増。そのために物価が急上昇して、市内に住むことができずに、郊外に引っ越さなければならなくなった家族も少なくないとのこと。「反旅行客団体」がデモを行うなど、穏やかではありません。また、旅行客に対する税金の導入や、旅行客数制限も検討され始めたそうです。
バルセロナもいいですが、スペイン第三の都市バレンシアもおすすめ。温暖な気候と、世界遺産の数々に、グルメをうならせる食事が魅力です。
イギリス・スコットランドのスカイ島は設備がパンク?
スカイ島はスコッチの蒸留所が点在する美しい島。スコットランドでは人気の観光地です。鉄道は走っていないので車が観光の足。観光客が増加したために、美しい自然の中には駐車場が増えてきました。また、公衆トイレの整備も望まれており、観光地としてきっちりと整備するためには30年かかるのではとも言われているほどです。以前よりも人々の日常生活はより気ぜわしくなっているようです。
スコットランドには他にも、アイラ島、マル島、ホイ島、アイオナ島など、より落ち着いた旅を楽しめる島が点在しています。忙しいスカイ島を避けて、きっと静かに文化や自然に触れることができますよ。
ベネチアは「危機にさらされている世界遺産」に登録!?
イタリアの水の都ベニスは、ユネスコの「危機にさらされている世界遺産のリスト」に載っている54の世界遺産の一つです。このリストに載っている世界遺産は、戦時下の国や政情が不安定な地域にあるものほとんど。ベネチアは先進国にありながら、世界遺産の維持が難しくなっているというのです。地中海のクルーズ船から、一気に大勢の旅行客が上陸するようになったことが原因の一つです。特にこの町の北部の人気地域では、旅行客の制限が検討されています。
ベネチアで人が多すぎると感じたら、すぐそばのジュデッカ島(写真↑)pがおすすめ。圧倒的に静かで、この島側から海越しに見るベネチアも美しい姿です。
クロアチアのドブロブニク、イタリアのチンクエ・テッレ、ギリシャのサントリーニ島は旅行客数を制限!
この3つの観光地でも、地中海やアドリア海のクルーズ船を利用した観光客が激増してきたのですが、世界遺産を守るためにも、旅行者の数を制限するようになりました。
最近特に人気のクロアチアのドブロブニク。アドリア海に面した美しい小さな城壁に守られた港町は旅行客であふれていました。当時は一日に1万人以上も訪れることもあったのですが、今は一日4000人に制限されています。
イタリアの5つの小さな港町からなるチンクエ・テッレ。こちらは、年間150万人までに制限。一定の数になると、道路が封鎖されるそうです。
ギリシャのサントリーニ島は鮮やかな建物が美しい島。こちらでは一日8000人までに制限されています。ピークの時は18000人でした。
美しい港町なら、他にもありますよ。クロアチアならドブロブニクに近いツァヴタット。イタリアならポルトヴェーネレ、ギリシャなら魅力的な島が数えきれないほどあります。
アムステルダムの対策が先進的。
アムステルダムも長く人気の観光地。世界中からやってくる観光客にポジティブな対策を講じてきたんです。
例えば、「ザンドボールト」はアムステルダムから30㎞も離れていない美しいビーチ。ここの名前を「アムステルダム・ビーチ」と変えて、かつアムステルダムの交通カードの対象地域に入れることによって、もっと旅行客にアピールするようにしました。また、「Discover the City」というアプリを配布して、様々な観光名所等の混雑状況を、リアルタイムに知らせています。また、AIを利用したFacebookのメッセンジャーをつかった情報共有も開始。街から観光客を締め出すより、クリエイティブで前向きな取り組みが嬉しいですよね。今後が楽しみです。
その他の地域
インドのタージ・マハル、ペルーのマチュピチュ、ガラパゴス諸島でも、入場制限が導入されています。また、タイでは観光客が上陸できないと指定された島も増加。世界各地で、観光客増加への対策がとられるようになってきました。注意してくださいね。
また、ブータンでは海外からの旅行客に対して、旅行の「公定料金」が国によって決められています。その公定料金、一人旅の場合は1日290米ドル(時期により240米ドル)。税金、宿泊、食事、ガイド、国内移動費用、トレッキングツアー費用などが含まれているとはいえ、だれでも気軽に旅行できる感じではないですよね。
日本でも、たとえば京都では急増する外国人観光客に満足してもらえるよう対策を講じているようです。ますます増える旅行客。東京オリンピックに向けて、日本も他人事ではなさそうです。
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