
スペインにケルト文化圏があるのをご存知でしたか?北西の角に位置し、ポルトガルと大西洋に挟まれた辺境の地。ガリシア州は雨が多く緑豊かな土地ということもあり、太陽がギラギラと輝く他のスペインの地域とはまるで違うところだと言われています。
ケルト文化が今なお息づく土地

ケルト民族が中央ヨーロッパからガリシアの地にやってきたのは紀元前のこと。もっと前から住み着いていた北アフリカ系のイベロ族と融合し、ケルト・イベロ人となりました。その後ローマ帝国の支配でケルトの言葉の多くが失われました。現代ガリシア語の中に残ったケルトの言葉は、ケルトの神の名前が付いた都市名ルーゴなど、数十語と言われています。
さて、ケルト連盟というアイルランド、スコットランド、ウェールズ、マン島、コンウォール、ブルターニュで構成された政治的かつ文化的な組織があります。ガリシアには一旦加入したものの一年で離脱となったという過去があります。ケルト人は一つの民族ではなく、ケルト語を話す人々のこと。つまり、ケルトのアイデンティティの中心は言語なのです。ガリシアが入ったらその基準がおかしくなるという反対が多かったのですね。
それでも、文化的にケルトのルーツを思わせるものがいくつもあります。病気を治すために狭い岩の間をよじ登る風習、数字の9を大切にすること。中でも特徴的なのはこちらでしょう。
バグパイプ「ガイタ」

ケルトと言えば、バグパイプ。ガリシアでは、「ガイタ」と呼ばれるバグパイプが民族音楽の中心にあります。オーレンスという市だけでも5000人以上の演奏者が登録されているという規模です。ガリシアの民謡には、アイリッシュ・ジグにそっくりなものもあるそうです。
古代ケルト人の住居跡「カストロ」

紀元前600年頃から、古代ケルト人は丘の上に暮らしはじめました。石を積み上げた住居の跡はカストロと呼ばれます。この画像は、サンタ・テクラという山の中腹にあるもの。160ほどの住居跡が残っています。砦としての機能があり、等身大の石像を置いていたこと、これがケルト文化とリンクしていると言われています。またここからは、渦巻きなどケルト特有の装飾模様がついたブローチ、水差しなどが出土しています。
ガリシア地方の食べもの
このように、一般的なスペインから離れたガリシア。ここではどんなものが食べられているのでしょうか。

ガリシアは、西と北を海に囲まれています。

ポルトガルとの国境近くには、こんな美しいビーチのあるシエス諸島が。
海に囲まれているということは、当然、海の幸に恵まれているということ。主要都市のビーゴには、ヨーロッパ最大級の漁港があります。ガリシア州の漁獲量は、スペイン国内の四分の一を占めます。

リアス式海岸からは、ムール貝、海老、カニ、魚などが獲れます。リアス・バイシャスの極上白ワインと一緒にいただけば格別です!

有名なタコのガリシア風。タコを茹でて、パブリカ、塩、オリーブオイルなどシンプルな味付けでいただきます。
内陸ではガリシア牛が知られます。肉を使ったものと言えば、コシードが人気です。牛、豚、鶏、豆、野菜を煮込んだこってりしたポトフのようなものです。

そして、スペインを代表するデザートが、タルタ・デ・サンティアゴという十字架モチーフのアーモンドケーキ。
知るほどに、その独特さを味わいに行きたくなるのがガリシアです。
参考
[VAMOS]
[ブログ 百聞は一旅に如かず]
[acueducto]
[The Economist]

あなたが知りたかったことが、この記事で参考になりましたか?
Shio Narumi ライター
イタリアはフィレンツェとタオルミーナの料理留学、イギリスはウエストン・スーパー・メアとケンブリッジの花留学を経て、現在はロンドンと神奈川を行ったり来たり。飛行時間の大幅短縮が実現するよう、心から科学の進歩を願う水瓶座。
【世界グルメクイズ6】名物の写真から推察!ここはどこの国でしょう?
Jan 15th, 2022 | Nao
まだまだ海外に行きづらい今。こんなときは世界各地の写真を見て異国情緒を味わうのも一興かもしれません。今回は、前回好評だった「グルメ写真」を見て国を当てるクイズを再び出題! 見た目やヒントから推察して、どこの国なのか想像してみてください。
美食の国・スペインで絶対に訪れたいレストラン4選を現地ルポ【スペイン・バ
Jan 13th, 2020 | ラサネン優子
スペイン・バルセロナといえば、灼熱の太陽と海、美味しい食とワイン、ガウディ建築と芸術の街で有名ですが、今回はバルセロナの食に注目して絶対訪れたいレストランを4つ厳選しました。旧市街の地元の人に愛される老舗バルから、気軽に立ち寄れる市場のバル、ちょっと個性派の隠れ家的タパスバル、絶景地中海が見渡せるシーフードレストランまで一挙にご紹介します。
パエリア発祥の地スペイン・バレンシア州で地元民がすすめるレストランを現地
Aug 28th, 2019 | minacono
スペイン料理の中でも有名なパエリア。お米の産地でもあるバレンシア州が発祥の地と言われています。本場の美味しいパエリア食べたい!と、地元の人がおすすめしてくれたスペイン料理のレストランへ。スペインならではの他のメニューも併せて紹介します。
本場サンセバスチャンでバスクチーズケーキ食べ比べリポート
Aug 8th, 2019 | 倉田直子
日本でもバスクチーズケーキが流行っていますが、発祥とされるスペイン北部の「美食の街」サンセバスチャンにある「LaVina(ラ・ビーニャ)」をご存知ですか?今回は“いくらでも食べられてしまう”と評判の老舗に加え、隠れた名店「Pasteleria Otaegui(パステレリア・オタエギ)」もご紹介します。さて、あなたはどっちがお好みですか?
スペインワインといえばリオハ!州都ログローニョの名物タパスを現地ルポ
Aug 6th, 2019 | 鳴海汐
ワインで知られるリオハ州に来たら、やっぱり気になるのはワインが飲めるスポットです。トリップアドバイザーを見ると、州都ログローニョの観光スポット人気ナンバーワンは、バルが集うラウレル通り(Calle Laurel)。ラウレル通りを中心に、ワインと名物タパスを楽しみます!
スペイン・バスクの食が見える!庶民派スーパーでスペースを割かれていた食品
Aug 3rd, 2019 | 鳴海汐
旅先のスーパーに立ち寄るが大好きな人は多いのではないでしょうか。広いスペースを占めている食品は、その地域の食文化で大きな役割を果たしているもの。たとえば、今回訪れたスペイン・バスクのスーパーでは、ハムやホワイトアスパラガスのコーナーが目立っていました。
考えた人天才!スペイン・バスク「ビルバオ」で組み合わせの妙を感じるタパス
Aug 2nd, 2019 | 鳴海汐
グッゲンハイム美術館で知られる北スペインのバスク「ビルバオ」は、芸術の街だけあって、バルでは趣向を凝らしたタパスがいただけます。スペイン屈指の人気バルで味わう高級イベリコ豚の生ハムやフォアグラを使ったメニューを中心に、他のバルでのタパスや朝食メニューをご紹介しましょう。
やっぱり魚介!スペイン・バスクの美食の街「サン・セバスチャン」のタパスを
Jul 30th, 2019 | 鳴海汐
海外旅行の楽しみのひとつは「食」でしょう。今回は、スペイン・バスクの美食の街「サン・セバスチャン」を訪れたTABIZINEライターが、タパスを食べ比べ!「ホタルイカ」「うに、いわし」「たこ、アーティチョーク、牛肉」「エビ」が美味しかったお店を厳選してご紹介します。
「世界一の美食の街」サン・セバスチャンで実食ルポ!お一人さまもウエルカム
Jul 28th, 2019 | 鳴海汐
旅中に、正直一度は食したい「コース料理」。今回は、”世界一の美食の街”と称されるスペイン北部の街「サン・セバスチャン」を訪れた筆者が出会った、本当に美味しかったレストランをご紹介。お一人さまでも行きやすい人気店、そのお味は?
いくらでも食べられる!バスクチーズケーキ発祥の店「La Viña(ラ・ビ
Jul 17th, 2019 | 鳴海汐
今では、都内でも食べることができるようになったバスクチーズケーキですが、やっぱり発祥と言われる「La Viña(ラ・ビーニャ)」のお味が気になりますよね。今回は、“いくらでも食べられてしまう”と評判のバスクチーズケーキを求めて、スペインを実際に訪れてみました。スフレのようにトロトロで柔らかい、その食感を現地からレポートします!