オーストリアの「ヤウゼ」は午後のコーヒータイム!
日本には10時と3時の「おやつ」というものがありますが、オーストリアでは午後のコーヒータイムのことを「ヤウゼ」と呼ぶそうですよ。ヤウゼではコーヒーを飲むのが定番です。そしてスイーツは必須!どうせなら、おばあちゃんが焼いてくれるような懐かしいケーキがいいなぁという希望を叶えてくれるお店がウィーンにありました。
おばあちゃんたちが焼くケーキがおいしいカフェ「フォルペンション」
(c) Vollpension
「フォルペンション」は「年金満額」といった意味の造語。ちょっと物々しい響きですが、ここはOma(おばあちゃん)たちがスイーツに料理に腕を振るうカフェなんです。
お店に入ってみれば、いろいろなデザインのかわいいソファがちょうどいい距離に置かれていて、壁にはたぶんおばあちゃんが若かったころの写真や、ノスタルジックな絵がかかっています。
さっそく出てきてくれたのはおじいちゃんのウェイターさん。今年76歳になるそうです。そして、すぐそばのテーブルを囲んだソファには若い男女のグループが楽しそうに「ヤウゼ」を楽しんでいます。
カフェ・フォルペンションの人気の秘密はほんわかコミュニケーションと社会貢献!?
一番奥のキッチンからすぐのカウンターに、忙しく働くおばあちゃんがいました。若い世代の店員もいますが、主役はやっぱりおばあちゃん。それにしてもウィーンのおばあちゃんたちは、かなりおしゃれで可愛いんです。そしてもちろん料理のプロフェッショナルです。
カウンター横の古いブラウン管を使ったオブジェの中には、かわいい陶器のおばあちゃんが!なんとなく懐かしい気分になります。
このカフェ、最初は不定期に開催されていたイベントだったそうです。お年寄りと若い人たちが対話を楽しめる機会を作ってみたいというのがきっかけで始まりました。今では店舗を構えて、お年寄りが働く場所を提供するという社会貢献にもなったそうです。
お客さんは若い人たちからご老人世代までいろいろです。おひとりさまもおじいちゃんと何やら楽しそうに話していました。外のテーブルもお客さんでいっぱいですから、何人かで行くなら予約をしたほうがよさそうです。
それにしてもほんわかした雰囲気を感じるのは、みんなの話し声が心地いいせいかもしれません。スマートフォンに集中している人がいないんです。みんな誰かと楽しそうに話をしていたり、食べ物を堪能していたりといった様子でした。
何しろ素朴で美味しいケーキ!
季節のフルーツを使ったケーキに、地元のチーズを使ったチーズケーキ。ふっくらとしたシンプルなものに、チョコレートたっぷりのケーキ、それにクリームを乗せたパイ。何人か一緒ならたくさん頼んでシェアしたいですね。サイズが小さめなのも嬉しいです。それにウィーンにしては甘さも控えめのようです。
さて、ヨーロッパの人たちはよくコーヒーを飲みますが、オーストリアの人たちも昔からカフェ好きでコーヒー好き。一人当たり1年にコーヒーカップ600杯相当の豆を消費するそうです*。ちなみに日本人は225杯ですからなんと3倍近くになります。
そして店内のウォーターサーバーには「ウィーンの水」が。ウィーンの水道水はアルプスからの天然水。ミネラルウォーターをシャワーにも使うような贅沢な毎日です。これもコーヒーがおいしい理由の一つですね。
ヴォールペンションの目印はおばあちゃんのイラストと、お店の前の花壇につながれた陶器のブルドッグ(こちらはいつもあるかどうかは不明)です。
周りにはこだわりのローカルデザイナーのアパレルや、社会復帰を目指す人をサポートするファッションガジェットのお店や、製菓用品とレシピ本、料理本専門店に、オーガニックの食品店やコスメのお店が点在していて、散策も楽しい地域です。
月~土 9:00~22:00
日 9:00~20:00
住所|Schleifmühlgasse 16, 1040 Wien, オーストリア
電話|+43 1 5850464
https://www.vollpension.wien/
*日本のコーヒーカップ1杯分に一般的に使われる15gで計算しています。
全日本コーヒー協会 http://coffee.ajca.or.jp/data
【今回のウィーン特集で紹介しているスポットのマップ】
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