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日本が生んだ発明は世界のスタンダードへ!点字ブロックの知られざる歴史

Posted by: Yoko Nixon
掲載日: Nov 17th, 2018.

道を歩いていると何気なく目にする点字ブロック。視覚障害者の方が足裏や白杖の先端をつかって地面の触感を認識し、安全に歩行ができるようにサポートするための点字ブロックが生まれたのは、実は日本だったということを知っていますか?その知られざる歴史を紹介します。

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【日本発祥特集】日本が生んだ発明は世界のスタンダートへ!点字ブロックの知られざる歴史
日本発祥の意外なものをご紹介する「知られざるジャパンクオリティの世界へ。“日本発祥の意外なもの”」特集。今回は点字ブロックについて。

道を歩いていると何気なく目にする点字ブロック。視覚障害者の方が足裏や白杖の先端をつかって地面の触感を認識し、安全に歩行ができるようにサポートするための点字ブロックが生まれたのは、実は日本だったということを知っていますか?

歩行者の多い地域や電車、地下鉄などのプラットフォームでも見かける点字ブロックは、今や世界のスタンダードとして広く認知されています。今回は日本が生み出した思いやりの発明品、「点字ブロック」について、その知られざる歴史を紹介します。



岡山の発明家の元に訪れた運命の出会い

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点字ブロックを考案したのは、1960年代初頭岡山県岡山市で自営業を営むかたわら、発明家としても活躍していた三宅精一という男性。三宅氏は発明品の中でも特に交通問題に関連のあるものに興味を持ち、数多くの特許も取得しました。

ある日白杖を持った視覚障害者の人が歩道を横断しようとする際に、車が勢いよく目の前を走り去るという危険な場面を目にした精一氏は、「視覚障害者の安全な歩行」という課題について考えるようになりました。

同じ頃無類の動物好きであった精一氏と弟の三宅三郎氏(一般財団法人 交通試験研究センター理事長)の元に、当時飼っていたセントバーナードの仔犬が生まれました。その話を耳にした盲人福祉の先覚者、岩橋英行氏は犬の訓練士を三宅邸に送ったのです。セントバーナードを通じて、三宅兄弟と同じく動物好きであった岩橋英行氏との家族ぐるみの付き合いが増える中で、精一氏は視覚障害者のことを熱心に語る岩橋氏に感化され、点字ブロックの構想を育てていきました。


点字ブロック誕生後も平坦ではなかった普及への道のり

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岩橋氏の影響を強く受けていた精一氏は、「視覚障害者が人間としての自立をするために、単独安全歩行を支えるシステムを日本全国に導入する」という目標を掲げ、残りの人生をかけて追い求める決心をします。

精一氏のアイディアを形にする大役を担ったのは、当時建築会社に勤務していた弟の三郎氏でした。ここから三宅兄弟による、壮大なプロジェクトが始まります。

当時から「点字○○」という言葉は視覚障害者を対象としているという考えが普及していたため、突起物をつけたコンクリートブロックは「点字ブロック」と命名されました。

記念すべき点字ブロック第1号は、1967年、岡山県立盲学校の近くの横断歩道に設置。これは日本初はもちろんのこと、世界でも初めての点字ブロックでした。誕生間もない点字ブロックは、世界各国の専門家からも高い評価を得ましたが、当時の日本は高度経済成長の真っ只中。世界でもトップクラスの経済大国にのし上がった当時の日本は経済の発展が第一で、福祉制度を国をあげて支えていくという考えには至りませんでした。


ようやく日の目を見た点字ブロックと商業主義のジレンマ、発案者の死

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初の点字ブロックが設置されてから3年後の1970年、三宅兄弟の元に東京都高田馬場一帯に点字ブロックを採用したいとの連絡が舞い込みます。

周辺は日本盲人センターや日本点字図書館などの盲人施設が多く、東京都は同年、高田馬場駅東側一帯を「交通安全モデル地区」に指定し、都道府県レベルでの初のプロジェクトを立ち上げたことにより、その後点字ブロックは地方都市へも広がっていきました。

1973年にはオイルショックの影響でそれまでの高度経済成長にストップがかかり、政府もようやく福祉に対する予算を作るようになったことで、点字ブロックの普及はさらに拡大しました。

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しかしその一方で点字ブロックの類似品が出回るようになり、利益追求のために健常者用に開発されたものを盲人用に流用したり、デザインを優先したりと、当初の目的である「視覚障害者の安全歩行」を妨げる悪質な商売が横行しました。

そんな中、本来の役目を果たす「点字ブロック」の研究を重ね、世界へ広げようと邁進していた点字ブロックの発案者である三宅精一氏は、志半ばにして急性肺炎を患い帰らぬ人となってしまいます。


三宅兄弟が生み出した点字ブロックは世界のスタンダードへ

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精一氏の意志を受け継いだ弟三郎氏は、視覚障害者にとって本当に必要な点字ブロックの研究と発表を続け、ついに2001年、点字ブロックは三郎氏を含めた委員会監修の元、日本工業規格(JIS)によって形が規定されました。

三宅精一氏発案の元、弟の三郎氏と二人三脚でJIS化まで漕ぎ着けた点字ブロックは、現在も各自治体の条例にしたがって設置され続けています。さらに2012年には点字ブロックの国際規格は日本のJISに基づいて定めると決定され、三宅兄弟が生み出した点字ブロックは世界のスタンダードとなりました。視覚障害者の安全歩行を支える仕組みを作りたいという三宅兄弟の熱い気持ちが、今では世界の人々を導く指針となっているのです。

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日本では今や全国各地至る所で点字ブロックを目にします。点字ブロックの存在が当たり前になってきた今だからこそ、点字ブロックがそこに設置されている意味も、今一度考える必要があるのではないでしょうか。

点字ブロックの上に駐車、駐輪などをしたり、荷物を置いたりすると、視覚障害者の人は道を塞がれてしまいます。また点字ブロック上に置かれているものに躓いて怪我をしてしまったり、白杖を折ってしまったりというトラブルも日常的に起きています。

視覚障害者の方が安心して歩けるように、健常者が取るべきマナーも改めて考え、お互いが過ごしやすい環境を整えることが、日本のさらなる社会福祉の発展につながるのではないでしょうか。

『【特集】知られざるジャパンクオリティの世界へ。“日本発祥の意外なもの”』では、この他にもいろいろと日本発祥の意外なものをご紹介しています。ぜひチェックしてみてくださいね。



参考
[社会福祉法人 日本盲人会連合]
[(一財)安全交通試験研究センター]


[All Photos by shutterstock.com]

Yoko Nixon

Yoko Nixon ライター
高校時代初めてアメリカのテキサス州に留学してから、縁あって大学もそのままテキサスへ。帰国後リーマントラベラーとして暇を見つけては世界各国を旅し、旅と写真の面白さにハマる。現在はアメリカのアーカンソー州在住。目先の目標はアメリカ全州を制覇することです!


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