Photo by Emma Jönsson/Stadshuskällaren
ノーベル授賞式が今年も執り行われました。日本からは本庶佑(ほんじょたすく)さんに医学生理学賞が授与されました。さてその晩餐会ではどんな料理が並んだんでしょう?
12月10日ストックホルムでノーベル授賞式開催!
ノーベル賞の授賞式は、スウェーデンの首都ストックホルムのコンサートホールで執り行われます(ノーベル平和賞だけは、お隣の国ノルウェイのオスロ市庁舎で行われます)。授賞式後に、ストックホルム市庁舎に移動。ストックホルム・セントラルステーションからも歩ける距離で、メーラレン湖のほとりにある建物です。
晩餐会が行われるのは、こちらの「青の広間」。床に敷かれた青いシェルメイド産の大理石が美しく、そしてかなり広い体育館のような空間です。もともとはレンガ壁も青くしようという計画だったのですが、「意外にレンガもいいんじゃない」と言ったかどうかは定かではありませんが、そのままにすることになったそうですよ。
2018年の晩餐会はチャーとビーフとリンゴ!
さぁ、ではさっそく今年のお品書きです。このお品書きは晩餐会が開催されてすぐに発表されました。
• 軽くベイクしたアークティック・チャーをザリガニソースで、ディルの実の香りを付けた玉ねぎ、軽くスモークした鱒子、クリスピーポテトとウォータークレソンのフォーム
• アンズタケのクリームとマッシュルームバターでベイクした根セロリ、スウェーデン蕪とローリエのクリーム、牛肉塊のスローロースト脊椎のクラスト添え、スモークした仔牛の肉汁、ジャガイモとポロネギのテリーヌ
• リンゴのメドレー、カラメライズしたオステルレン地方のフリーダ種リンゴ、リンゴのソルベ、バニラカスタード、キャラメルソース、オーツクラム
これにワインがペアリングされてます。
【前菜】極北のチャーって何?
前菜に登場したチャーは川魚で、スウェーデンでも北方に生息するマスやサーモンの仲間です。身が細かく繊細で、その組成はイワナに少し似ています。上の写真はチャーをほんの少しだけスモークしたものです(今回の晩餐会の料理ではありません)。
ザリガニはスウェーデンのソウルフード。これをソースにしたんですね。それと軽くスモークしたマスのタマゴも気になります。添えられたウォータークレソンのフォームはふわっと空気を含ませたものです。
【メイン】ローストビーフを塊で!アンズタケと根セロリって?
ローストビーフと言うと大きな塊をスライスしたものが普通ですが、今回はゆっくりと低温でローストされた塊がサーブされたようです。
スウェーデンにはおいしいものがたくさんありますが、ビーフもよく食べられます。上の画像はスェーデンの庶民の料理「Biff Rydberg」サイコロ上のビーフを焼いてなんとウスターソースで味をつけるという、簡単にできるもの(もちろんこの画像は参考でノーベルディナーのものではありません)。
アンズタケは中央から北ヨーロッパの秋に取れるキノコの一つ。ヨーロッパの三大食用キノコの一つです。アンズの香りがするのでこの名前が付いたそうです。日本でもたくさん自生しているようですが、あまり食べないとのこと。食べてみると癖もなく、いろいろな料理に合いそうです。今回はこれをクリームにして、マッシュルームの香りをのせたバターと一緒に使ったんですね。
根セロリは「セルリアック」。こんなに大きく丸いセロリの根です。日本で一般的なセロリとは種類が違うそうです。ヨーロッパではピューレにしてソースにすることが多いそうです。
【デザート】リンゴづくし!オステルレンってどこ?
リンゴをお砂糖でカラメライズしたら、リンゴの甘酸っぱさが際立っておいしいでしょうね。オステルレンはスェーデン南部の地方です。小ぶりのリンゴのようです。たぶん温かくサーブされたと思います。
それに合わせて、リンゴのソルベ。こっちは冷たいので、同じリンゴの料理ですがコントラストが楽しかったと思います。オーツクラムは、オーツ麦のフレーク状のものですね。香ばしさが加わって口当たりにも変化が出たと思います。
ノーベルディナーを食べられるレストラン!
Photo by Emma Jönsson/Stadshuskällaren
ストックホルム市庁舎に併設されたレストラン「Stadshuskällaren」はスカンジナビア料理のレストラン。そして、ノーベルディナーを楽しめるお店です。過去のノーベルディナーも提供されているようです。今年のノーベルディナーも、まもなくメニューに載ります。
住所:Stockholms Stadshus, Hantverkargatan 1, 105 35 Stockholm
電話:+468 – 586 218 30
ランチ:月-金 11:30~14:30
ディナー:水-土 17:00~23:00
http://www.stadshuskallarensthlm.se/en/
市庁舎の黄金の間もお忘れなく!
青の間から階段を上がれば、黄金にきらめく「黄金の間」。いまでは3000人もの招待客があるノーベル賞の晩餐会ですが、人数がまだ少なかったころにはこちらが使われていたそうです。
ノーベル賞にまつわるトリビアは、過去記事『ノーベル賞晩餐会と同じアイスクリームが食べられる「ノーベル博物館」』『日本の「ノーベル街道」って知ってる?実にノーベル賞受賞者5人のゆかりの地』などもぜひチェックしてみてくださいね。
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