近年、外国人が日本や日本人を称賛するTV番組が人気を集めていますが、日本にやってきたヨーロッパ人が見つけるのは、日本のいいところだけではありません。あまりポジティブではない類の驚きや、「それはちょっとどうなの・・・」と思う文化の違いに直面することも。ヨーロッパ人が思わず引いてしまう日本や日本人の特徴7つをご紹介します。
子どもっぽいセンス
日本人のファッションや雑貨のセンスは、ヨーロッパ人には時として子どもっぽく映るようです。特に驚かれるのが、大人ですらキャラクター雑貨を持ち歩くこと。
ヨーロッパでは、キャラクターグッズは子どもと一部のオタクの専売特許。ビジネスバックにキャラクターのストラップをぶら下げているサラリーマン、愛車を大量のぬいぐるみで飾っている女性・・・日本では珍しくもないこうした光景は、大人がキャラクターグッズをもつという習慣のないヨーロッパ人には奇異に映ります。
自治体や省庁も含め、あらゆる日本の企業や組織が制作しているオリジナルキャラクターも「えっ!?」と思わせる要素のひとつ。「馬鹿馬鹿しい」と切り捨てるか、「日本にはキャラクターがいっぱいあって楽しい」と感じるかは、ヨーロッパ人でも反応が分かれるところではありますが・・・。
活き造りなどの残酷な調理法
魚などを生きた状態でさばく「活き造り」は、日本の食文化のひとつであり、日本人には「新鮮さの証」と喜ばれることも多いもの。魚介類を生きたまま食べる「踊り食い」も同様ですね。
ところが、ヨーロッパ人は活き造りや踊り食いなどを「残酷」と感じて拒否反応を示す人が少なくありません。ヨーロッパには動物愛護の意識が高い国が多く、スイスでは生きたままロブスターを茹でることが禁じられているほか、ドイツでも必要以上に生き物に苦痛を与える調理法を禁じています。
ヨーロッパ人を日本料理でもてなそうと考え、生き造りを紹介したら、逆に不快感を与えてしまう可能性があるので要注意です。
ポルノが目につく場所にある
「日本人は真面目で保守的」と思っているヨーロッパ人にとって、ポルノが誰の目にもふれる場所にある日本の風景は少々ショッキングなもの。先日、コンビニ各社が成人誌販売を中止するニュースが流れましたが、コンビニの書棚に成人誌が並んでいるのが日本の日常風景でした。
ヨーロッパでも、アダルトグッズが堂々と宣伝されていたり、ガソリンスタンド併設のコンビニで成人誌を扱っていたりするケースがないではありませんが、男女の裸やあられもない姿が子どもの目にふれる場所に置いてあるということはめったになく、ポルノが垂れ流しになっている日本の現状に疑問を感じる人も少なくありません。
日本を訪れた外国人のなかには、「コンビニに成人誌が並んでいる様子を見て、日本が嫌いになりかけた」という声も。一部のコンビニでは、日本のイメージダウンを防ぐため、成人誌の表紙をカバーするといった対策もはじまっています。
コンビニの成人誌だけでなく、電車内などでポルノの載っている雑誌や新聞を無造作に広げる日本人男性に嫌悪感を抱くヨーロッパ人も。一部の日本人には、「見せるべきでない人に見せない」「見たくない人に見えないよう配慮する」という意識が欠けているのかもしれませんね。
軍隊的な規律
日本の職場、特にサービス業の場では、就業時の朝礼などが習慣化しています。また、新入社員教育がスパルタ合宿という会社もありますね。
日本に観光旅行にやってきた外国人がそうした光景を目にすることはあまりありませんが、たまたま開店前の店やテレビなどでそうした現場を目撃すると、「軍隊っぽい」と驚いてしまうヨーロッパ人が多いようです。
一般的に、ヨーロッパではサービスの現場でもスタッフ一人ひとりの人格が大切にされるため、「お客様に奉仕する」という考え方は浸透していません。マニュアル的な接客用語をスタッフに暗唱させるという習慣もないため、日本の朝礼風景が奇異に感じられるのです。
仕事や会社のために頑張りすぎる
よくいわれるのが、「日本人は働くために休み、ヨーロッパ人は休むために働く」。ヨーロッパ人の多くは、プライベートな時間や家族が最優先で、仕事はあくまでもそれらを守るための手段と考えています。
ワーカホリックのような人も稀にいますが、基本的には、プライベートが仕事に侵食されることを嫌うため、残業や休日出勤が多く、休みの日は寝ているだけ、家には寝に帰るだけという日本人を見ると、「なぜそこまで自分の生活を仕事のために犠牲にするのか」と疑問に思うのです。
また、日本人ほど仕事絡みの人間関係を大切にするヨーロッパ人は少なく、クリスマスなど特別な機会に慰労会やパーティーなどが開かれることはあっても、日常的に職場の人と勤務時間外も付き合うという人は少数派。
仕事に「生きがい」を見出そうとする人の割合も、日本に比べると多くはありません。ヨーロッパ人にとっては、仕事より休暇のほうが大切。多くのヨーロッパ人の仕事へのスタンスは、ある意味ドライなのです。
個性を認めないルールや社会的圧力
「出る杭は打たれる」というように、日本は一人ひとりの個性への許容度が低い社会です。それが如実に表れている例のひとつが、校則。日本の中学校や高校では、染髪禁止、ピアス禁止、靴下は紺か白のみなど、学業とは直接関係のない規則が山のようにあります。
それは、ヨーロッパ人からすれば非常に奇妙なこと。彼らは、「学校は勉強をする場所なのだから、格好は関係ない」と考えます。人によって髪の色や目の色などが異なるため、画一的に規制することが難しいという要因もありますが、それ以上に一人ひとりの個性や人格を尊重しようとする意識が強いことが背景にあります。
社会人になってからも、日本でよしとされる身だしなみには定型があり、特にサービス業従事者への世間の目は厳しいですが、筆者が暮らしていたドイツでは、サービス業に携わる人でも、タトゥーを入れていたり、髪を赤などに染めていたりすることは珍しくありません。ドイツで見た目に関する無意味かつ細かい校則を設けたら、「人権侵害」と言われかねないでしょう。
年齢や等級による上下関係が厳しい
世界には日本以上に上下関係が厳しい国もありますが、ヨーロッパは年齢や立場に関係なくフラットな人間関係が築かれている国がほとんど。そのため、年齢や年次がひとつでも上であれば「先輩」として敬意を示さなければならなかったり、上司に簡単には逆らえない雰囲気があったりする日本の上下関係には違和感や息苦しさを覚えることが多いようです。
ドイツでは、上司も部下も一人の人間としては対等という考え方が主流なので、部下のことは「同僚」または「(仕事上の)協力者」といった呼び方をします。筆者のドイツ人夫は日本でのワーキングホリデー中、レストランでアルバイトをしていたことがあるのですが、「その店のマネージャーの接し方が高圧的で、人格を尊重されていない気がする」と言っていました。
日本人が先輩や上司を大切にすることに一定の理解を示すヨーロッパ人もいますが、「立場が上だから人としても上だ」というような態度は、ほとんど許容されません。
今回ご紹介したことすべてが日本の欠点というわけでもなければ、何でもヨーロッパ流が正しいというわけではありませんが、外国人の視点を通すと、日頃は気づかない日本の短所や弱点が見えてきます。
日本には素晴らしいところもたくさんありますし、ただヨーロッパの真似をすればいいとは思いません。けれども、日本人がもう少し年齢や立場に関係なく、相手を一人の人間として尊重する、そしてそれと同じように自分を尊重するようにすれば、日本はもっと生きやすくオープンな社会になるのではないでしょうか。
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