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NYのセントラルパークより美しい!?モントリオールのモン・ロワイヤル公園

Posted by: 坂本正敬
掲載日: Apr 13th, 2019. 更新日: Apr 2nd, 2019

今回はカナダ第2の都市、モントリオール旅行で絶対に訪れたいモン・ロワイヤル公園を紹介したいと思います。カナダ流の暮らしの楽しみ方を学べる場所。日本人も日々の楽しみ方として大いに参考にしたい部分が多々ありましたよ。

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徳島市の眉山やリオデジャネイロのコルコバードの丘など、町の中心部に隣接して土地が隆起している場所は、実に絵になりますよね。山や丘がシンボルになりますし、市民はその高低差を生かして、日々の暮らしを楽しめます。

その意味ではカナダ東部にあるケベック州の大都市モントリオールも一緒で、市民は実にのびのびと、町の中心部に盛り上がる丘、モン・ロワイヤル公園(フランス語読み)を楽しみ、シンボルとして愛していました。

日本人も日々の楽しみ方として大いに参考にしたい部分が多々ありましたので、今回はカナダ第2の都市、モントリオール旅行で絶対に訪れたいモン・ロワイヤル公園を紹介したいと思います。


モン・ロワイヤルってどういう意味?

そもそもこのモン・ロワイヤル公園、日本語にするとどのような意味になるのでしょうか? モンとは「mont」、英語で言うとmount(山)ですね。ロワイヤルは「royal」と書いて、英語読みで「ロイヤル」になります。さしずめ「王の山」といった意味。

展望台から眺めるセントローレンス川

実際に山の歴史を振り返ってみると、大西洋の方から北米大陸に流れ込むセントローレンス川をさかのぼってきた探検家ジャック・カルティエが、現在のモントリオールに来て、この「山」に登り、周囲を一望しながらフランスの国王に捧げたところに由来するのだとか。文字通り「王の山」なのですね。

町中から見えるモン・ロワイヤル

ただ、実際のところ山と呼ぶにはサイズが小さく、3つある「山頂」はそれぞれ標高が233m、211m、201mと低くて、丘に分類されています。日本の国土地理院でも、アメリカ地質調査所でも、山と丘の区別ははっきりとしていませんが、ローガン山(5,959m)、セイントイライアス山(5,489m)、ルカニア山(5,259m)など、大変な高山を持つカナダです。そうした名峰と比べると、さすがに山とは分類しがたいのかもしれませんね。

それでも、町の中心部、例えばフェアモント・ザ・クイーン・エリザベスなどの方面からモン・ロワイヤルを眺めると、急斜面に豊かな植生が生い茂る、堂々とした「山容」を楽しませてくれます。その意味で、探検家ジャック・カルティエが「山」と名付けた感覚は、大いに共感できるはずですよ。

町にある建物全てがモン・ロワイヤル公園の眺めに配慮している

展望台からの眺め

モン・ロワイヤル公園(英語ではマウント・ロイヤル公園)の魅力は、何と言っても公園内にある展望台から眺めるモントリオールの展望です。

例えば公園内のMount Royal Cemetery entrance(お墓の入り口)というバス停留所から徒歩で10分ほど、野生のリスなどが走りぬける豊かな森に整備された歩道を行くと、不意にモントリオールの高層ビル群が目に飛び込んできます。

モントリオール出身で現地在住のガイド、ギリシア人とペルー人の両親を持つDanny Pavlopoulosさんによれば、「To protect the view of the mountain and from the mountain(モン・ロワイヤル公園の眺めと、逆にモン・ロワイヤル公園からの眺めを美しく保つために)」、モントリオールの高層ビルは「山」よりも高くならないように高さ制限があると言います。

足下にはモン・ロワイヤル公園の緑が広がり、中景にスカイラインが統一された高層ビルが密集、遠景にはカナダ、とりわけケベック州の歴史と深く関係するセントローレンス川が一望できます。これらの眺めを一度に楽しめる展望台(Kondiaronk lookout)は、まさにモントリオールの特等席ですね。

同公園はニューヨークのセントラルパークを設計したアメリカ人の造園家・景観設計者のフレデリック・ロー・オルムステッドさんが手がけていると言います。森の中を歩き進むと、最後に圧巻の展望が待っているという公園デザインは、さすがですよね。高低差の変化を楽しめる分だけ、セントラルパークよりも美しいと言えるかもしれません。

カナダ流の暮らしの楽しみ方を学べる場所

モン・ロワイヤル公園の展望台は、バス停から整備された歩道を行けば、すぐに到達できます。時間のない旅行者からすれば、最も現実的なルートだと言えますが、モントリオーラー(モントリオールの人々)のように、ちょっと違ったアプローチの方法を選択すると、ご褒美の眺望が余計に感動的になるかもしれません。

例えば冬は公園内の駐車場に隣接した『Maison Smith Sector』で、スノーシューのレンタルも可能です。スノーシューとはかんじきのような履物で、普段のブーツの上から装着できる優れもの。スノーシューで森の中を歩き、展望台を目指すという楽しみ方もあるのですね。すぐ近くに人口170万人(広域では400万人)が暮らしているとは思えないほど森の中は静かで、野生生物とも容易に出会えます。

体力的にはだいぶきついと言いますが、本格派の人はクロスカントリーにチャレンジしてもいいかもしれません。実際に多くの地元民がウィンタースポーツを公園内で楽しんでいました。

日本だと「冬は家に閉じこもる」という発想になってしまいがちですが、「どうせ避けられない寒さと雪なのだから、楽しんでしまおう(物事のいい面を見る努力をしよう)」と口をそろえて言うモントリオールの人々です。この辺りの人生に対するスタンスも、大いに現地で学んできたいですね。

秋はメープルツリーの紅葉も楽しめる

もちろん同公園は、春夏も楽しい(はず)です。気持ち良いハイキングコースが縦横無尽に用意されており、上述のガイドDanny Pavlopoulosさんによれば、夏の公園内は町中と比べて5℃くらい低いため、市民も涼みに集まるのだとか。

秋は秋で、美しい紅葉が楽しめると言います。カナダと言えばメープルツリーの紅葉が有名で、モン・ロワイヤル公園内にも容易にメープルの紅葉が見つかるとの話。

Sir George-Etienne Cartier monumentという公園の東端にあるスタート地点から、「山」の際を沿うように4.4kmの道のりを90分かけて踏破し、展望台(Kondiaronk lookout)を目指す(初心者→中級者向け)トレイルロードも用意されています。大都市を旅しながらカナダで鉄板の人気を誇る紅葉を満喫したい人には、最適な観光地と言えそうですね。

以上、カナダ第2の大都市にしてフランス語を公用語とするユニークな都市モントリオール、その象徴でもあるモン・ロワイヤル公園の楽しみ方を紹介しましたが、いかがでしたか?

公式パンフレットによると、公園は朝6時から深夜まで開いているとの話。自慢の健脚を生かして、朝の散歩がてら町の中心部から展望台に行きたいという人は、マギル大学の裏手の方から「山」の入り口に入り、急こう配の階段を339段上って展望台に直接アプローチするルートもあります。時間にして20分ほど、入り口から1.4kmの距離で展望台に行けますから、ぜひともチャレンジしてみてくださいね。

[参考]

※ 国土の情報に関するQ&A – 国土地理院

※ Tallest Mountains In Canada – worldatlas

※ What is the difference between “mountain”, “hill”, and “peak”; “lake” and “pond”; or “river” and “creek?” – U.S. Geological Survey

[All photos by Masayoshi Sakamoto(坂本正敬)]

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。


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