旅の目的は「たったひとつ」で良い
旅の目的は「たったひとつ」が潔いと思いませんか。
あれもこれもと盛りだくさんは、大人には野暮というもの。情報が氾濫している現代だからこそ、余計なものは削ぎ落として、自分の「たったひとつ」を選び取るのが粋。旅の荷物はシンプルに、期待だけを詰めて。
私たちがまだ訪れたことのない、未知の場所や絶景。
笑顔で迎えてくれる、あたたかい地元のひと。
生産地ならではの、新鮮で美味しいもの。
珠玉のように散らばる日本各地の魅力を発信する「ONESTORY(ワンストーリー)」。「ONE=1ヵ所」を求めて日本を旅するメディアから、私たちの「たったひとつ」が見つかりそうです。
ワクワクする夏がやってくる
日差しが日ごとに強くなってきて、夏の訪れを感じます。大人になってしまうと、「夏は暑くて、汗をかくからいや」「夏の満員電車は最悪」などとネガティブなことを考えがち。
子供の頃は、ジリジリする太陽、真っ青な海、濃い緑の森、モクモクの入道雲、水の冷たさ、冷えたスイカなど、夏ならではの風物詩にあんなに焦がれていたのに。気持ちの片隅に隠れていた夏への憧れを、呼び起こしてみましょう。きっと気持ちがワクワクして、夏色の旅に出たくなりますよ。
迷いと悟りの間に咲く花
三重県伊勢市の金剛證寺境内には、弘法大師が掘ったと伝えられる「連間(つれま)の池」があります。朱色の連珠(れんじゅ)橋の手前が「此岸(迷いの世界)」、向こう側が「彼岸(悟りの世界)」。迷いと悟りの間には、5月中旬から9月頃に幾百もの睡蓮の花が咲き誇ります。夕方になると眠る(睡る)ように花を閉じることにちなんで名付けられた睡蓮は、まさにあの世とこの世の間で咲く花としてふさわしいかもしれませんね。睡蓮の花言葉は「信仰」だそうです。
ONESTORY(ワンストーリー)
極楽の光景が重なる、浮世離れした睡蓮の池。[連間の池/三重県伊勢市]
朝熊岳金剛證寺 連間の池
住所:三重県伊勢市朝熊町548
アクセス:伊勢自動車道伊勢西IC経由、伊勢志摩スカイライン伊勢料金所から車で約15分/近畿日本鉄道鳥羽線五十鈴川駅から車で約20分
琵琶湖に浮かぶ満月寺
琵琶湖に浮かぶように佇む「浮御堂(うきみどう)」。正式名称は「海門山満月寺」。約1000年の間、琵琶湖の湖上安全を守ってきたお堂です。湖畔から橋を伸ばし、琵琶湖に浮かぶ姿は優雅で美しく、歌川広重、松尾芭蕉、阿波野青畝、葛飾北斎などを惹きつけ、詩歌・絵画の創作意欲をかきたてたようです。浮御堂からは琵琶湖が一望でき、琵琶湖大橋や近江富士を望めます。
ONESTORY(ワンストーリー)
湖上に悠々と立つ。安全と「衆生済度」を祈願し建てられた仏殿。[浮御堂(うきみどう)/滋賀県大津市]
満月寺 浮御堂
住所:滋賀県大津市本堅田1-16-18
アクセス:琵琶湖西縦貫道路真野ICから車で約10分/名神高速道路栗東ICから車で約40分/JR西日本湖西線堅田駅から若江交通バス堅田町内循環乗車、堅田出町下車、徒歩約7分
冷たさに瓜(うり)も割れる名水
福井県若狭町天徳寺の境内にある「瓜割の滝」は、霊泉の湧き出る神聖な場所として守られています。山あいの岩間から湧き出る水は、1年を通して水温が変わらず、夏でも冷やしておいた瓜が割れるほど冷たいことから、「瓜割水」と呼ばれてきました。「名水百選」に選ばれた美味しい名水と絶賛され、東京・四谷のフランス料理店「オテル・ドゥ・ミクニ」のほかレストランや京都銘菓「おたべ」でも使用されています。美味しい名水、飲んでみたいですね。
参考
[わかさ瓜割の水]
ONESTORY(ワンストーリー)
修行や祈祷の場として歴史を重ねた、清らかな名水の恩恵にあずかる。[瓜破の池/福井県三方上中(みかたかみなか)郡]
瓜割の滝
住所:福井県三方上中郡若狭町天徳寺
アクセス : 舞鶴若狭自動車道若狭上中ICから車で約12分/JR西日本小浜線上中駅から徒歩約15分
世界が認める美しい海岸
福井県の最西端に位置し、京都府との県境にある高浜町。関西地区の避暑地として知られ、青葉山のふもとから8kmも続く遠浅の美しい8つのビーチがあります。中でも若狭和田ビーチは、2016年にアジア初の「ブルーフラッグ」を取得した世界が認める美しい海岸。ブルーフラッグとは、水質、環境マネジメント、安全性、環境教育と33もの基準をクリアしたビーチに与えられる国際環境認証。世界49カ国、4271カ所のビーチやマリーナが認定され、日本では鎌倉の由比ケ浜と、高浜の若狭和田ビーチだけ。安心して泳げる白い砂浜と透明度の高い海が、私たちを呼んでいますよ。
ONESTORY(ワンストーリー)
海と共に生きる北陸の小さな町が、「世界が認める美しい海」を生み出した理由。[福井県高浜町]
若狭和田ビーチ
住所:福井県大飯郡高浜町
Website: https://www.wakasa-takahama.jp
今回のたったひとつは、子供時代の気持ちに戻っていく夏色の絶景。私たちが旅へ向かわずにいられないのは、日常で求められない「たったひとつ」に出逢うためなのです。