世界有数の観光地である、スペインのバルセロナ。日帰り観光客も含めると、年に約3千200万人がバルセロナにやってくるのだそう。美味しいグルメや美しい街並みなど、観光客の目的は様々。けれど何といっても有名なのは、ガウディの建築群ではないでしょうか。
そのガウディの代表作ともいえる「サグラダファミリア」に関する、驚きのニュースが飛び込んできました。世界中を仰天させた、そのニュースについてお話させてください。
137年かけても未完成のサグラダファミリア
1852年にスペインのカタルーニャで生まれたアントニ・ガウディは、19世紀から20世紀にかけてバルセロナを中心に活動した建築家。彼が手掛けたサグラダ・ファミリア(聖家族贖罪教会)やグエル公園をはじめとしたその作品群は、1984年にユネスコの世界遺産として登録されました(2005年に追加登録)。
中でも、多くの観光客のお目当ては、壮大な「サグラダファミリア」。1882年に建築がスタートした教会です。137年も作業しているのに、実はまだ完成していません。何故そんなに時間がかかっているのかというと、それにはいくつかの理由があります。
【未完成の理由1】詳細な設計図がない
このサグラダファミリアには、詳細な設計図が残されていません。参考になるのは、ガウディが残したたった1枚のスケッチのみ。それでもガウディの死後は直弟子たちが様々な資料を作成したのですが、それも1936年に勃発したスペイン内戦の影響で失われてしまったのだそう。逆に言うと、そんな条件でここまで建築を進められたことがすごいですね。
【未完成の理由2】建築資金はすべて寄付でまかなっていた
建築のために必要な資金は、当初は個人の寄付によるお金だけでした。今でこそ観光客の増加で入場料による資金も安定的に入るようになりましたが、かつては資金繰りが困難な時期もあったようです。
そんなマイナス要因ばかりのサグラダファミリア建築工事ですが、テクノロジーの進化や観光収入増のおかげもあり、工事の終わりが見えてきたのだそう。現在は、ガウディの没後100年である2026年の完成に向けラストスパートをかけているのです。
137年越しの建築許可
そんなサグラダファミリアですが、つい最近「実は建築許可を得ていない違法建築だった」ということが明るみに出て、世界中を震撼させました。正確に言うと、建築スタートから3年後の1885年に、ガウディが地元市議会に建築許可依頼を提出していました。けれどその際、何故か正式な許可が下りなかったのです。その後、サグラダファミリアの全体像も当時提出した申請内容とは異なるものになり、うやむやになってしまったようです。けれど長らくバルセロナ市のほうでも都市計画の中にサグラダファミリア教会の存在を取り入れていたので、全くの違法建築と言ってしまうのは気の毒なような気がします。
満を持して数年前から、サグラダファミリアの保存や工事を担う財団と自治体との間で交渉がなされてきました。それがこの6月、自治体に460万ユーロ(2019年6月現在、約5億6千500万円)を支払うことで最終的に建築の許可が下りたのです。更に世界遺産の認定をしたユネスコも、ライセンス管理に関する罰金として4100万ドル(同約44億4千700万円)を市当局に支払うことに同意したのだそう。サグラダファミリア自体も巨大な教会ですが、動くお金の桁が大きすぎてめまいがしそうです。
何はともあれ、必要な許可と合意はなされ、あとはサグラダファミリアの完成を待つばかり。そして本当にガウディ没後100年の2026年に間に合うのでしょうか。まだまだ、サグラダファミリアから目が離せませんね。
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