中国山地の生き物と暮らしの道具
庄原市比和自治振興センターという公民館のような建物の入口から入ると、中国山地のブナ林に暮らす獣や鳥のはく製に出迎えられます。鳥に関しては、ほとんど全種類揃っているそう。はく製の保存の薬剤なのか、学校のグランドピアノを彷彿とさせる懐かしい匂いが漂います。
その向かいには、植物を使って作られた民具が。近くには、牛を家族のように大切にしていた土地ならではの道具など、地元の民俗資料が並びます。
広島県の昆虫の標本がずらり。蝶に関しては、絶滅種も含め、県内で確認された全132種すべてが揃っているそう。
その隣には、世界の蝶や、世界のカブトムシの標本など、日本というくくりを飛び越えた展示があります。このあたりで、既に、予想以上の点数とバリエーションの広さに、驚いています。
モグラ博物館
そしてモグラです。こんなにモグラが並んでいるの、見たことありませんよね。ひょろひょろとひも状のものが垂れている茶色の細長い物体がたくさんあって、実に奇妙です。
モグラだらけの壁が、3面はあったと記憶しています。ここにもあったとギャーっと叫びそうなほどのインパクトがあります。
モグラの標本に直接触われるコーナーも。恐る恐る触れてみると、まるで毛布みたいな、柔らかな手触り。気持ち良いのですが、はく製と思うとぞっとするような。
もっとアカデミックな視点から見たいものですが、実際目にすれば、お分かりいただけるかと思います。
クジラと鉱物
地学分館に移動します。
1600万年前にこのあたりを泳いでいたヒゲクジラ類の化石と、再現したクジラの模型がどーんと現れます。
庄原市は、海から遠く完全に内陸で、中国山地の山あいにあるところです。ここが海の底だったかと思うと、不思議な気分に。
さらに、絶滅したイヌ型動物であるセングリニアの第一臼歯の展示があります。フランス、スペイン、アメリカの2か所に続いて、世界で5番目の発見ということで、なんだかすごそうです。
岩石と鉱物の展示室
鉱物のコーナーでは、標本を手にとってよく見ることができます。
地元でよく採れるという葉ろう石は、化粧品の材料にも使われるとか。
標本は、引き出し全部に入っていて、引き出しは反対側の壁にもあります!時間があったら全部の引き出しを開けてみたい気持ちと、引き出しの多さに怯む気持ちの両方がありました。しかし石好きの人にはこの上ない空間でしょう。
稀に見る穴場スポットです。是非訪れて、情報量の多さに圧倒されてください!
所在地:広島県庄原市比和町比和1119-1
電話番号:0824-85-3005
開館:9:00~17:00 ※12/29~1/4以外
料金:大人300円、小・中学生無料
HP(庄原市ホームページ):http://www.city.shobara.hiroshima.jp/main/education/shisetsu/cat01/01/post_197.html
[All photos by Shio Narumi]