航空業界、昨今の人気機種は中型機
1970年代に就航した大型旅客機ボーイング747は、当時は世界最大の旅客機で、それまで高嶺の花だった海外旅行を大衆化に導きました。しかし21世紀に入り、大型ジャンボ機で大量輸送をする時代はすでに終わりを迎えました。
近年の巨大台風や、世界の異常気象の原因といわれる地球温暖化。その原因といわれるのは二酸化酸素(CO2)による温室効果ガスの排出量です。KLMは、2030年、旅客ひとり当たりのCO2排出量を2005年に比べてマイナス50%にすることを目指しています。
新しい機体は年々軽量化に向かっています。KLMはヨーロッパで初めてボーイング787-10を導入しました。このB787-10は、たとえば従来の旅客機B747-400と比べ、燃料は42%削減、エンジンから出るCO2を31%カット、騒音は50%カットできるというものです。KLMは2022年までに15機を導入する予定。機材を最新化することでCO2の削減を目指します。
空の旅の持続可能性を求めて
KLMオランダ航空は、2019年10月7日で創立100周年を迎えました。今年6月末「フライ・レスポンシブリー(責任ある航行)計画」を提唱し、持続可能な航空産業への協力を他航空会社や航空産業全体に呼びかけました。自社のサスティナブル技術のノウハウもオープンにして、他社との利害を超えて航空業界全体で「地球に無害な飛行」を進めていこうというのが目的です。
その例のひとつが、他エアラインへの「CO2カーボンオフセットプログラム」使用の無料提供です。CO2などの温室効果ガスの排出削減活動に投資することを「カーボンオフセット」といいます。旅行者がKLM航空券を購入する際、ウエブサイトの追加オプションのページから「CO2ゼロをご利用の上、カーボンニュートラルでご搭乗」をクリックして最低料金1340円を支払うことで、パナマ熱帯雨林の再生と保全に直接貢献することができるのです。このプログラムにより栽培されたパナマ産カカオ・チョコレートが、2019年の8月末からKLMのワールドビジネスクラスで提供されています。
未来型航空機フライングVの開発
さらに素晴らしい取り組みをもうひとつご紹介しましょう。エアラインファンの方ならばご存知かもしれませんが、次世代型長距離旅客機「フライングV」。現在KLMがデルフト工科大学で研究開発を進めているVの形をした未来型の旅客機です。ギブソン・ギターをイメージしたという斬新なデザインも魅力的ですが、客室、燃料タンク、貨物室はすべて両翼に収まるようにデザインされています。コンパクトでより低い空気抵抗での飛行が可能で、燃料消費量もかなり削減できるそう。実用化は2040年から2050年頃を目指しています。
サステナビリティ株式指標は世界でもトップ
エールフランス・KLMグループは、14年間、米国経済新聞「ウォールストリートジャーナル」の出版元であるダウジョーンズのサスティナビリティ・インデックスのトップに選ばれています。企業の持続可能性を「経済・環境・社会」の側面から評価するサステナビリティ株式指標のことです。KLMオランダ航空の取り組みは、旅客機の重量削減、リサイクル、カーボンオフセッティング、そしてヨーロッパ初のバイオ燃料のプラントにも出資するなど多岐に渡っています。
ここまで徹底したKLMオランダ航空の環境保護への取り組みは、私たち日本人にも、地球規模で本気で取り組まなければという気持ちにさせてくれますよね。
オランダの旅なら、成田と関西国際空港から毎日直行便が出ているKLMオランダ航空が便利です。成田~アムステルダムへは毎日1便、11時25分発、同日の15時30分着。関空~アムステルダムは毎日1便、11時05分に出発して同日の15時00到着(2020年3月28日までのスケジュール)。
※この記事情報は2019年11月25日現在の情報です。
取材協力・写真提供
KLMオランダ航空
sachikosuzuki 旅行記者、エディトリアル・ディレクター
出版社勤務や地球の歩き方編集を経て2001年に独立。世界60か国以上を頻繁に取材し、一期一会のハッピーな記事を書いています。JTBるるぶ「アンコールワットとカンボジア」初版制作。著書『もち歩きイラスト会話集タイ/池田書店』、『みやざきの自然災害』ほか。有限会社らきカンパニー主宰。「らき」はギリシャ・クレタ島の地酒の名前です。
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