日田焼きそばの「想夫恋(そうふれん)」本店へ
日田焼きそばは、通常の蒸し麺ではなく、生麺を茹でてからパリパリなるまで焼き付けるのが特徴の焼きそばです。日田市内には、日田焼きそばをラーメン屋さんがメニューの1つとして提供しているお店が多くあります。それでいて自家製ソースを使うところが多く、お店によって味がまったく違うというのです。
今回やってきたのが、日田焼きそばを昭和32年(1957年)に発売した「想夫恋(そうふれん)」の本店です。ラーメン屋さんでなく、日田焼きそばの専門店で、しかも本店ともなれば、元祖中の元祖でしょう。
しかし料理長が横浜中華街出身ということで、本店だけ、焼きそば以外にラーメンや、エビチリ、飲茶など本格中華が楽しめるようになっているという、予想とは逆パターンでした。
それでも一番人気はシンプルな「焼そば 950円・税込」です。正直なところ、“地方で焼そば”の割に強気な値段設定ですが、店内は大盛況。カウンターや他のテーブルの様子を見て周りましたが、『焼そば』を食べている人ばかり。店員さんにきいても、一番人気はやっぱり“焼きそば”とのこと。
鉄板で麺を焼き付けているのがなんとも美味しそう!
日田焼きそばを実食
日田焼きそばが鉄板に盛られて出てきました。これは想夫恋本店ならではだそう。地元の方のオススメで「玉子トッピング 50円・税込」しています。
食べてみると、まるでソースと醤油を合わせたような甘みが少ない味付けで、今まで食べたことのない味わい。そこにラードのコクが加わっています。焼き色がしっかり付いているところは、パリパリというよりもしっとりですが、こんがりとした香ばしさが残ってよいアクセントになっています。これは、焼き付けた後に蒸し焼きにしているから。
具は豚肉ともやしとネギでシンプル。焼きそばが、水っぽさゼロで、ガツンとウマいので、どんどん食べられます。生玉子を溶いてマイルドにしたところと、素の部分と交互に食べるのが、味に変化がついてお得な感じです。
聞けば、醤油は入っていなくて、青いトマトを熟成させてつくる秘伝のオリジナルソースを使っているそう。豚は一頭丸ごと仕入れて様々な部位を角切りで使う、麺、もやしは自家製など、こだわりが一通りではありません。
ネットでチルド製品などが買えますが、まずはプロが作った“正解”を知っておきたいもの。想夫恋は九州の他、本州では、横浜、京都、名古屋、そして山口県防府市、滋賀県甲賀市に支店を持っていて、大分から直送の材料で日田焼きそばを作っているそうです。
お近くの店舗で食べてみて気に入ったら、今度は本場大分で、日田焼きそば食べ比べをしてみてはいかがでしょうか?
[All photos by Shio Narumi]
Shio Narumi ライター
イタリアはフィレンツェとタオルミーナの料理留学、イギリスはウエストン・スーパー・メアとケンブリッジの花留学を経て、現在はロンドンと神奈川を行ったり来たり。飛行時間の大幅短縮が実現するよう、心から科学の進歩を願う水瓶座。
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