どこも一緒じゃない!カナダ・トロントのCNタワーに日本人が登りたい理由【カナダ・トロント】

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Jan 25th, 2020

ある時期の中学1年生の英語教科書の1つに、「I live in Toronto.(私はトロントに住んでいます)」という基本例文が掲載されていました。その教科書で習った子どもたちにとっては、外国=トロントと言えるかもしれません。そんなトロントのシンボルCNタワーは、日本人の常識を覆してくれる必見の観光スポットです。

展望台からは五大湖の1つが眺望できる

世界中の主要都市で、巨大なビルや塔が建造されています。TABIZINEの過去記事「一生に一度は上りたい世界の展望台!現在の世界一、未来の世界一はどこ?」でも取り上げたように、世界一を目指す競争はずっと続いていて、もはや「どうでもいいよ」と冷めた目で見ている人もきっと居るはず。

どれだけ展望台を高い場所に作ったところで、見える景色はたいてい一緒です。特に電波塔を兼ねる高層タワーは大都市にしか作られないため、見える景色はどこも変わりがありません。つまり、高層ビル街の展望ですね。

高い建物は確かに見ていて美しいのですが、なぜか見ていて感動が長続きしません。

しかし、CNタワーは一味違います。展望台(LookOutと、より高所にSkyPodがある)の北側からの眺めは定番の高層ビルですが、展望台の南側(米ニューヨークやフィラデルフィアの方角)に周ると、思わず息をのむ光景が待っています。

展望スペースのガラス窓越しに、五大湖の1つ、オンタリオ湖の広大な銀色の水面を眺められるのですね。対岸のアメリカまで続く圧倒的な空間の広がりに、思わず足が止まります。

一都三県よりも広いオンタリオ湖は日本人の常識を覆してくれる

五大湖は、世界史や地理で耳にした覚えのある「重要単語」だと思います。地球儀ですら指差し確認できるくらい広い湖の連なりで、「5つ全ての名前は言えないけれど、アメリカとカナダの国境にある大きな湖」くらいの知識は、多くの日本人が持っているはず。

この五大湖の1つ、オンタリオ湖は五大湖の中でも最も東側にある最小の湖になりますが、その広さは1万9000平方キロメートル。東京都を中心とした一都三県を足しても、オンタリオ湖の方が広いです。その平らな水面が、窓の外に広がっているのですね。

なんでこれほど心が引かれるのだろうと、筆者はしばし立ち止まって考えてしまいました。きっと展望台から海が見えても、これほどの思いは生まれないかもしれません。「海は広いな、大きいな」と、誰もが当たり前に思っているからですね。

CNタワーの目の前に広がる水面は、湖です。日本人が平均的なイメージとして持っている湖の広がりとは、明らかに次元の異なるスケールが備わっています。そのけた違いの大きさを目の当たりにしたカルチャーショックが、きっと心を魅了してやまないのですね。

筆者が訪れたときは、地元の子どもたちがランチボックスを持参して、学校行事で見学に訪れていました。やはり子どもたちが陣取って、長く過ごしている場所は、同じ展望台でもオンタリオ湖側。

人間が作った構造物にはない、尽きない魅力が自然の景観には宿されているため、自然と人々はオンタリオ湖側に長く足を止めてしまうのかもしれません。

CNタワーは現代の7不思議

先端までの高さが553.33メートルあるCNタワーは、東京タワーやスカイツリーと同じく、自立する電波塔になります。

トータルで1,537人の力により、40カ月の工事期間をかけて1975年に完成、1976年にオープンしました。当時は自立する建造物として、世界一の高さを誇っていたそう。その称号はなんと34年間も守られていたのだとか。

現在でこそ、高さは世界一ではありません。ただ、トロントでは今ももちろん最も高く、周囲の高層ビルから群を抜いた高さにアンテナを設置しています。そのおかげで、トロント市民は北米で最も環境の良い状態で公共電波を受信していると言います。

1995年には、米国土木学会が「現代の7不思議」の1つとして選びました。「どうせ高いだけで、他の展望台と大差ないでしょ」と「食わず嫌い」をせずに、ぜひとも登ってみてください。年間150万人が楽しむ五大湖の「特等席」の眺めが待っていますよ。

ちなみにTABIZINEの過去記事「風に吹かれて600段をのぼる! 東京タワーの外階段は2人の距離が縮まる場所」では、東京タワーの階段に登る楽しみ方を紹介しました。

CNタワーも1,776段を徒歩で登るイベントCN TOWER CLIMB FOR NATUREが毎年開催されています。参加費が環境保護に役立てられる意義深いイベントで、次の開催は2020年4月。毎年、地元テレビ番組で報じられるほどにぎわいを見せる催しです。併せてチェックしてみてくださいね。

CNタワー
住所:(416) 868-6937
電話番号:290 Bremner Blvd, Toronto, ON M5V 3L9
展望台の営業時間:【LookOut】9:00〜22:30、【Glass Floor】9:00〜22:30、【SkyPod】9:00〜22:30
入場料金:大人(13 – 64歳)38カナダドル(3,162円ほど)、スカイポッド(最上階の展望台)の入場券付き大人(13 – 64歳)53カナダドル(4,410円ほど)

[参考]
SATURDAY, APRIL 4 AND SUNDAY, APRIL 5, 2020 – WWF
Astounding – LA TOUR CN TOWER

[Photos by Masayoshi Sakamoto & Tourism Toronto]

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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