絶景と秘湯に出会う山旅【16】紅葉がまぶしい西吾妻山と秘湯・新高湯温泉へ<山形県>

Posted by: 阿部 真人

掲載日: Oct 9th, 2020

GoToトラベルキャンペーンの効果で全国各地に観光客が戻って来たようですね。ちょっと足を伸ばして秋の紅葉を楽しむ高原の旅はいかがでしょうか。今回は、初心者でもカンタンに登れる山。紅葉がまぶしい日本百名山のひとつ、西吾妻山と、秘湯・新高湯温泉をご紹介します。

高層湿原と池塘

初心者でもカンタンに楽しめる日本百名山「西吾妻山」

日本百名山とはいえ、西吾妻山(標高2,035m)はなじみの薄い山かもしれません。ですがこの時期、西吾妻山の紅葉は見事でした。山形県と福島県境にあり、裏磐梯または米沢から向かうことになります。今回は東京駅から新幹線に乗り2時間で米沢駅へ。そして45分ほど路線バスに揺られて、あっという間にスタート地点の天元台ロープウェイ乗り場に到着。意外と近いのです。

ロープウェイ

初心者でもカンタンに登れるというのは、この天元台ロープウェイとリフトに乗って、たちまち標高1,820mまでたどり着けるから。その後もピクニック気分。ちなみに往復で3,800円になります。

天元台高原

ロープウェイでまず「天元台高原」という標高1,350mの高原リゾートへ。周辺は深紅のナナカマドやヤマウルシ、黄色に色付くダケカンバ、そして緑濃いトドマツなどが鮮やかなコントラストを見せる紅葉の名所でもあるんです。ちなみにロープウェイ営業は11月3日まで、とのことでした。

リフトから

ここから先は「しらかばリフト」「しゃくなげリフト」そして「つがもりリフト」の3つのリフトを乗り継ぎます。このリフトの長いこと。最初のリフトは544m、2つ目が722m。そして「つがもりリフト」がなんと1,220mもあるんです。そして標高1,820mの終点に到着。ちなみにリフト終点にはトイレもあります。

案内地図

ちょうど地図があります。ごらんのようにロープウェイと3つのリフトを乗り継ぐと、西吾妻山の登山口というぐあい。忘れてならないのは、リフトの帰りの時間。最終は15時40分なので乗り遅れないように。そして今年のリフトの運行は10月25日までだそうです。

紅葉がまぶしく輝く、秋の西吾妻山

登山口

さあ、いよいよ登山口です。とはいえ、見晴らしの良い地点までは、それほどの距離ではありません。30分も歩けば、なだらかな高原の全貌が見渡せる場所にたどり着きます。

登山道

おススメの散策コースは、もう一度地図を見ていただければわかりますが「かもしか展望台」から「人形石」をぐるりと一周する1時間コース。ちなみに木道もありますが、上の写真のような岩場もあるので、トレッキングシューズか登山靴でおいで下さい。

紅葉する山と木道

今回訪ねた日は天気もたいへん良く、山の上では赤や黄色に染まる紅葉がちょうど始まっていました。

紅葉する山々

散歩コースからさらに東へ進み、標高2,035mの西吾妻山山頂を目指します。向こうに「梵天岩」と呼ばれる大きな岩のある丘が見えます。山頂は、その向こうのようです。

池塘と山々

この周辺は、尾瀬と同じように高層湿原となっていて、ところどころに池塘があります。なだらかな山の上なのに、いろんなところで湧水が豊富に流れているんです。

梵天岩

「梵天岩」の丘までやってきました。登山口から1時間ほどでしょうか。標高は2,005mといいます。2,000m前後のなだらかな高原地帯が続くんですね。

紅葉する木々

ちなみに深田久弥は著書「日本百名山」のなかで吾妻山をこう記しています。
「総称の吾妻山は非常に広範囲で、その最高峰は西吾妻山である。山群中唯一の二千米峰であるが、近隣の峰々がそれに近い高度を持っているので、飛び抜けて主峰という感じはない。」
そうなんです。山というよりも高原なんです。

木道と山並み

こうして、なだらかな坂道をのんびりと上ったり下ったりしながら、山頂を目指すことになります。

山頂

ところが、山頂はあっけないほどの印象でした。登山口からゆっくり歩いて2時間もしないうちに、とつぜん木立の中にぽっかりと空間が現れ、山頂を示す標識が立っていたんです。周囲は樹木があって何も見えません。とはいえ、ここが標高2,035m西吾妻山の山頂。最高地点でした。

吾妻神社

というわけで、山頂手前の吾妻神社のある場所がもっとも見晴らしがよく、休憩できる広場のようです。みなさん、ここで休息を取り、お弁当を広げていました。下界の米沢盆地や、遠く鳥海山や飯豊連峰など2,000m級の山々をゆったりと眺めることができました。

野趣あふれる絶景露天風呂「新高湯温泉」

吾妻屋旅館

そして今回の温泉宿。新高湯温泉吾妻屋旅館は天元台ロープウェイのほぼ中間にあることがわかりました。登山靴を履いていたらロープウェイ天元台駅から歩いて下り20~30分ほどでしょうか。ふもとのロープウェイ駅からも20分ほど上った場所にあります。とはいえ、歩きたくないという方は14時過ぎと16時20分ごろに宿の迎えのバス便がありますので、事前に連絡をしてみてください。

玄関ロビー

日本秘湯を守る会会員の宿です。米沢駅からですと、白布湯元行きのバスに45分ほど揺られ、終点で降りると宿の迎えのバスが待っています。そこから10分ほどで宿に到着。秘湯とはいえ、交通の便はとても良いといえます。この宿の魅力は、なんといっても野趣あふれる、絶景露天風呂の数々。露天風呂が4つあり、そのうちのひとつは先着順で貸切り風呂。それに足湯がひとつ、内湯が男女各ひとつずつあるんです。もちろん全部源泉かけ流し。

眺望露天風呂外観

まずは24時間入浴できる眺望露天風呂。開放感たっぷりの露天風呂です。玄関前にあるので、歩いていると入浴しているのが少しだけ見えるのです。ですが女性の方々もご安心下さい。夜6時半から8時は女性専用になります。しかも、その間は男性は外出禁止。

眺望露天風呂

もし昼間に入りたいのであれば、宿に湯あみ着があり、販売されています。1,500円だそうです。遠くの山並みを眺めながらの入浴も素晴らしい気分ですから。

貸切にごり風呂

そして、こちらは女性も安心して入浴できる「貸切にごり風呂」です。濁っているわけではないのですが、なぜか「にごり」とあります。大きくて長~い大木をくり抜いた浴槽で、カップルでも十分ゆとりをもって入浴できますね。空いていればすぐに入れます。

源流滝見風呂

宿から20mほど坂を上ったところには、最上川源流のひとつとなる「白金の滝」があり、その前に「滝見風呂」まであるんです。なかなか気分爽快、見事な滝と露天風呂です。

栗の根っこ風呂

上の写真は、樹齢250年の栗の木をくりぬいて作った「根っこ風呂」。「眺望露天風呂」の隣にあり、丸いお風呂と細長いお風呂が2つ並んでいます。

内風呂

こちらは内湯。総ヒノキ造りの湯舟だそうです。お湯がドバドバと注がれ、窓の向こうには樹木が広がり、開放感たっぷり。こちらは落ち着いた雰囲気でゆっくりと入浴できます。ちなみにシャンプー・リンスなどはこの内湯にしかありません。泉質は含硫黄ーカルシウム・硫酸塩温泉でpHは7.0.わずかに硫黄の匂いがある、無色透明のお湯です。肌触りもよく、とてもまろやかなお湯でした。

豪華なA4米沢牛ステーキ、そして山形名物「芋煮」

夕食

夕食はそれぞれ客室でいただきます。山形・米沢の名物料理といえば、米沢牛。というわけでA4ランクという米沢牛のステーキがメインの夕食となります。希望したミディアムの焼き加減でいい香りとジューッという音がたまりません。

芋煮鍋

そしてもうひとつ、芋煮は秋の山形を代表する料理なんです。大きな里芋と牛肉が鍋にたっぷり。食べきれないほどのボリュームでした。山形は牛肉はもちろん、魚介や野菜、山菜、料理も多彩。秋の紅葉と温泉、そしてグルメを楽しんでみてはいかがでしょうか。

新高湯温泉 吾妻屋旅館
住所:山形県米沢市大字関湯の入沢3934
電話:0238-55-2031
HP:http://www.on1000.jp/index.html

[All Photos by Masato Abe]

PROFILE

阿部 真人

Masato Abe 還暦特派員

大学を卒業後、およそ30年間テレビ番組を作ってきました。57歳の時に、主夫となり、かつ自由人として旅に生きることを決意して早期定年退職。登山を始め、東京の街歩きガイドや温泉めぐり、豆大福探訪などなど60歳の還暦を迎えて好奇心が高まっています。

大学を卒業後、およそ30年間テレビ番組を作ってきました。57歳の時に、主夫となり、かつ自由人として旅に生きることを決意して早期定年退職。登山を始め、東京の街歩きガイドや温泉めぐり、豆大福探訪などなど60歳の還暦を迎えて好奇心が高まっています。

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