【食べて、飲んで、旅をして1】艦船めぐり、千光寺、ウニクレソンで大満足の広島

Posted by: 大泉りか

掲載日: Nov 10th, 2020

海外旅行と飲酒が趣味で、ナイトスポットから子連れ旅まで、さまざまな旅を経験してきた作家・大泉りかが、旅の思い出を気ままに綴ります。今回は、広島への2泊3日の旅です。

ウニクレソン

「呉艦船めぐり」で呉港をクルージング

これまでは旅行というと、海外にばかり目が向いていましたが、このご時勢では、渡航するのはなかなか難しい状況です。けれども国内にも、魅力的な場所はたくさんあります。せっかくのこの機会、これまでまだ訪れたことのない土地に行ってみよう、そう思い立って2泊3日の広島旅行を計画しました。

さっそくネットで広島行きのツアーを探してみたところ、飛行機もしくは新幹線付きのものがリーズナブルでお得でした。どちらにしようか悩んだ末、広島空港は市内までバスで約60分ほどかかるということで、新幹線をチョイス。ツアーには指定席券がセットになっていましたが、当日、東京駅に早く着いたために1本早めの新幹線に乗り、自由席に座りました。新幹線って、こういった融通が利くので便利ですね。

乗車時間は約4時間。ちょうどお昼頃にJR広島駅に到着。第一印象としては“大都会”。けれど、路面電車が走っているのがいい雰囲気です。さっそくランチを取ろうと、駅近くの「和田党」というラーメン屋で、「広島ラーメン」(720円)を食べました。広島ラーメンの特徴はマイルドな豚骨スープに細めの麺。具材はチャーシュー、青葱、茹でたもやし。もやしが細く、シャキシャキでおいしかったです。

広島ラーメン

そのままレンタカーを借りて呉へまで30分ほどドライブ。海上自衛隊呉基地に所属する潜水艦や護衛艦が多く停泊している呉港をクルージングする「呉艦船めぐり」(大人1500円、小人500円)の14時の最終便に間に合ったので乗ることに。コロナ対策なのか席は屋上オープンデッキのみで席数も半分のみ。マスク着用が義務付けられていましたが、やはり洋上の開放感は格別です。

呉艦船めぐり
停泊している艦船が真近で見られて大迫力、職員の方が詳しく説明をしてくれるので、とても勉強になります。時折、船上にいる自衛官が手を振ってくれるのもうれしい。所要時間は約35分。マニアの方ならば、何時間でもじっくり見ていたいところかもしれませんが、軽いクルージングとして、ちょうどいい長さに感じました。

呉艦船めぐり

すぐ近くには日本で唯一の、実物の潜水艦を展示した「海上自衛隊呉資料館(てつのくじら館)」や「大和ミュージアム(呉市海事歴史科学館)」といった施設があります。時間の関係で、てつのくじら館(入館料無料)だけしか見学できませんでしたが、実際の潜水艦の中に入ってさまざまな設備や計器を見ることができました。また、機雷掃海(機雷とは水中に仕掛ける兵器で、船が触れると爆発する。掃海はそれを処分すること)についての展示が充実していて、とても勉強になりました。正直なところ、これまでは海上自衛隊の活動内容についてまるで知識がなかったので「なるほど!こういう活動をしているのか!」という発見の連続でした。

呉艦船めぐり

観光を終えると、呉から再び車で広島市内に。途中、「ベイサイドビーチ坂」という人工の海水浴場に差し掛かったあたりの沖合に、大きな船が泊っているのを発見しました。よくよく見ると船腹には「ピースボート」の文字が。なぜこんな場所に停泊しているのだろうと不思議に思って調べたところ、世界一周クルーズから戻り、そのまま中国のドックに入って定期検査を受ける予定だったところ、新型コロナの影響で入国を拒否されて行き場を失くしてしまっているそう。街の飲食店でよくよくポスターを見かけるピースボート。まさかこんな場所で実物を拝めるとは、びっくりでした。

ピースボート

ホテルのラウンジでチルアウト

ホテルインターゲート広島ラウンジ

市内のホテルにチェックイン。今回泊まったのは、「ホテルインターゲート広島」。大浴場があるということで、ここに決めました。夕食・朝食なしの素泊まりプランでしたが、滞在中、最上階にあるラウンジが使い放題で、朝はコーヒー、デイタイムはドリンク類とお茶菓子、ハッピーアワーには、オリジナルカクテルとワインがフリーで楽しめてしまうのです。

ホテルインターゲート広島テラス

早速、ラウンジに隣接したテラスで夕涼みしつつ、オリジナルの桃のカクテルをいただきました。ホテルの館内に、こういったチルアウトできるスペースがあるのは、ありがたい!わたしが訪れたときは、残念ながら新型コロナの影響で中止されていましたが、通常時はプチパンケーキやクラッカーなどにつけて楽しめる蜂蜜ビュッフェや、夜に小腹が空いたときにうれしいお茶漬けビュッフェといったサービスも用意されているようです。2019年の1月にオープンしたばかりということで、施設もまだピカピカ。それでいて価格はリーズナブルなので、また広島を訪れる機会があったら、ぜひここに宿を取りたいと思います。

瀬戸内の魚

晩御飯は市内のお手頃なお寿司屋さんで瀬戸内の魚に舌鼓。寿司屋のいいところは、好きなものを少しずついただけること。その土地の新鮮なネタを、東京とは違った味付けや処理で食べさせてもらえるのも、文化が感じられて楽しいです。また、カウンターに座ると板さんが相手をしてくれるので、地元の情報を集めやすい。

小イワシ

こちらは小いわし(カタクチイワシ)のお刺身。乾燥した“いりこ”を出汁に使うことはあっても、生で食べるのは初めてです。というのも、鮮度の低下が早いため、あまり県外には流通しないらしいく、まさに地元で食べるべき一品。「7回洗えば鯛の味」ともいわれているそのお味はというと、ほのかに甘く青魚の旨味がぎゅっと詰まった絶品でした!

ウニの握り

最後は握りで〆。「醤油をつけずに食べてください」といわれたウニは、何かに漬け込んであるのか、もっちりとして濃厚。初めて食べた味わいでした。地酒とおいしいお魚でおなかいっぱいになり、この日はホテルに戻って終了しました。

尾道で千光寺見学としまなみ海道ドライブ

尾道

翌日は車で尾道へと向かいました。広島市から尾道市までは約1時間。まずは観光スポットとしても名高い千光寺を参拝することに。車を駐車場に止めて徒歩で千光寺まで10分ほど。眼下には絶景が広がり、なんとも清々しい!

広島県尾道市千光寺

千光寺は、大宝山の標高140メートルの中腹部にあり、弘法大師により平安時代の始め大同元年(806年)に開基され、中興は多田満仲公と伝えられています。朱塗りの舞台作りの本堂が建立されたのは、貞享三年(1686年)。境内内には「玉の岩」と呼ばれる巨岩や、”残したい日本の音風景100選”に選定された「鐘楼」などがあり、趣に富んで、見応えもたっぷり。

広島県尾道市千光寺

新型コロナの影響で、石仏もみな、マスクをしています。それぞれ色柄の違うところが素敵です。ちなみに、この千光寺、縁結びのご利益のあるパワースポットとしても有名だそう。こちらは愛情と情欲を司る愛染明王。絵馬がファンシーでかわいい。

広島県尾道市千光寺

かつて鎖修行の場だったという石鎚山。ここを昇るとさらに素晴らしい眺めを見ることができるそう。体力のある方はぜひチャレンジするのもいいと思います。

尾道ラーメン

千光寺の拝観を終えるとすっかりおなかもペコペコに。車に戻って今度は街中へ。商店街を行列のできていた「尾道ラーメン壱番館」というお店で、ランチを取りました。「尾道味玉ラーメン」(740円)をオーダー。魚介の利いたスープはほんのり甘くコクがあるけどさっぱり。背脂がほどよいアクセントになっています。おいしくいただきました。

しまなみ海道

尾道で撮影された小津安二郎監督作品『東京物語』の資料や古い日活映画のポスター、映画のパンフレットなどがたっぷりと展示されている『おのみち映画資料館』(一般520円、中学生以下無料)を見学した後、再び車に乗って今度は「瀬戸内しまなみ海道」をドライブ。広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ「瀬戸内しまなみ海道」は全長約60km。途中、村上海賊ゆかりの因島や、全国有数の柑橘類生産地である生口島といった島々を繋いでいて、特に目的なく向かったものの、のんびりと風光明媚な絶景を楽しめました。

鉄板焼きの名店の絶品「ウニクレソン」

ひろしま丸かじり 中ちゃん

さて、再び広島市内に戻り、お待ちかねの晩御飯は、鉄板焼きの有名店「ひろしま丸かじり 中ちゃん」です。鉄板焼き以外にもいろんな広島名物が食べられる人気店で、ドラマ『ワカコ酒』(テレビ東京系)にも登場したそう。

お好み焼き

まずは「お好み焼き」(野菜入り750円)。薄く焼いたクレープ状の生地の中には、たっぷりのキャベツが。半熟の卵と甘辛いソースが混じってまさに至福。

牛こうねの網焼き

「牛こうねの網焼き」(900円)はレモンを掛けてさっぱりと。「こうね」は牛の肩ばら肉部分で、コラーゲンとゼラチンが豊富な希少部位。広島の焼き肉屋では必ずメニューにある隠れたソウルフードだそう。歯ごたえがしっかりあってジューシー、噛めば噛むほど肉の旨味が口の中に広がります。

ウニクレソン

そして「ウニクレソン」(1,900円)。広島にはウニとほうれん草をバターで炒めたウニホウレンという名物があるそうですが、中ちゃんではクレソン×ウニ。が、この組み合わせが神ががかっておいしいのです。せっかくのウニに火を通すなんてもったいないのでは?という気持ちは、一口食べた瞬間にすっかり消え去りました。

クレソンにウニの旨味がすべて乗り移り、さらには汁も、濃厚なウニの味にクレソンの爽やかな風味が溶け込んでいて美味。これまで口にした汁の中で、一番おいしい汁だったといっても過言ではなく、フランスパンが添えてある理由がまったくもって理解できた次第です。もうとにかく「おいしすぎる!」という言葉しか出てこない一品、これを食べるためだけに、また広島に来るぞ、と誓いました。最高の満足感に浸りつつ、最後の夜を〆たのでした。

原爆ドーム

最終日は新幹線の時間まで市内観光。原爆ドームや広島平和記念資料館、Mazda Zoom-Zoom スタジアム広島などを見学。街がコンパクトなので市内観光は路面電車やタクシーで十分に回れます。

瀬戸内イタリアン Massa

名残惜しく、最後は駅ナカにある「ekie」の中にある「瀬戸内イタリアン Massa」でさまざまな味付けの焼き牡蠣3種と1ドリンクで1,580円の「お得セット」で軽く小腹を満たしました。レモンの風味が効いた瀬戸内レモンビールに、牡蠣がベストマッチ。

広島の味 むすびのむさしの「若鳥むすび」

新幹線に乗る前に、広島の人気ローカルチェーン「広島の味 むすびのむさし」の「若鳥むすび」(880円)をテイクアウト。東京に戻ってから、広島旅行の余韻に浸りつついただきました。広島を堪能した2泊3日。呉や尾道まで足を延ばしたことで、広島のさまざまな魅力を感じることができたと思いました。そして、何よりも広島の食が、おいしすぎる!まだまだ食べたりない気持ちもあるので、そう遠くないうちに再訪したいと思っています。

※価格は全て税込

[All photos by Rika Oizumi]

PROFILE

大泉りか

rika_oizumi 官能小説家/ライター

官能小説家/ライター。1977年生まれ。ライトノベルや官能小説を執筆するほか、性愛や女性の生き方などをテーマにしたコラムを多く手掛ける。

官能小説家/ライター。1977年生まれ。ライトノベルや官能小説を執筆するほか、性愛や女性の生き方などをテーマにしたコラムを多く手掛ける。

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