【日本の美味探訪】心に残る石川県のご当地グルメ３選

能登丼
写真提供：石川県観光連盟

石川県のおいしいものとは？

兼六園や武家屋敷など加賀百万石の城下町の金沢や、日本海に突き出た能登半島、山中温泉などしっとりした魅力にあふれる石川県。日本海で獲れた新鮮なのどぐろやカニ、甘エビ、ブリ。城下町で、美意識の高い加賀料理、茶道の発達による銘菓など、食が魅力な旅行先で、常にトップクラスに選ばれています。

石川県グルメはたくさんありますが、あなたがおさえておくべき美味とは。

金沢市

「治部煮」加賀藩の時代から続く郷土料理

写真提供：石川県観光連盟

加賀料理の定番ともいえる「治部煮」は、農林水産省選定「農山漁村の郷土料理百選」に選ばれた石川県の郷土料理。 鴨肉（または鶏肉）に小麦粉をまぶし、金沢独特のすだれ麩や季節の野菜と合わせて、出汁でサッと煮る料理。名前の由来は、煮ている時の「じぶじぶ」という音から説、豊臣秀吉軍の食を支えた兵糧奉行岡部治部衛門（おかべじぶえもん）の名にちなむ説、鴨肉を使うのでフランス語である「ジビエ」がなまったという説など諸説あります。

とろみがある汁が特徴で、肉に粉をまぶして煮るので肉の旨味が閉じ込められ、とろりをした味わいに仕上がります。出汁の甘みを引き立てるために、山葵（わさび）を添えるのがポイント。底の浅い漆器の治部煮椀が上品で、加賀百万石の美意識を感じますね。よそゆき風ですが、家庭でも作れます。

うちの郷土料理～次世代に伝えたい大切な味～　石川県「じぶ煮」レシピムービー／maffchannel（農林水産省）

能登町

「いしり（いしる）」深い旨みの魚醤

いしりの樽 写真提供：能登の魚醤油いしり物語　能登町商工会

石川県の奥能登地方に古くから伝わる魚醤油「いしり（いしる）」。能登の魚醤には大きく2種類あり、富山湾に面した内浦地区では「真イカの肝臓」を使った「いしり」、日本海に面した外浦地区では「イワシやサバ」を使った「いしる」に分かれます。それぞれに塩を加えて漬け込み、桶で発酵、熟成させます。

いしりがいつごろから作られたかは不明ですが、地元の生産者によれば江戸中期以降、1700年代の後半にはすでに知られていたようです。世界でもタイのナンプラー、ベトナムのニョクマム等魚醤がありますね。深い旨みが出て、癖になる味わいです。

能登の海の幸「いしり（いしる）の貝焼き」

写真提供：石川県観光連盟

「いしり（いしる）の貝焼き」は、大きなホタテ貝の殻にいしり（いしる）を煮沸させながら、白身魚、いか、えび、大根、ナスや季節の野菜を入れ、煮ながら熱々を食べる能登の郷土料理。

いしり（いしる）は、パスタやピザに使っても美味

民宿ふらっと：いかといしりの手打ちパスタ　写真提供：能登の魚醤油いしり物語　能登町商工会

民宿ふらっと：こんかピザ　 能登の魚醤油（うおしょうゆ）　写真提供：能登の魚醤油いしり物語　能登町商工会

いしりはイタリアンとも合います。パスタはいしりの旨味を吸い込み、ピザは同じ発酵系のチーズといしりの相性が抜群。

■参照記事
能登の魚醤油（うおしょうゆ）「いしり物語」公式サイト – 「いしり」とは？

能登の魚醤油「いしり物語」ダイジェストムービー（10分バージョン）／ishiristaff

金沢市

「ハントンライス」大人のお子様ランチ

写真提供：金沢市

金沢市発祥のご当地グルメ「ハントンライス」は、かつて金沢にあったレストラン「ジャーマンベーカリー」が発祥。名前の由来は、「ハン」はハンガリー料理からヒントを得て作ったことから、そして「トン」はフランス語でマグロ（マグロのフライ）を意味する造語といわれています。

ケチャップライスの上に、薄焼きたまごを乗せ、その上にフライ（マグロのフライが元祖といわれる）をのせ、ケチャップとタルタルソースをたっぷり。現在では、白身魚やエビなどのフライをのっけるのが主流で、トンカツやハンバーグをのせるお店もあります。堂々と食べられる大人のお子様ランチで、大好きなものばかりがお皿にのっているので、うれしくなりますね。ぜひ食べてみたいものです。

いしかわ美食図鑑File11「グリルオーツカのハントンライス」（2019年9月11日放送）　youtube用／石川テレビ公式チャンネル

今回は、石川県のご当地グルメの一部をご紹介しました。ご当地グルメには、各地の名産や文化が詰まっています。ぜひ、旅の思い出に味わってください。まだ出かけるのが不安というあなたは、通販で取り寄せできるお店もありますから、ご自宅で楽しむのも良いかもしれませんね。

注意：2020年12月現在の情報になりますので、店内での飲食ほか詳細につきましては、直接店舗へお問い合わせください。

PROFILE

青山 沙羅

sara-aoyama ライター

はじめて訪れた瞬間から、NYに一目惚れ。恋い焦がれた末、幾年月を経て、ついには上陸。旅の重要ポイントは、その土地の安くて美味しいものを食すこと。特技は、早寝早起き早メシ。人生のモットーは、『やられたら、やり返せ』。プロ・フォトグラファーの夫とNY在住。

はじめて訪れた瞬間から、NYに一目惚れ。恋い焦がれた末、幾年月を経て、ついには上陸。旅の重要ポイントは、その土地の安くて美味しいものを食すこと。特技は、早寝早起き早メシ。人生のモットーは、『やられたら、やり返せ』。プロ・フォトグラファーの夫とNY在住。