タイではタガメ、ブラジルではピラニアを食べる?世界の不思議なグルメ特集

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Apr 5th, 2021

世界を旅すると、現地の食事にその国らしさを感じますよね。ただ、場合によっては「そんなの食べるの?」と驚いてしまう瞬間もあります。そこで今回は世界で食べられている、日本人にとっては驚きの食材と料理を紹介します。

メキシコのサボテン

サボテン

メキシコといえば、どういったイメージがありますか?特に食と言われたら、タコスやナチョスやサルサを思い浮かべる人が多いと思います。実はそのタコスなどの料理に、知らないうちに日本人がびっくりする食材が使われていて、気付かずに食べているかもしれないとしたら、どうでしょう。

その驚きの食材とは、サボテンです。南北アメリカの乾燥した土地に生えるサボテンは、やはりその土地の人たちに食べられていて、例えばメキシコでは畑で栽培された茎(葉)の部分をサイコロ状にカットして焼き、ステーキやタコスの付け合わせにしています。

筆者は現地を旅行している時、確か串刺しにしてバーベキューで食べている現地の人を見た覚えもあります。サボテンの実の部分は甘みがあるため、スイーツにもされているそう。アイスクリームの材料にされるケースもあるそうですね。

びっくりと言えばびっくりですが、思えばメキシコの国旗にはサボテンが描かれています。メキシコ人にとってサボテンは、とても親しみのある植物なのかもしれませんね。

アフリカのバオバブの木

バオバブの木

同じ植物でいえば、アフリカ諸国のバオバブの木も、日本人にとってはユニークな食材に思えるかもしれません。そもそも日本にはバオバブの木が自生しないため、食材うんぬんの前に、植物自体が珍しい存在です。

乾いた広大な大地に太い幹が突き立ち、てっぺん近くにこんもりと葉が茂っている姿は、「生で見てみたい」という旅人の心をかき立てます。

しかし現地の人たちにとって、バオバブの木は単に鑑賞するだけでなく、食用として親しまれている様子。木の葉っぱや芽をアフリカの人たちはサラダにして食べたり、すりつぶしてソースにしたりしているみたいですね。

もちろん実や種も栄養価が高く、さまざまな活用がされているのだとか。食べるだけでなく、さまざまな材料として重宝されているとも聞きます。

地元の人たちの暮らしに根付いた大切な植物だという理解をもって、あらためて写真を眺めると、また見え方が深まるような気がします。

ブラジルのピラニア

ピラニア

ブラジルといえば、ジャングルやアマゾン川を思い浮かべる人も少なくないと思います。アマゾン川の濁った水にさまざまな淡水魚が住んでいる様子も思い浮かびます。その中には、ちょっと怖いピラニアも含まれています。

本来、ピラニアは臆病な魚みたいですが、肉食の淡水魚という点では、日本でも圧倒的な知名度を誇る魚です。筆者も子どもと近所の水族館に行っては、ピラニアの鋭い歯を見て、肝を冷やしています。

しかし、このピラニア、ブラジルでは(といっても具体的にはアマゾン川流域に暮らす人たちの間では)人間が食べられるどころか、人間がピラニアを食べているそうです。

調べると、ピラニアはとても「bony(骨っぽい)」魚で、その割に肉が少ないため、切り身や三枚おろし、フライパンで焼くなどの調理方法は向いていないそう。しかし、刺身も含めて、たんぱく源として、さまざまな調理法で食べられているとわかります。

アマゾン川にはピラルクーなどさまざまな食用の淡水魚が生息しているため、特に好んで食べられているわけではないみたいですが、数ある食材のひとつとして、現地では口にされる機会もあるみたいですね。

アメリカやスウェーデンのザリガニ

ザリガニ

ザリガニといえば、赤くて大きなアメリカザリガニが思い浮かぶと思います。日本の固有種のザリガニは、もっと小さく、黒っぽいですよね。子どものころにザリガニ釣りやザリガニ探しを楽しんだ人であれば、すぐに違いがわかるはず。

つかまえたザリガニは、子どものころ、どうしていましたか?恐らく水槽に水を張って、観賞用に家で飼ったと思いますが、あのアメリカザリガニを食べる国々が世界にはあります。例えば、アメリカ南東部やスウェーデンなど北欧の国々ですね。

その証拠に、スウェーデンの家具量販店IKEAでは、夏になると「ザリガニパーティー」が開かれるとご存じでしたか?その時期は、IKEAのレストランでザリガニが食べ放題になります。

ザリガニは意外に世界では人気の食材らしく、エビやカニと並ぶ甲殻類として、さまざまな場所で食べられているらしいです。

「気持ち悪い」と思う日本人は多いかもしれません。しかし、どうしてザリガニは気持ち悪いのに、カニやエビは気持ち悪く感じないのか。単に慣れの問題なのかもしれませんね。

もちろん、筆者も食べた経験があります。ザリガニは体の大きさの割にとても身が小さく、1匹では到底満足できませんが、味はカニとエビの中間くらいで、意外においしかった思い出があります。

タイのタガメ

タガメ

最後はタイの食材から。タイといえば、虫を食べる食文化が知られています。

バンコクのように大都会であっても、タガメとバッタを食べます。タガメはどうやら日本でも昔は食べたみたいですね。

しかし、現代人の感覚からすると、ちょっと見た目がゴキ〇リに似ているため、想像するだけで生理的に受け付けない人も多いのではないでしょうか。

タイのマーケットを取材した時に聞いた覚えがありますが、タガメはオスのほうがおいしいみたいです。値段も随分と違うそう。調理方法は塩水に浸してからゆでるか、油でカラッと揚げるか、どちらかだといいます。食べない人には、どうでもいい情報かもしれませんね。

以上、世界で食べられている意外な食材をまとめました。もちろん逆に、日本人が当たり前に食べる食材を海外の人が生理的に受け付けられないと拒否するケースもあります。小さいころから何を食べて育ったか、「食育」は人間の形成にとても大きな影響を与えるのですね。

[All photos by Shutterstock.com]

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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