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パワースポット巡りは江戸時代からあった?
「寺社ガール」なる女子は、いまや珍しいものではなくなった。神社やお寺を巡り、パワースポットを体感し、ご朱印を集め、その土地のグルメや温泉を楽しむ……そんな旅のスタイルは、実は江戸時代から続いているものだ。原型になったのは伊勢神宮への参拝旅行、いわゆる「お伊勢参り」だ。
伊勢神宮には、御師と呼ばれるいわば広報のような人々がいた。彼らは日本全国を渡り歩き、神宮のご利益と歴史とを説いて回っていた。人々は「神社の中の神社」に興味を抱くようになっていたのだ。そんな中、徳川幕府によって戦国時代に終止符が打たれ、街道を藩ごとに閉ざしていた関所が撤廃される。いわば国境がいっせいに自由に往来できるようになったのだ。加えて幕府は、経済活動の促進のため、街道の道路インフラを整備する。時代が安定してくると庶民の生活にも余裕が出てきて「お伊勢参り」の一大ブームが到来するのだ。特に、20年ごとの式年遷宮の翌年「お陰年」に参拝することが人気となり、数百万人もの人々が伊勢神宮に押し寄せた年もあったという。
ご当地グルメや旅のお土産も
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お伊勢参りの隆盛から派生して、熊野三山の神社を巡る旅も流行した。そして伊勢や熊野のあとは、京や大坂を見物し、各地の名物に舌鼓を打った。各所で郷里の人々にたくさんのお土産を買って、帰っていったのだ。
日本人の旅の原点ともいわれるお伊勢参り。江戸の人々と同じように、一生に一度は訪ねてみたいものだ。
【出典】
『日本人が知らない神社の秘密』(火田博文・著/彩図社)
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