
創業は明治10年、県内有数の乾しいたけ卸問屋

北にくじゅう連山、南に阿蘇山を望む大分県竹田市。江戸時代に岡藩の城下町として栄えた中心部は、今なお歴史情緒が色濃く残ります。そんな風情ある街並みの一角に佇むのが「姫野一郎商店」。県下でも有数の乾しいたけ卸問屋です。

大分県の生産者から直接仕入れた乾しいたけを販売。店内には選りすぐりの品々が所狭しと並びます。毎日の料理に使いやすい徳用から、1箱1万円を超える贈答向けまでラインナップは実に多彩。
しいたけの栽培が大分県で始まったのは約400年前のこと。当時、炭焼きで生計を立てていた男性が、材木にしいたけが生えているのを偶然発見し、人工的に栽培することを思いついたそう。これこそが大分のしいたけの発祥。その栽培法は、瞬く間に県下一帯に伝わったといいます。
さらに、しいたけの菌が好むクヌギの木が多かったことが拍車をかけ、今や全国1位の生産地に。年間の生産量は約1,037トン(2018年)。これは国内シェアのほぼ半分を占めています。なかでも良質な湧水群を持ち、昼夜の寒暖差がある竹田市はしいたけ栽培に適した風土で、その質は高く、全国の品評会で優勝することも多いとか。
豊かな森でゆっくり育つ「原木しいたけ」

(C)姫野一郎商店
「姫野一郎商店」で扱う乾しいたけはすべて原木(げんぼく)栽培によるもの。これはクヌギの木に菌を打ち込み、森の中で育てる方法。木の伐採から収穫まで2年以上の歳月がかかりますが、冬の厳しい寒さを経験し、ゆっくり成長することで豊かな味わいになるそう。一方で菌床栽培は人工栽培のため3〜4カ月と短期間で生産できるものの、旨味や香りは原木栽培よりも劣るそう。
「原木栽培は“天然物”、菌床栽培は“養殖”というようなイメージ。栽培による味の違いを楽しんでいただければ」と代表の姫野さんは話します。

(C)姫野一郎商店
原木椎茸はおもに春と秋に発生。適度な大きさになったら、根元を捻るようにして収穫します

(C)姫野一郎商店
採取したしいたけは、40〜55℃の温度で24時間かけて乾燥。ゆっくり乾かすことで水分がほどよく抜け、弾力のある仕上がりになるとか。

(C)姫野一郎商店
生産者から仕入れた乾しいたけは、大きさ・厚さごとに選別。開き方によって「冬菇(どんこ)」「香菇(こうこ」「香信(こうしん)」の3つに分けられます。姫野一郎商店ではさらにサイズごとに分類。冬菇は3段階、香菇は3段階、香信は4段階という規格を取り扱っているようです。
老舗の味に舌鼓!しいたけ尽くしの松花堂弁当

店内には「茶房ひめ野」が併設。土日ランチ限定で店舗で扱う乾しいたけを使った松花堂弁当を楽しむことができます。明治16年当時のままの空間は和の情緒もひとしお。今では見ることが少なくなった縁側もあり、開放感にあふれます。

炊き上げた乾しいたけたっぷりの「椎茸ご飯」や「椎茸つくねフライ」「椎茸の佃煮」など、まさにしいたけ尽くし! 驚くべきは全体的にうす味ながらも旨味が濃厚なこと。聞けば戻し汁を余すことなく使っているのだとか。どの料理のしいたけも味の奥行きがしっかり感じられ、普段食しているものとの違いを実感。正直なところ「乾しいたけなんてどれも同じ」と思っていましたが、そんな考えが見事に覆されたおいしさです。

食後にはお抹茶とお菓子がつきます。ほんのり甘い栗の渋皮煮はお抹茶とも至福のハーモニーに。この充実の内容で1,320円(税込)というお手頃価格はなんとも魅力的。老舗の実力を感じられるだけでなく、乾しいたけのポテンシャルも知ることができた貴重なひとときでした。
竹田城下町散策の立ち寄り先にもピッタリな「姫野一郎商店」。伝統と歴史に裏打ちされた確かな味わいを体感してみてはいかがでしょうか。
[Photos by Nao]
Nao ライター
メーカー、ITベンチャー勤務を経てフリーランスに。
学生時代から旅を続け、渡航国は現在50カ国。
特技は陸路国境越え。グルメレポート翌日に大学の最先端研究を取材したり、ロシア州知事にインタビューしたり。幅広い対応力とフットワークの軽さが自慢。日本ソムリエ協会認定資格ワインエキスパート保有。
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