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参勤交代時、殿様の高級宿「本陣」のトイレが美しすぎる!【滋賀県・草津市】

Posted by: 鈴木幸子
掲載日: Feb 28th, 2022. 更新日: Mar 17th, 2022

江戸時代の公家や大名が泊まる格式の高い宿を「本陣(ほんじん)」といいます。日本でも珍しく、ほぼ原形を留める本陣が滋賀県草津市に残されています。旅人にとって、興味津々の大名たちのお宿を見てきましたのでご報告します。※館内は撮影禁止ですが許可を得て撮影しています

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滋賀県・草津宿本陣の玄関


本陣(ほんじん)は公家や大名などが泊まる高級宿

滋賀県・草津宿本陣の室内
江戸時代、三代将軍・徳川家光の頃から始まった参勤交代。ご存知のとおり、全国に250あった各藩の大名家が2年に一度江戸に上って滞在し、1年経ったら国へ戻る制度です。

大名たちが参勤交代の旅の途中に宿泊するとき、通常、宿場でもっとも格式の高い「本陣」という宿を利用していました。

東海道と中山道の合流・分岐点が「草津宿」

滋賀県草津市、追分道標
江戸時代に整備された、中山道や東海道などの五街道沿いには「宿場」が発展しました。江戸から京都へ続く「東海道」や「中山道」は有名ですが、この2つの街道の合流地点が「草津宿」。交通の要衝としても栄えました。写真は江戸時代から残る追分道標。

滋賀県草津市、草津宿本陣の外観
写真提供:草津宿街道交流館

草津宿には、本陣が2軒と一般庶民が泊まる旗籠(はたご)など70数件が建ち、多くの旅人で賑わっていたといいます。全国にこの「本陣」は残っています。しかし表門だけが残されていたり、座敷だけが移築されていたりと一部が残る本陣はよくありますが、ほぼ完全な形で残っている本陣は今回訪ねた「田中七左衛門本陣」のみです。昭和24年に国の指定史跡となっています。

当主の田中七左衛門が本陣職を拝命したのが江戸初期の1635年ごろ。草津宿本陣屋敷が現在の建物になったのは、江戸後期と推定されています。建坪が468坪、部屋数は30室あまり。本陣が1870年(明治3年)に廃止となるまで、田中家は代々この本陣職を務めてきました。それまでに何度か改装はありましたが、基本的な構造は変わっていません。

草津宿本陣の設計図
平成の初め頃に大規模な解体修理が行われ、平成8年、図面を元に精密に再現し、江戸時代の完全な姿に戻されました。奇跡的にここまで残ってきた理由を、学芸員の冨田由布子さんはこう話します。

草津宿本陣の中庭に建つ明治天皇の記念碑
「まず明治天皇がこの本陣に5回も宿泊されています。当時、天皇がいらっしゃる、というのはとんでもないことで、地元の人にとってはまさに「聖地」だったわけです。こんな聖地を荒れ果てさせてはいけないと、管理に力を入れました。明治からは郡役所や公民館としても使用され、医者が間借りをしたり、また野球の合宿にも使われていたようです。地域の中で活用されていたことが建物の維持につながったのではないでしょうか」

本陣のお屋敷内を拝見

草津宿本陣の玄関
まず玄関。玄関には式台(しきだい)と呼ばれる幅広の板敷きがあります。ここに大名たちの駕籠(かご)が直接運びこまれました。大名たちが地面に足をつけず、外から姿を見られることなく中に入れる、という車寄せのような役割を果たしていたそうです。

草津宿本陣の玄関の関札
ホテルの○○○○御一行様、などと同様に、本陣にどの殿様が泊まっているか、を周りに知らせる「関札」が門前に掲げられました。休泊者の氏名と官職名、下記の休泊形態も書かれていました。

泊(とまり)・・・・食事つきでの宿泊
宿(やど)・・・・・素泊まり
休(やすみ)・・・・休憩

セキュリティの関係上、藩からお抱えの料理人を連れてくることもあったそうです。各藩の支所のような役割もあったようで、お殿さまが泊まる時、この本陣がその藩の臨時のお屋敷になるというイメージでしょうか。本陣でお世話する人は10数人。ほとんどは、お付きの家来衆たちが大名の身の回りの世話はしていたそうです。

玄関広間、上段の間、向上段の間へ

草津宿本陣の内部、畳廊下
時代劇でもよく見る、武家屋敷の畳廊下。玄関から奥にいくほど、身分が高い部屋になります。家来衆が泊まる各部屋には風呂、トイレが備わります。

草津宿本陣の玄関広場
こちらが、西広間。

草津宿本陣の内部、上段の間
段がある上段の間。偉い人が座られたとされています。上段棟には、御簾がかかっています。

草津宿本陣の内部、向上段の間
東広間の部屋。

床の間つきのトイレに感動!お香も焚いていた?

草津宿本陣の殿様用トイレ雪隠
もっとも感動したのは、お殿さまたちのトイレです。見てください、床の間があります!

床の間でお香を焚いていたそうです。なんとも風情のある「雪隠(せっちん)」。

これを見ると、確実に昔から日本人がキレイ好きだったことが伺えます。おそらく、一般庶民のトイレもここまではなくても、清潔に美しく保たれていたのだろうと想像できます。江戸時代後期にやってきた西洋人が、驚愕したのではと想像できます。

草津宿本陣のトイレ、小水用
こちららは小水用。奥に木箱を入れて用を足し、木箱の小水で医師が健康チェックをしていたそう。

中庭を眺めながらの露天風呂風

草津宿本陣の湯殿
「湯殿(ゆどの)」と呼ばれる主客専用のお風呂です。台所の外にある湯沸かし屋形でお湯を沸かし運んで、湯あみしていました。

草津宿本陣の中庭
こちらは、湯殿の目の前に広がる中庭。

巨大な土間と台所

草津宿本陣の台所1
何十人分という料理を作らなくてはならなかったので、土間の台所が広い! 土間は2つに分かれていて、向かって右側は当主の台所。

草津宿本陣の台所2、お客さま用
もうひとつは1つはお客さま用の台所。

釜戸で火をたくと、全体に熱と煙が回り、防虫効果もあって暖房にもなっていたそうです。
土間が広いのは、台所の奥に厩があってここを通って馬や荷物を運べるようにとのこと。

皇女・和宮さまの昼御膳がこちら!

草津宿本陣、和宮が食べらランチ
第14代将軍・徳川家茂の正室、和宮さま(和宮親子内親王)が嫁入りする前、こちらで休憩をとられたという資料も残されており、献立表を見てその御膳を再現したものがこちらです。

京都から大津、草津、中山道への道中の三食をすべて書き留めていた人がいたそうで……、おやつもついています! 料理を温め直すときの御膳所が部屋の近くに備わります。

草津宿本陣の殿の間
こちらは、向上段の間。上段の間の東対面に設けられています。上段に次いで格式の高い部屋です。

新選組の誰かが忘れていったキセル筒も

草津宿本陣の大福帳(宿帳)
資料が多く残され、大福帳(宿帳)は181冊も残っているそう。浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)と、吉良上野介(きらこうずけのすけ)も、有名な松之廊下刃傷事件の2年ほど前、9日違いでここに泊まっているという記録が残されています。

なんと、土方歳三はじめとする新選組31名も宿泊し、「キセル筒」の忘れ物をしていったそうで、それも残されています。

歴史上の多くの大スターたちが、このお宿で時を過ごしていたのです! ひと部屋ひと部屋、見ていると先人たちの想いやさまざまなシーンがイメージされてきて、歴史へのロマンが広がるはずです。

草津宿街道交流館内
徒歩約3分のところに「草津宿街道交流館」もあります。当時の草津宿全体の町のミニチュアや、当時のさまざまな遺物を見ることができます。

●草津宿本陣
住所:滋賀県草津市草津1-2-8
電話:077-561-6636
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
休業日:毎週月曜(月曜が祝日の場合はその翌日)、祝日の翌日(土・日曜と重なった場合は開館)
HP:https://www.city.kusatsu.shiga.jp/kusatsujuku/index.html

●草津宿街道交流館
住所:滋賀県草津市草津3-10-4
電話:077-567-0030
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
休業日:毎週月曜(月曜が祝日の場合はその翌日)、祝日の翌日(土・日曜と重なった場合は開館)
HP:https://www.city.kusatsu.shiga.jp/kusatsujuku/koryukan/index.html

草津観光のホテルなら「ホテルボストンプラザ草津」

滋賀県草津市のボストンプラザホテル外観
草津本陣観光のための宿泊ならこちら。草津駅西口から徒歩約2分(ちなみに草津駅は京都から電車で約25分以内)、ロータリーに接して見えるレンガ色の建物が目印です。

館内はアーリーアメリカン風で洒落ています。宿泊棟は北と南のウィングに分かれ、2階フロントからサウスウイングへ行く途中の広間には、故ジョンFケネディ大統領とジャックリーン・ケネディ(後ジャックリーン・ケネディ・オナシス)の古い写真コレクションが展示されています。

宿泊したのが、サウスウイングのビューバスダブル(ビジネス仕様)。大変使いやすく、お風呂の備品、たとえば入浴剤や歯ブラシ、ボディ用スポンジもよくセレクトして用意している印象。

滋賀県草津市のボストンプラザホテル朝食
朝食も美味! 琵琶湖のシジミが大粒で食べ応えがありました。ランチ、ディナーも充実の洋食メニューがそろっています。

●ホテルボストンプラザ草津
住所:滋賀県草津市草津駅西口ボストンスクエア内
電話:077-561-3311
HP:https://www.hankyu-hotel.com/hotel/ch/hbpkusatsu 

[All photos by SACHIKO SUZUKI]

鈴木幸子

sachikosuzuki 旅行記者、エディトリアル・ディレクター
高校2年の春、世界史教科書のササン朝ペルシャ唐草模様を見て世界旅行を夢見る。出版社勤務や地球の歩き方編集を経て2001年に独立。世界60か国以上を頻繁に取材し、一期一会のハッピーな記事を書いています。JTBるるぶ「アンコールワットとカンボジア」初版制作を担当。有限会社らきカンパニー主宰。「らき」はギリシャ・クレタ島の地酒の名前です!


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