文化財「百段階段」を上り大正ロマンの世界へ
ホテル雅叙園東京の前身「旧目黒雅叙園」の3号館にあたるのが、通称「百段階段」です。旧目黒雅叙園は豪華な装飾も手伝って、昭和10年の建築当時は「昭和の竜宮城」とも称されていたそう。そのなかで現存する唯一の木造建築が、この百段階段なのです。
そんな文化財「百段階段」で、2022年4月16日(土)~2022年6月12日(日)の期間限定で開催されているのが、今回筆者が訪れたイベント「大正ロマン×百段階段」です。
「大正時代は華やかで夢見るような憧れを抱く一方、第一次世界大戦や大震災など、短い期間にいろいろな出来事があった時代。多くのニュースが飛び交う現代と重なる部分があるからこそ百段階段での理想的な夢が詰まった大正ロマンの世界で、夢見心地な気分を味わってほしい」との思いから、このイベントの開催が決定されたそう。
99段ある壮麗な階段を上り、夢が詰まった大正ロマンの世界へいざ向かいます!
大正ロマンルームで旅支度中のモダンガールに出会う
こちらは、近代日本画壇の大家「荒木十畝」が描いた作品がある、格式高い「十畝(じっぽ)の間」。今回のイベントでは、大正ロマンの夢の世界へと向かう旅の始まりのお部屋として装飾が施されています。
「松竹衣裳」による大正ロマンならではの鮮やかな色の着物や、おしゃれな洋装を着こなすモダンガールたち。部屋の畳には絨毯が敷かれていて、大正から昭和にかけて流行した和洋折衷のインテリアが再現されています。
展示品には、それぞれテーマが設定されています。胸に手を当てているこちらのお嬢様は、恋い慕っている陸軍の中尉を思い「晩餐会に来てくれるのかしら……?」と気をもんでいる様子を表現しているのだとか。
化粧品や筆記用具コーナーが楽しい「大正の百貨店」の再現も
大正時代、最先端の流行を生む場所だったのが百貨店です。すべて純金で仕上げられ、精巧な彫刻が施されている豪華な「漁樵の間」が、今回のイベントでは人々の夢や憧れが詰まった「大正時代の百貨店」の世界となっています。
明治36年に創業された化粧品メーカー「中山太陽堂」の後身となるクラブコスメチックスの商品が、今回のイベントでは昭和初期のパッケージを復刻させて展示されています。
さらに、大正7年に創業し世界に誇る万年筆を生み出した「パイロットコーポレーション」の文具も。まるで大正ロマンの世界でショッピングをしているかのような気分が味わえます!
こちらは、日本で最初の百貨店「日本橋三越本店」の様子をのぞき込んでいる女性たち。売り場を見ながら「あそこでお買い物したいわね」といった声が聞こえてきそうです。
超人気コミック『百貨店ワルツ』のパネル展示も
イラストレーターのマツオヒロミ氏による『百貨店ワルツ』の作品も、今回の見どころのひとつ。実は、マツオヒロミ氏自身が文化財「百段階段」にインスピレーションを受け、作品の表現に反映してきたのだとか。虚構のデパート「三紅百貨店」を舞台にした、近代ロマンのイラストを楽しむことができます。
珈琲やバウムクーヘンが味わえる「大正浪漫喫茶室」
欄間の天井絵が美しい「草丘の間」が、同イベントでは「大正浪漫喫茶室」に大変身! 普段は敷かれていない赤いカーペットが設えられ、ハイカラな大正時代の喫茶店が再現されています。
蓄音機からは大正時代の風景を描かせる音楽も。
文化財のなかで大正時代の喫茶タイムを体験
大正浪漫喫茶室では、実際に喫茶タイムを楽しむことができます。天気の良い日には富士山が見えて人気の宴会場だった「草丘の間」。当時の人と同じように飲食を楽しむことができるなんて、不思議な気分になりますよね。
今回筆者が味わったセット(アイス珈琲、バウムクーヘン)は、組子柄オリジナルマスクケースも付いています。
【内容】アイス珈琲、バウムクーヘン、組子柄オリジナルマスクケース
撮るべきフォトスポットがたくさん!必見ポイントをご紹介
【おすすめフォトスポット1】窓辺に佇むレトロな電話機
最上階にある「頂上の間」には、同イベントで押さえておくべきたくさんのフォトスポットを発見! こちらは、令和の時代には見ることがほとんどないレトロな電話機。大正時代の世界と繋がるような気分になれるかも。
【おすすめフォトスポット2】レトロな見た目が可愛いクリームソーダ
まるで「#純喫茶」なんていうタグが付きそうな、クリームソーダの展示も。食品サンプルなので飲むことはできませんが、このかわいらしさを写真に収めたくなるはず!
【おすすめフォトスポット3】文化財「百段階段」にカーテンは初!?
スタッフさんによると、文化財「百段階段」にカーテンが付いたのは初めてかも……。とのこと。今回だけの激レアスポットで撮影するのもおすすめですよ。
【おすすめフォトスポット4】スタッフさん伝授の隠れスポット
階段の途中にあるこの一角、実はスタッフさん推しのフォトスポットだったりするのです。見逃しがちなポイントですが……?
このように鏡越しに撮影すると、窓枠の模様も写って可愛い一枚に! あまり知られていないフォトスポットをお見逃しなく。
【おすすめフォトスポット5】モダンガール気分なひと時を
こちらは先ほどご紹介した「十畝の間」にあるフォトスポット。「モガ」とも呼ばれ、大正時代に近代的なライフスタイルを楽しんでいたモダンガールたちがソファを囲んでいます。大正ロマンな洋装が素敵ですよね。ソファに座って撮影することも可能です。
ちなみに今回のイベントでは、レトロモダンな着物を借りて、ランチやアフタヌーンティーを楽しめる「レトロ着物プラン~レストランと文化財見学~」も用意されています。
50種類以上ある着物や小物から、好きな組み合わせをコーディネート。「ホテル雅叙園東京」館内のレストランで中国料理や日本料理、季節のアフタヌーンティーなどを楽しむことができますよ。
【期間】2022年4月16日(土)~6月12日(日)※5月25日は除外日
【内容】館内レストランでの食事(ランチまたはアフタヌーンティー)
文化財企画「大正ロマン×百段階段」入場券、着物レンタル一式、着付、簡易ヘアセット
【料金】ランチ18,000円(税込)/アフタヌーンティー17,000円(税込)
【時間】受付:10:00/10:30/11:00/11:30 食事:ランチ11:30または14:00/アフタヌーンティー14:30
【対象レストラン】ランチ:中国料理「旬遊紀」、日本料理「渡風亭」、RISTORANTE “CANOVIANO” アフタヌーンティー:New American Grill KANADE TERRACE
【オプション】・写真撮影(ベーシック5,500円(税込)/ロケーションフォト8,800円(税込)※いずれも 1ポーズ) ・フルメイク11,000円(税込) ・着物レンタル保障330円(税込)※要身分証明書
【予約・問合せ】050-3188-7570 (レストラン総合案内10:00~19:00)
【URL】https://www.hotelgajoen-tokyo.com/archives/72660
「HARIO」や「廣田硝子」によるガラス製品にもうっとり
「清方の間」では、明治・大正・昭和のガラス製品が展示されています。大正10年創業の老舗硝子メーカー「HARIO」は、職人の手仕事技術継承のために作り始めたガラスアクセサリーを取り扱っています。
今回のイベントでは、そんな100年以上の時を経て受け継がれる手加工技術によって作られた、可憐なガラスのアクセサリーが展示されています。
こちらは明治32年に創業した「廣田硝子」の商品。創業当時から伝えられるデザイン資料を基に、現代のインテリアにも調和する商品を作り続けている硝子メーカーです。
今回のイベントでは、1950年代に欧米に輸出していた商品を現代風にアレンジした『東京復刻硝子』や、丸みを帯びた可愛らしいデザインの『雪の花』などの商品が展示されています。
画家「竹久夢二」の作品が約50点も!
今回のイベントでは、「竹久夢二」の作品が約50点展示されているのも見逃せないところです。もっとも活躍したのが大正時代であることから、「大正ロマンの画家」とも言われる竹久夢二。今回は「港屋絵草紙店」「美人画」「童画」「セノオ楽譜」の4つのカテゴリで楽しむことができるのです。
独学で絵を学んだという竹久夢二は、西洋の最先端のスタイルと日本古来の画風を掛け合わせた作品が注目され、雑誌でのイラストをきっかけに人気を集めたのだそう。
特に有名な『夢二式美人画』は、大きく潤んだようなつぶらな瞳や、手や足が大きくデフォルメされた八頭身のプロポーションなどが特徴で、大正当時は「大正の歌麿」ともてはやされました。
今回は特別に、そんな竹久夢二による原画(肉筆画)を見ることもできます。大正ロマンと呼ばれる流行を牽引した、竹久夢二作品の世界を満喫してみてくださいね。
大正ロマンの世界を旅したお土産に
大正ロマンの世界から帰ってきたら、階段を降りたところにあるミュージアムショップへ立ち寄るのもお忘れなく。文化財「百段階段」に訪れた人は無料で入ることができ、今回のイベントで展示されている「HARIO」のアクセサリーや、「廣田硝子」のコップなどが購入できます。
18時まで営業しているので、じっくりとお土産選びが楽しめそうですよね。
竹久夢二のクリアファイルや、『百貨店ワルツ』のポストカードなどのグッズも販売。現実の世界に帰っても、大正ロマンの夢のような世界の余韻に浸れそう。
GWはホテル雅叙園東京「大正ロマン×百段階段」へ!
今回は、大正時代の華やかさも感じられるイベント「大正ロマン×百段階段」の見所を厳選して紹介しました。同イベントだけでみられる展示物や、初めての試みなども盛りだくさん。写真を撮るべきスポットもたくさんあるので、GWは「ホテル雅叙園東京」で思い出作りしてみてくださいね。
【会場】ホテル雅叙園東京 東京都指定有形文化財「百段階段」(東京都目黒区下目黒1-8-1)
【開催期間】2022年4月16日(土)~6月12日(日) ※5月25日(水)休館
【時間】11:30~18:00(最終入館17:30)
【料金】一般1,200円(税込)、学生600円(税込)※要学生証提示、未就学児無料
【販売窓口】ホテル雅叙園東京(一般入場券)、公式オンラインチケット(一般入場券/グッズ付入場券)
問合せ:03-5434-3140
・イベント公式サイト:https://www.hotelgajoen-tokyo.com/100event/roman