南ドイツ第2の都市・ニュルンベルクのシンボルといえば、「カイザーブルク」。1000年も前から街を見下ろしてきた皇帝の城は見どころが満載です。
ニュルンベルクで絶対に見逃せないカイザーブルクの魅力に迫ります。
神聖ローマ皇帝の城・カイザーブルク
古城街道沿いにある南ドイツ第2の都市、ニュルンベルク。全長5キロの城壁に囲まれた旧市街には、レンガ色の風情ある街並みが広がっています。
そんなニュルンベルクのランドマークが、街を見下ろす高台にそびえる「カイザーブルク」。1050年にハインリヒ3世によって建てられ、11世紀半ばに増築されて現在のような姿になったといわれています。
「カイザーブルク」とは、「皇帝の城」の意味。その名の通り、1050年から1571年までのあいだ、神聖ローマ帝国の皇帝たちが領土を周る折に滞在した権力の象徴でした。
(C) Haruna Akamatsu
旧市街から坂道を歩いていくと、その姿を現すカイザーブルク。堅牢な城壁に囲まれた巨大な城砦は迫力満点です。
二重構造の礼拝堂
(C) Haruna Akamatsu
1200年ごろにロマネスク様式で建てられた礼拝堂は、カイザーブルクのなかでも特に重要な場所。上部と下部が同じつくりの二重構造になっていて、上階にあるホールや皇帝の居室と直接行き来ができるようになっていました。
(C) Haruna Akamatsu
派手さはありませんが、800年以上も前に建てられた神聖な礼拝堂からは、歴史の重みがひしひしと感じられます。壁や支柱の美しい彫刻にも注目してみてください。
木組みの建物が並ぶドイツらしい風景
(C) Haruna Akamatsu
レンガ造りの質実剛健なカイザーブルクは、日本人がイメージする典型的な「ヨーロッパの城」とは少し違うかもしれません。
(C) Haruna Akamatsu
ここでは、木組みの建物や、建物を彩る花々が素朴で温かな雰囲気を醸し出し、どこかメルヘンチックな空気が漂っています。「神聖ローマ皇帝の城」と聞くと、荘厳で豪華絢爛な城を思い浮かべるところですが、こんなお城はドイツならではではないでしょうか。
50メートルの深井戸
(C) Haruna Akamatsu
カイザーブルクで有名な見どころのひとつが、50メートル以上の深さをもつ井戸。50メートルと聞いてもなかなかピンときませんが、建物であれば20階建てのビルに相当します。城の建設時に掘られたという古い深井戸を、15分ほどのガイドツアー形式で見学することができます。
ガイドさんが石を投げ入れると、石が水面に落ちる音が聞こえてくるまでに長い沈黙が。それによって、井戸の深さが実感できます。また、ろうそくの付いた滑車を井戸の中に下ろし、内部を照らして見せてくれるというプレゼンテーションもあり、思った以上に興味を惹かれるはず。
色とりどりの花々が咲き誇る庭園
(C) Haruna Akamatsu
かつての王たちの手によって、さまざまな庭園が造られたことでも知られるカイザーブルクでは、現在も色とりどりの花が咲き誇る美しい庭園を見ることができます。
庭園はカイザーベルクの他の見どころからは少し離れていて、城壁に沿って少し歩く必要があるので、見逃さないようにしてください。
展望台からニュルンベルクを一望
(C) Haruna Akamatsu
カイザーブルクの敷地内にあるジンヴェル塔の展望台からは、中世の面影を残すニュルンベルクの街並みが一望できます。360度さえぎるもののない塔からの眺めはまさに絶景。ニュルンベルクの街のみならず、壮大なカイザーベルクの全景も見渡せます。
(C) Haruna Akamatsu
いま私たちが見ているのは、戦後に復興された街並み。第2次世界大戦下、ニュルンベルクはドイツの街のなかでも特に大きな被害を受けた街のひとつでした。
街の90パーセントが破壊されるという壊滅的な打撃を受けながらも、戦後、城や教会、石畳の坂道といった中世の街並みが見事によみがえったのです。ニュルンベルクの風景を眺めるときには、美しい街並みを取り戻そうと汗を流した人々に思いを馳せたいものですね。
(C) Haruna Akamatsu
1000年の歴史をもつ皇帝の城にして、ニュルンベルクきっての絶景が楽しめるカイザーブルク。この城は、今も昔も変わらないニュルンベルクのシンボルなのです。
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