新茶が出回る季節になりましたね。筆者は埼玉県の狭山茶の産地で育ちましたので、この時期は製茶工場の慌ただしさと、町中に広がる緑茶の香りを懐かしく感じます。
さてそんな新茶のシーズン。せっかくですからおいしい緑茶を自宅で楽しみたいですよね。そこで今回はクールジャパン講師会の会長である椎屋美根子さんに、新茶のおいしい入れ方を聞いてみました。
併せて同講師会が神戸の観光茶園・静香園で主催したお茶摘みイベントの資料をもとに、緑茶を自宅で手もみする方法も紹介したいと思います。
新茶の煎茶(せんちゃ)をおいしく入れる方法は?
最初は新茶の煎茶をおいしく入れる作法から。大まかなステップは4つになります。
1.湯飲み茶わんにポットのお湯を8分目ほど入れて、湯冷ましをする
2.新茶の茶葉をティースプーン2杯(5g)ほど急須に入れる
3.湯冷まししたお湯を急須に注ぎ、30秒ほど待つ(二煎目は10秒)
4.最後の一滴まで湯飲み茶わんに注ぎ入れる
もちろん模範として示したこの入れ方も、絶対ではありません。茶園により少しずつ理想とする茶葉の量、お湯の温度、浸出時間などが異ってくるそう。さらに茶葉の産地や種類でも違ってくると言います。
「それぞれの好みに合わせて入れ方に微調整を加えていけばいいのではないか」と、取材相手の椎屋さんは教えてくれました。
新茶に適したお湯の温度は?
一般的に煎茶の適温とされるお湯の温度は70~80℃とされています。しかし、新茶に関しては低めの70℃前後が適しているそう。新茶は水分が多く渋みが出やすいため、70℃など低いお湯で抽出した方が、まろやかな味わいに仕上がるそうです。
70℃のお湯の作り方ですが、お湯は急須や湯飲み茶わんに移すたびに、夏場は5℃、冬場は10℃下がります。最初にポットのお湯(90℃)を急須に入れ、次に湯飲みに移し、再度別の湯飲みに移して2分ほど待つと70℃になるそう。
湯冷まし用の器が別にあれば、最初に急須にお湯を入れてから湯飲みに移し、湯冷ましの器に移し替えます。湯冷まし用の器があれば、2分は待たなくても構わないと言います。
最終的な判断は、お湯を入れた湯飲みを手に持ったとき、熱く感じるか感じないか。熱く感じないないくらいが70℃のサインなのだとか。温度計を使って何度か練習をして、自分の手で確かめられるように訓練をしてみてもいいかもしれませんね。
次は自宅で手もみの茶葉を作る方法です!
自宅で手もみの茶葉を作る方法は?
なかなかチャンスがないとは思いますが、茶葉を摘む機会があれば、自宅でも手もみの新茶を楽しめるみたいです。自作の手もみ茶で新茶を口にするなんて、なんだかすてきですよね。
茶葉を持ち帰ったら、可能な限りすぐ手もみに入ります。工程は3つ。
1.蒸す
電子レンジでもOK。お皿に茶葉を広げラップをして、茶葉がくたっと、ふにゃっとなるまで電子レンジにかけるといいそう。
もむ前の状態の茶葉。くたっと、ふにゃっとした状態の目安
2.もむ
次はホットプレートを用意し、弱の温度設定にしてからプレートの上に和紙をひいて、茶葉を広げます。あとはひたすら、1時間程度はプレートの上で両手を使って茶葉をこすり合わせるみたいですね。
茶葉は団子にするのではなく、針のように棒状にこすり合わせるイメージです。
3.乾燥させる
手もみが終わったら、風通しのいい日陰で、茶葉がバラバラになるまで乾燥させます。さすがにプロの手もみの茶葉には到底及ばないとは思いますが、機会があればぜひともチャレンジしてみてください。
以上、新茶のおいしい入れ方と、自宅で作る手もみ茶葉を紹介しましたが、いかがでしたか? せっかく緑茶のおいしい国に生まれ育っているのですから、その恵みを大いに味わいたいです。
[取材協力:椎屋美根子。クールジャパン講師会・会長。海外でのVIP接遇を経て、プロトコール(国際儀礼)を身につける。2011年、人材育成事業「Office Heartful Manner」を起業し、国内外において講習、研修などを行う。主な著書『クールジャパン一般常識 』(クールジャパン講師会)など]
[All Photos by shutterstock.com & Mineko Shiiya]
Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(
https://hokuroku.media/ )創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。
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