【TABIZINE 現地特派員による寄稿】
気球から眺めた「赤い河/クズルウルマック」とアバノスの町
「天は赤い河のほとり(作:篠原千絵)」の漫画をご存じですか?
主人公ユーリが、現代からヒッタイト帝国の繁栄していた時代にタイムスリップして、皇位継承に巻き込まれるという古代ロマンのストーリー。
舞台になった大河「赤い河」は、トルコの東アナトリアに始まり、カッパドキアを抜けて、弧を描くように黒海に流れ込む全長1355㎞のトルコで一番長い河です。トルコ語では、赤い河を「クズルウルマック」と呼び、クズルは赤(煉瓦色の赤茶)、ウルマックは河を意味しています。
カッパドキアと聞いてイメージする砂漠と奇岩とは、まったく異なる緑豊かな一帯が、この赤い河のほとりの町アバノスです。
アバノスは、カッパドキアの中心ギョレメの村から車で5分。路線バスでも気軽に行ける場所にあります。赤い河・クズルウルマックから採れる赤土を使った陶芸の町と有名です。
町にはいくつもの工房があり、赤土を使いヒッタイトのモチーフを描いた作品は、お土産としても人気です。実際に焼き物作り体験をさせてくれる工房もあり、良い旅の思い出に、作品を作るのも楽しいですよ。
絵付け作業中
ヒッタイトの柄を描いたワインカップ。ワインカップ以外にもワインのデキャンタや、プレートなど大きな作品から小さなものまで様々作られています。どれも、悠久のロマン感じる作品です。
ヒッタイト柄の焼き物
展示会で見つけた可愛いゾウの形のキャンドルポット
アバノスは町を挙げて「陶芸の町」をアピールしており、不定期ですが地元の陶芸家の作品を集めた展示会なども積極的に行っています。小さな展示会には、個性的でユニークな作品が並びます。驚くことにアバノスには、日本人の陶芸家もいらっしゃいます。和を感じる作品は、シンプルで優雅。今後さらなる活躍を期待しています。
人気のスポットー赤い河にかかる吊り橋
アバノスはカッパドキアの中でも、最近特に開発が進んだところ、大河・クズルウルマック周辺は整備され、河にかかる吊り橋や河のほとりに並ぶカフェやレストランは、地元でも人気の散策場所です。
さらに暑い夏の観光におススメなのが、ジェットボート&ゴンドラ!
水量の豊富な大河を使った新しいアトラクションです。水しぶきを上げて猛スピードで進み回転するジェットボートで悲鳴を上げる・・・夏の楽しみです。
一方ゴンドラは、イタリアのベニスのゴンドラさながら、ゆったりと赤い河を堪能できます。どちらとも、冬季はお休みですので、あしからず。
赤い河は、カッパドキアを抜けてさらに北上し、黒海にたどり着きます。その途中には、ヒッタイト帝国の「ハトゥッシャ」があります。カッパドキアから車で片道6時間程度。早朝出発すれば、日帰り観光もできるところです。カッパドキアに長めに滞在して、日帰りハトゥッシャ観光も歴史好きには、おすすめです。
ボアズカレのハトゥッシャ遺跡
赤い河に囲まれた地域を収めたヒッタイト帝国が繁栄したのは、今から4000年もの昔のことです。ヒッタイトの首都であったハトゥッシャの遺跡は、見晴らしの良い丘の上にあり、遺跡の観光には、車でそのまま入ます。なにしろ広大な敷地ですから、全てを歩いての見学はかなり大変なはず。車で進みメインのスポットごとに車を止めて見学します。
全景は積まれた石の台座が広がるだけ・・・でも4000年も前に作られたものが、現在も存在すること自体に感動します。
ライオンゲートのライオン像
ライオンゲートのライオン像。トルコにはライオンは生息しませんから、ヒッタイト人が想像で作ったのでしょうか。それにしても可愛い。
スフィンクスゲートの象は優雅です。遺跡内にあるこれらの象は、実はレプリカ。本物はアンカラのアナトリア博物館に展示されていますが、雰囲気は十分に味わえます。
奇岩だけではない、カッパドキアの新たな楽しみ方・・・「赤い河」のほとり過ごす時間も旅のスケジュールに組み込んでは、いかがでしょうか?
DAISY 現地特派員
カッパドキアで、のどかな田舎生活を満喫中。
オヤのアクセサリーデザインと販売を手掛けながら、旅のコーディネートをしています。
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