「昔々あるところにおじいさんとおばあさんがいました・・・」の語りだしで日本人なら誰もが知っている昔話、桃太郎。桃太郎伝説は日本各地に存在し、中でも有名なのは岡山県の吉備にまつわる話ですが、実は北海道から沖縄まで、似たような話が点在しているそうで、正確にどこでいつ頃成立したのか詳しくわかっていません。
そんな謎の残るおとぎ話、桃太郎の中で桃太郎一行が鬼を成敗しに行く島といえば鬼ヶ島ですが、この島が香川県に本当に存在しているのです。
香川県高松市女木街に属する女木島(めぎじま)は、別名鬼ヶ島とも呼ばれ、かの有名な桃太郎の物語の中で鬼が住んでいたとされる島です。今回は、桃太郎伝説の残る女木島の魅力とアクセス方法についてご紹介します。
女木島が鬼ヶ島と呼ばれる所以
香川県の桃太郎は、吉備津彦命(きびつひこのみこと)の弟「稚武彦命(わかたけひこのみこと)」がモデルとされています。稚武彦命が吉備の国から讃岐の国に来た時、土地の住民が鬼の出没で苦しんでいるのを知り、イヌ・サル・キジを率いて鬼を征伐しました。イヌ・サル・キジはそれぞれ周囲の島に住む勇士だったと言われています。
女木島鬼の館では、香川県に伝わる鬼の資料が展示されています
お話の中で鬼が住んでいたのが女木島と言われており、お話のように桃太郎が鬼を退治して鬼がいなくなったことから、実際に香川県には「鬼無(きなし)」という地名が存在しています。大正3年に女木島に大洞窟が発見され、桃太郎伝説と結びついたことで 、以来女木島は「鬼ヶ島」と呼ばれるようになりました。
今にも鬼が出てきそうな大洞窟!
女木島で 発見された大洞窟は、発見から10数年後の昭和6年に鬼ヶ島として公開されました。
洞窟が造られたのは、紀元前100年頃と言われています。大洞窟は、島の中央である鷲ヶ峰の中腹にあり、敷地内部には鬼の大広間や居間、鬼番人の控え室などが再現されています。洞窟の中は夏でもひんやりして、今にも鬼が出てきそうな雰囲気が漂います。
大洞窟だけじゃない!自然豊かな女木島の魅力
鬼ヶ島の名前で有名な女木島には、大洞窟以外にも魅力的なスポットがたくさんあります。女木港から徒歩5分先には、環境省の快水浴場百選にも選ばれた高い水質を誇る鬼ヶ島海水浴場があります。
また女木島のあちこちでは「オーテ」と呼ばれる独特の石垣を見ることができます。これは冬に吹く季節風や潮風から住宅を守るためのもので、島独自の外観を生み出しています。
鬼ヶ島大洞窟を出て約10分歩いた先には、島の最高峰の展望台、鷲ヶ峰展望台があります。瀬戸内海を見渡せる展望台は、春には桜の名所としても人気のスポットです。
女木島の鬼の館の北側には、1体のモアイ像が集落を見守るように立っています。このモアイ像は、イースター島の倒れたモアイ像を立て直すプロジェクトに参加した高松市の大手クレーンメーカーが研究用に作ったもの。重さ10.8トンのモアイ像は、その材質もイースター島のものと同じ凝灰岩で作られています。女木島の集落内では、3年毎に開かれる瀬戸内国際芸術祭の恒久作品も展示されており、アートを辿りながら島を散策するのもおすすめです。
女木島へのアクセス方法
女木島へは高松駅から徒歩2分、高松港第一桟橋から出るフェリーに乗って20分ほどで到着します。船から眺める瀬戸内海の美しい海と島々も移動の楽しみの一つです。
桃太郎伝説の伝わる鬼ヶ島の異名を持つ女木島。自然が作り出した迫力の大洞窟と、のんびりした時間の流れるこの島で、ロマンあふれる旅をしてみませんか。
[A Photo by shutterstock.com]