トンデモ説もあり! 巨大古墳はなぜ造られたのか?
Google Earthからから見た「大仙陵古墳」
巨大古墳と言われるもの全てが「前方後円墳」です。鍵穴のようなカタチの古墳で、3世紀半ばの邪馬台国があったとされる時代から7世紀まで造られていました。
巨大古墳が造られた理由については、王の権力を示すためと言われていますが、学術的には治定されていません。死者を悼む目的だけではなく、死者が神になってこの世を見守ると考えられていたためだという説もあります。また、地球外生命体の宇宙船の発着場だった、火星と地球を繋ぐ施設だったというトンデモ説も!
Google Earthからから見た「箸墓古墳」
なぜか『古事記』や『日本書紀』には卑弥呼の墓と言われている「箸墓古墳」の建設以外の記述は一切ありません。そのため、信ぴょう性に欠けますが、巨大古墳は有史以前に存在していた古代遺跡を墓にしたという説もあります。
ただ、 仁徳天皇陵として有名な「大仙陵古墳」は、ピーク時には2,000人が働き、15年8か月かけて造られたとのこと。そのため、当時の古墳造りは、膨大な時間と労力を費やした大事業だったことは明らかです。※大林組が試算
古墳時代の民は無理やり働かされていたのか?
巨大古墳は多くの人々によって造られました。しかし、人々は納得して古墳を造っていたのでしょうか? 奴隷のように働かされていたのなら、辛いですよね。邪馬台国があったとされる時代は、生き埋めにされた者もいたということなので、古墳時代初期には、もしかしたら奴隷のような存在がいたのかもしれません。ですが、次第に公共事業の一環として古墳を造るようになっていったのではないかと思います。資料はほとんどないので、あくまで想像ですが・・・。
古墳からはどのような副葬品が発掘されているのか?
古墳の副葬品は時代と共に変わっていきました。3世紀半ばから4世紀後半にかけては、鉄や銅製のやじり、腕輪、装身具、刀剣、宝器、そして「三角縁神獣鏡」など青銅製の鏡が副葬されています。銅鏡は中国から入ってきたものだと考えられていて、当時の日本の権力者が中国の王朝との関係を大切にしていたことが伺えます。この頃は、宗教色の強い副葬品が多い印象ですね。
5世紀になると、青銅製の鏡は少なくなり、鉄製の武器や武具、鉄鋌などが副葬されました。軍事的な力を持つリーダーが近畿地方に台頭し、朝鮮半島から多くの技術が入ってきたということなのでしょう。弥生時代に始まった戦争もピークを迎えていたのかもしれません。
このように古墳時代の副葬品の変化は、リーダーの性質や国際関係とリンクしているようです。
本当は恐ろしい、埴輪が古墳に置かれたワケ
古墳の上に並べて置かれた埴輪はなぜ作られたのでしょうか? 『日本書紀』によると、11代の垂仁天皇の時代(270年〜330年頃)まで高貴な人が亡くなると、選ばれた人々が生き埋めにされていたそうです。生贄にされた人たちの泣き声が土の中から聞こえたとか。そんな様子を見続けてきた野見宿禰(のみのすくね)が「生きている人間の代わりに埴輪を埋めてはどうか」と、垂仁天皇に進言して、受け入れられ、埴輪が古墳に置かれるようになったそうです。
宗教的な意味合いで生贄を捧げていたのだと思いますが、想像しただけで息が苦しくなってきますよね。
古墳が造られなくなったのはなぜ?
6世紀末までに巨大古墳は造られなくなりました。この頃は、方墳や円墳、八角墳が造られていたそうです。646年、大化の改新の中の薄葬令によって、巨大古墳を造るのが難しくなり、古墳が小型で簡単に造れるものに変わったのです。その後、仏教が入ってきたことによって、火葬が増えるなどして、古墳は造られなくなったと考えられています。
旅行ついでに訪れたい、見学できる古墳
全国各地には見学可能な古墳があります。大阪府高槻市の「今城塚古代歴史館」は、入場料無料で、出土品や資料を見学できます。ロビーには実物の埴輪の展示も! また隣接する城塚古墳は「いましろ大王の杜」という公園になっていて、古墳はもちろんのこと、たくさんの埴輪が並ぶ様子も見ることができますよ。旅行ついでに訪れてみたいスポットです。
住所:大阪府高槻市郡家新町48番8号
電話:072-682-0820
開館時間:午前10時~午後5時(入館は4時30分まで)
休館日:月曜日(祝日は開館)・祝日の翌平日、年末年始(12月28日~1月3日)
暴風警報・特別警報が発表された場合は、臨時休館します
入館料等:無料 ※特別展・企画展は有料の場合があります
HP:http://www.city.takatsuki.osaka.jp/rekishi_kanko/rekishi/rekishikan/
巨大古墳はなぜ造られたのかについては、いまだ解明されていません。だからこそ、様々な仮説が出てきて、面白いですよね。
参考文献
[日本の歴史 本当は何がすごいのか]
[日本書紀(上)全現代語訳]
[Photos by Shutterstock.com]