モンテネグロ最大の聖地であるオストログ。
キリスト教の一大聖地でもあるこの地には毎年世界中から10万人以上もの人々が巡礼に訪れ、「奇跡の聖地」として人々の厚い信仰を集めています。
断崖絶壁に建つ聖地
修道院に辿り着くには、細い山道を延々と登ってゆき、最後は自分の足で長い階段を登ってゆかなければなりません。
標高約800メートルの秘境の地に修道院が建てられたのは17世紀前半頃。聖ヴァシリエというひとりの修道士により築かれました。俗世と切り離されたこの地で、修道士たちは神と人々のために生涯を捧げてきました。
オストログ修道院は上院と下院に分かれており、敷地内にはいくつかの修道院や教会が建っていますが、その中で特に見る者を圧倒するのが、岩壁に建つ洞窟教会「聖十字架教会」。渓谷を見下ろす切り立った岩の隙間に、人目を忍ぶようにひっそりと佇んでいます。
長い時の流れの中で、戦争や火事など様々な困難がオストログ修道院にふりかかりましたが、岩の隙間に立つこの教会は、奇跡的にそのいずれの難をも逃れることができました。
奇跡をもたらす聖ヴァシリエ
生神女進堂教会には聖ヴァシリエの遺体が安置されており、聖人の遺体に祈りを捧げると、病気が治ったり、人生の困難を克服できたり、様々な奇跡が起きると信じられています。
そのため、オストログ修道院には世界中から多くの人々が巡礼に訪れますが、宗教、宗派を問わず、訪れるすべての人々を平等に迎え入れてくれます。
誰もが訪れることを許される聖地ですが、荘厳で崇高、どこかピンと張り詰めた厳粛な空気が漂います。巡礼者は皆「魂が震えるような感覚」を覚えるそうです。
秘境の聖地
自然と人々の信仰が生み出した秘境の聖地オストログ。
神と奇跡を信じる人々の強い思いが集まるこの地には、確かに神秘の力が溢れています。山を降りる頃には、きっと心が少し軽くなっていることでしょう。
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