客室乗務員からの転身で見えたデジタル業界とは?
実は私、おおよそ8年半に渡り、LCCやANA、チャイナエアラインなどの客室乗務員をやっていたんです。旅好きの自分にぴったりの専門性の高い職業ではあったのですが、コロナ禍で航空業界全体が厳しい状況に陥ってしまって……。
「人生100年時代、さらにスキルアップしていきたい!」という思いもあり、これからさらに面白くなっていくであろうITデジタル関連に目を向けて転職活動を行うなかで、コロナ禍でも順調に業績を伸ばしている1SECに興味を持ち、2カ月間のインターンを経て、2020年10月に入社しました。
いや、それが……(笑)。入社前はExcelやPowerPointもできないほど、デジタルには疎かったんです。とはいえ、コロナ禍で社会のDX化が急速に進む中で、自宅に居ながらバーチャル空間で楽しむ機会がだんだん増えてきて、「もっとデジタルを極めてみたい」と思うようになりました。
また、客室乗務員時代にもSNS上でインフルエンサー的に情報発信をしていたこともあって、コミュニケーション能力の高さには結構自信があったんです(笑)。「世界中の人々や企業をエンパワーメントする」を企業理念に掲げている1SECなら、その能力が活かせるんじゃないかなと思ったところもありますね。
デジタル技術の活用で推進する「クリエイティブの活性化」
話題の「NFT」などのブロックチェーン技術を活用したコンテンツ開発の先駆けとして、デジタルファッションレーベル「1BLOCK」から日本初のバーチャルスニーカー「AIR SMOKE 1(エアスモークワン)」をリリースしたり、AIを搭載したバーチャルヒューマンを企画開発してβ版をローンチしたり。また、NFTを活用したファンコミュニティサービス「PEEEPS(ピープス)」の運営も行っています。
これらのような、テクノロジーを通してブランドやクリエイターの方々の経済活動をサポートする事業も行ったりするなかで、私自身は主に「1BLOCK」のPRやサービスの営業などを担当していいます。
いやぁ、おっしゃる通り、覚えるまでは相当大変でした(笑)。
トレンドの最先端は海外なので、海外のネットニュースを閲覧したり、NFTクリエイターのTwitterをチェックしたり、1SECと協業している企業の方々と開催してるオンライン勉強会に参加したりしながら、最新のテクノロジー関連の知識をアップデートしていきました。
新たな価値を生み出す「NFT」とは?
NFTとは「Non-Fungible Token(ノン-ファンジブル トークン)」の頭文字を取ったもので、日本語で「代替不可能なトークン」という意味なんです。「ブロックチェーン」と呼ばれる技術を使って偽造不可にすることでそのデジタル商品に希少価値を与えて、それが唯一無二な存在であることを証明する鑑定書を発行するようなイメージです。
正直なところ、横文字ばかりで頭に入りにくかったので、実際に「NFTアート」を購入してみることにしました。世界最大級のマーケットプレイス「Open Sea」で、NFTアートを0.06ETH(当時価格約2万円)で購入しました。アートというと高額なイメージがあるかもしれませんが、手頃なものだと0.007ETH(当時価約3千円)くらいからあるんです。
初めて購入する方は、モノ選びに戸惑うかもしれません。そういうときは、ランキングのコーナーや、#NFTアート」などのTwitter検索でさまざまな情報をチェックするのも参考になるはずです。また、弊社「1BLOCK」のデジタルスニーカーも販売しているので、興味を持ってもらえるとうれしいです。
好きなクリエイターがTwitterのホーム画面にOpen Seaのリンクを貼っていて、NFTアートを出している場合もありますし、気に入ったNFT作品を購入するのは、そのクリエイターの活動を応援することにも繋がります。これってなんだかアイドルグループを推す感覚に近いようにも思っています。
またNFTの場合、作品の市場価値が上がったりもするので、資産として保有するという考え方もできるんですよね。例えば、自分の洋服をオークションサイトなどで販売した場合、その洋服は私の物ではなくなりますよね。一方で、NFTが付与されているものなら、「もともと小濱が所有していた服である」というのが記録としてずっと残るので、その後売買が繰り返されて価値が上がると私も利益が得られる場合もあったりするのです。
NFTで叶う新しい楽しみ方
「BAYC(Bored Ape Yacht Club)」という類人猿をモチーフにした有名なNFTアートがあって、最低価格は日本円に換算すると4,500万円くらい。海外セレブや有名ブランドも保有するほどの人気があるようです。1点モノですが、1万種類くらい出ています。
「BAYC」の場合は商用利用もOKで、マルチユースが可能です。SNSのアイコンにしている人も多いのですが、なかにはTシャツなどのグッズにしたり、「BAYC」のNFTアートを保有している人だけが遊べる空間を作ったりと、保有者みんなでコミュニティを盛り上げているのも特徴ですね。コミュニティが活発なほど資産価値も上がる傾向です。
「Decentraland(ディセントラランド)」と呼ばれるメタバースのプラットフォームで、アバターにバーチャルスニーカー「エアスモーク」を履かせて遊んでいらっしゃるユーザーさんもいらしゃるようです。ゆくゆくは「ファイナルファンタジー」レベルのクオリティを持つアバターが闊歩するバーチャル空間で、買い物をしたりする世界が来るはずです。
※現在では、メタバースで着用する場合は、そのメタバースの規格に合わせたデザインに変更することが必要です
1SECが提供しているバーチャルヒューマンは、人間の顔を360度3D CDスキャンして作ったリアルなキャラクターに「ONE AI(ワンエーアイ)」と呼ばれる、人工知能が搭載されています。
アパレルブランドの「Ameri VINTAGE(アメリ ヴィンテージ)」の店頭で、2021年秋にバーチャルヒューマンの「アデラ」が試験的に接客したことも話題になりました。たとえば「2022SSの一押しアイテムは?」と質問すると答えてくれたり、中期的にはアデラがユーザーの外見の特徴と統計的なデータを踏まえて、おすすめコーデを解説してくれたりもするのです。
バーチャルヒューマンなら、休憩要らずで24時間フル稼働できますし、学習すれば何カ国語でも話せるようにもなりますよ。
そうですね(笑)。メタバースの世界がもっと身近になって世の中に浸透すれば、アバター用のデジタルファッションの需要もさらに高まるはずです。Ameri VINTAGEさんはデジタルオートクチュールドレスもリリース予定ですが、現実では身に着けないようなジャンルの洋服もデジタルファッションなら気軽にトライできますよね。
スニーカーセレクトショップの「atmos(アトモス)」さんとコラボしたバーチャルスニーカー”ELEPHANT”の動画を見ていただくと分かるように、デジタルファッションなら、実写版ディズニー映画のヒロインたちのように一瞬でドレスに着替えたりするようなモーションをつけることも可能なんです。近々、3DCG で生成されたデジタルファッションをスマートフォンのカメラを通じてARで着用できる iOS アプリケーション「METADRIP」のβ版もリリースするそうです。
はい。まさしく私たちの日常生活にも浸透しつつあります。TABIZINE読者の方が遠い場所にいるお友だちとアバター同士で待ち合わせて、おそろいのデジタルファッションを楽しんだり、バーチャル世界旅行にでかけたり。そんな未来もそう遠くはないかもしれませんね。
素敵なお話をありがとうございました! コロナ禍で海外旅行がしにくい状況ではありますが、NFTやメタバースが今よりもっと身近になったら、旅の概念も変わりそうですね。1SECさんからは、今後も新進気鋭のアーティストとコラボしたデジタルスニーカーやアバター、ARアプリなどが続々リリースされるとのこと。ぜひチェックさせていただきます!
[取材協力:1SEC]