Morumotto / Shutterstock.com
性器の形をした象徴的な造形物
Morumotto / Shutterstock.com
男性器や女性器を祈りの対象とした祭りが全国には数多く見られます。 例えば、福井県の「八朔祭り」、三重県の「ごんぼ祭り」、新潟県の「ほだれ祭」、愛知県の「豊年祭」、神奈川県の「かなまら祭」、徳島県の「姫神祭」など、さまざまですね。
性器や性器の形をした象徴的な造形物をみこしに担いだりして、多産や五穀豊穣などを願う祭りです。
欧米人旅行者が写真を撮っては、「日本はエキセントリックでミステリアスな国だ」と語る際の「証拠写真」のようにも扱われていますが、このような奇祭はどうして全国各地にあるのでしょうか。
農業文化が育った土地では当たり前!?
Morumotto / Shutterstock.com
そもそも、性器を象徴的に(あるいはリアルに)再現した造形物を崇拝する人の振る舞いを、性器崇拝・生殖器崇拝と呼ぶそうです。
<生殖器(性器)に対する崇拝で、生殖器のもつ神秘的な力、とくに生殖器により象徴される生産力、豊穣(ほうじょう)力に対する信仰>(小学館『日本大百科全書』より引用)
日本だけの独自の文化ではなく、一定の農業文化が育った土地では当たり前に見られる信仰の姿 なのだとか。
例えば、インド、ネパールなどのヒンドゥー教が盛んな土地でも性器崇拝が盛んで、チベット、中国など、仏教系の性崇拝物が日本にやってきたルート上でも見られると言います。
エジプト、ギリシアなどの古代文明でも見られ、アフリカでも見られるみたいですね。
日本の場合は、仏教系の性器崇拝に加え、神道系の流れもあるらしく、いずれにせよ五穀豊穣(ほうじょう)の儀礼は世界各地で性と密接に関係してきたと知られています。
田んぼでの性行為が疑似的な豊年祭りへ
ManuelML / Shutterstock.com
ではどうして人は、性と豊かな実りを結び付けて考えてきたのでしょうか。例えば、日本の神道系の性器崇拝の場合、稲の実りを祈って農夫婦が田で性行為し、田の神を刺激した習慣がかつてあったといいます。
現代人にとってはびっくりな話ではありますが、疑似的な形としてそれが次第に豊年祭りにとって代わります。最終的には、祭に用いられる生殖器や類似物がご神体になった流れがあるみたいですね。
Joshua Hawley / Shutterstock.com
ヒトの精子が発見されたのは1677年(延宝5年)です。受精卵の由来が明らかにされた時期は1876年(明治9年)。
それまで人類は、どうして子どもが生まれるのか、科学的には説明できなかったみたいです。しかし、性行為で不可欠の生殖器が生命の誕生に関係する器官だと人間は直感し、神聖視する感覚を同時に持ったのだとか。
その神聖視と、土壌・農作業が密接に絡み合い、田んぼでの行為、疑似的な豊年祭り、生殖器のご神体へと移り変わって、現代に受け継がれているのですね。
以上、全国で見られる生殖器崇拝の奇祭について紹介しました。
生殖器をあがめる奇祭=エキセントリックな祭りと面白がるだけでなく、その背後につながる人間の農耕の歴史に思いをはせると、見え方が深まってくるはずです。
皆さんの暮らす街の近くにもこの手の奇祭が残っていないか、調べてみると面白いかもしれませんよ。
[参考]
※ ブリタニカ国際大百科事典
※ 『日本大百科全書』(小学館)
※ 生命科学からみた生殖器崇拝 – 法政大学学術機関リポジトリ
※ 『世界大百科事典』(平凡社)
※ エチエチ過ぎる!全国の性の奇祭13選【会社で見ちゃダメ!】 – オマツリ ジャパン
Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(
https://hokuroku.media/ )創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。
【日本三大パワースポット】分杭峠・富士山・あと1つはどこ?なぜパワーがあ
May 5th, 2024 | あやみ
日本全国にはパワースポットと呼ばれる場所が点在しています。なかでも日本三大パワースポットに挙げられるのが、長野県の「分杭峠」、静岡県・山梨県の「富士山」、石川県の「珠洲岬」です。誰が決めたのか定かではありませんが、いずれもユニークだったり、風光明媚だったりするため、一度は訪れたいスポットといえます。今回は、それぞれの特徴や歴史、見どころをご紹介します。
【月の不思議】いまだに解明されていない謎5選!最新の月面探査計画・月旅行
May 1st, 2024 | あやみ
月とはご存知の通り地球に一番近いところにある天体です。しかし、いまだに多くの謎があります。日本には「月うさぎ伝説」や『竹取物語』のかぐや姫といった、いくつもの伝説や物語が残っているため、月はどこか神秘的な存在ですよね。今回は、そんな月の不思議にフォーカス。最新の月面探査計画・月旅行についても、あわせてご紹介します。
【BTSのトラベルグッズ】「BT21 minini(ビーティーイシビル
Apr 28th, 2024 | RUKA
海外旅行に必須なパスポート。あなたはパスポートをケースに入れていますか? そのパスポートを保護してくれるパスポートケースは、チケットやお札、カードなども一つにまとめられる便利なアイテムです。機能性が高いものや、デザインを重視したものなど様々で、選ぶのに迷ってしまう人も多いのではないでしょうか? そこで今回は、世界的スターBTSとLINE FRIENDSのコラボレーションにより誕生した、キャラクター「BT21 minini(ビーティーイシビル ミニニ)」のパスポートケースをご紹介します。
【日本三大遊郭】江戸「吉原」・京都「島原」・もう1カ所は?歴史や現在の様
Apr 28th, 2024 | あやみ
「遊郭」とは、平安時代から鎌倉時代にかけて発達した遊女屋を、江戸時代に幕府が都市政策の一環として集め、公認した特定地域のことです。そのため、江戸時代には芝居と並ぶ娯楽になりました。今回は、日本三大遊郭に数えられる「江戸吉原」「京都島原」「大坂新町」の歴史や特徴、現在の様子についてご紹介します。
【旅の裏技】スーツケースを持たずに帰れる!JAL・ANA国内線の荷物配送
Apr 27th, 2024 | TABIZINE編集部
空港から自宅までの帰り道、スーツケースを持って帰るのが面倒だなと思いませんか? 旅の帰りはお土産などを買って、荷物も重くなりがち。JALとANAの国内線利用の場合、空港で荷物を預けるときに料金を払い手続きをすれば、そのまま自宅まで送ってくれるサービスがあるんです。もちろんホテルなど宿泊施設まで送ってもらうこともOK。到着空港で荷物をピックアップする必要もなく、そのまま自宅に帰れるのは超便利ですよ!
【国内旅行の持ち物チェックリスト】1泊2日・2泊3日・女子必須アイテムや
Apr 26th, 2024 | sorano
久しぶりの旅行! わくわくしながら荷造りを始めると、何を持っていけばいいのかわからなくなることってありますよね。そんな悩みを解決する国内旅行の持ち物リストです。1泊2日、2泊3日バージョン、女子の必須アイテム、便利な100均グッズなど無料でダウンロードできるチェックリスト(PDF)付きです。
【宮内庁インスタがフォロワー100万人超】世界の王室アカウント8選!日本
Apr 24th, 2024 | TABIZINE編集部
宮内庁は2024年4月1日にインスタグラムの公式アカウントの運用を開始。同アカウントは、皇室の活動をより若い世代にも伝えることを主な目的として開設され、3週間でフォロワーが100万人を超えました。そこで、世界の王室のインスタグラムものぞいてみましょう。英国、デンマーク、オランダ、スウェーデン、ノルウェー、ベルギー、モナコ、ルクセンブルクの各王室の公式インスタグラムを、日本との関係とともに紹介します。
【海外旅行の持ち物チェックリスト】女子必須アイテムや100均便利グッズも
Apr 24th, 2024 | sorano
海外に旅行へ行こう! と思い立ったものの、何を持っていけばいいかわからない、荷造りしたけれど忘れ物がないか不安、ということはありませんか? そんな悩みを解決する海外旅行の持ち物リストです。海外旅行ならではの持ち物や、女性に必要なアイテム、あると便利なもの、100均グッズなども紹介。PDFとして無料ダウンロードできるチェックリスト付きです! 海外旅行の準備の際に活用してくださいね。
【2024年4月24日はピンクムーン】いつ見られる?春の夜空に輝く満月の
Apr 22nd, 2024 | あやみ
2024年4月24日(水)の満月は、「ピンクムーン」です。ピンクに輝く月を想像してしまいますが、月がピンク色になるわけではありません。実は、月が見える時期によって、さまざまな名前がつけられているのです。今回は、ピンクムーンの由来や意味、見える時間帯などをご紹介します。
【日本三大バームクーヘン】治一郎・クラブハリエ・もうひとつは?歴史やおす
Apr 21st, 2024 | あやみ
バームクーヘン(バウムクーヘン)は、ドイツの代表的なお菓子のひとつで、木の幹に似せてつくられるのが特徴です。バター、砂糖、卵、小麦粉、コーンスターチなどを混ぜた生地を長い木の棒に薄く塗りつけて火の上で回転させ、表面に焼色をつけながら焼くを繰り返します。日本初のバウムクーヘンは、「ユーハイム」の創業者であるカール・ユーハイムが1919年に焼いたといわれていますが、いまはさまざまなメーカーによる個性豊かなバームクーヘンを味わうことができます。今回は、日本三大バームクーヘンに数えられる治一郎・クラブハリエ・銀座ねんりん家、それぞれの特徴と歴史、おすすめの商品をご紹介します。