【実はこれが日本一】標高2,908mの「池」の運命は?噴火で変わった二ノ池

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Jun 28th, 2022

TABIZINEでは今までに意外な日本一を紹介してきました。例えば、日本一高い場所にある橋や駅なども紹介しましたが、日本一高い場所にある「湖」といえばどこになるのでしょうか。

長野県御嶽山二ノ池1
 

 

日本で最も高い場所にある湖

長野県御嶽山
「日本一高い場所にある○○」と言われると、それだけでなんだかロマンチックに聞こえてきますよね。

例えば、「日本一高い所にあるホテル」と言われると、それだけで宿泊したくなりますし、「日本一高い場所にある駅」と言われると、用がなくても訪れて下車してみたくなるのでは?

では、日本一高い場所にある湖は、どこになるのでしょうか?

そもそも湖とは「水海(みずうみ)」とも読めます。淡水がかなりの広さで、海にも見えるくらい塊となって存在する場所を意味します。沼とは、その湖を小さくした水場です。池は、湖沼よりもさらに小さい存在。

スイスの湖沼学者フォーレル(1841-1912年)は、このような感じで分類しているようです。

<湖:水深が大きく,植物は湖岸に限られ,中央に深い所には沈水植物を見ないもの
沼:湖より浅く,最深部まで沈水植物が繁茂するもの.
池:通常,湖や沼の小さなものをいい,特に人工的に作ったもの>

(国土地理院の公式サイトより引用)

今回の話は、名前こそ「池」と呼ばれていますが、分類は湖のようです。

標高2,908mは日本一

長野県御嶽山二ノ池2
水面には火山灰が流れ込んでいる

『日本大百科全書』(小学館)によると、その湖は標高2,908mにあるそうです。もちろんその高さは「日本最高位」と書かれています。

これだけの高さにあるとすれば、そもそもかなり高い山が必要です。必然的に3,000m級の山々が密集する北アルプス(飛騨山脈)か中央アルプス(木曽山脈)、南アルプス(赤石山脈)のどこかになりそうです。

答えは、北アルプスの南にある「御嶽山」です。長野県と岐阜県の県境にまたがる御嶽山は、2014年(平成26年)9月に日本中を震撼(しんかん)させた大噴火が起きました

今回紹介する湖は、その御嶽山の山頂(剣ヶ峰)のすぐ近くにある「二ノ池」です。

もともとは、エメラルドグリーンの水をたたえた、登山客に知られた人気のスポットでした。その水は、近くの山小屋の飲み水としても利用されていたのだとか。しかし、その湖は今、消滅の危機にさらされています。火山灰が流れ込み、湖の大きさに影響が出てしまっているのです。

噴火警戒レベルが1になり登山可能に

長野県御嶽山二ノ池3
噴火直後、噴火警戒レベルが引き上げられ、御嶽山は入山が禁止されました。

火山活動が落ち着くとともに噴火警戒レベルが下げられ、噴火警戒レベルが現在は1に下げられています(2022年6月27日時点)。

<火山活動は静穏。
火山活動の状態によって、火口内で火山灰の噴出等が見られる>

(気象庁の公式サイトより、噴火警戒レベル1の解説を引用)

しかし、引き続き、災害対策基本法によって火口周辺は立ち入りが禁止されています。

噴火による噴石や火山ガスの発生を理解し、十分に注意する限りにおいては、ある程度まで登山が可能になっていますが、一部登山道は通行禁止となっています。

とはいえ、まだ見ていない人にとっては、いつか実物を見ておきたい日本最高所の湖。御嶽山立入規制情報を定期的にチェックして、安心だと各人が納得して訪れられる日を楽しみに待ちたいですね。

[参考]
二ノ池、消えてしまう… 御嶽山噴火時の火山灰が流入 – 北陸・信越観光ナビ

御嶽山に新しい池「二・五ノ池」 3年前の噴火の影響か – 朝日新聞

二ノ池山荘

御嶽山警戒レベル1に引き下げ、4カ月ぶり 剣ケ峰山頂登山が可能に – 岐阜新聞

国土の情報に関するQ&A – 国土地理院

令和4年(2022年)6月23日 14時に、噴火警戒レベルがレベル2(火口周辺規制)からレベル1(活火山であることに留意)に引き下げられました。 – 木曾御嶽山安全対策情報

噴火警戒レベルの説明 – 気象庁

2014 年(平成 26 年) 御嶽山噴火による災害

[All photos by Shutterstock.com]

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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