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最も醜い建築物ワースト10
長江の河口(揚子江)から2,400キロメートルも奥地に入った中国の内陸部に重慶という土地があります。世界史を学んだ人であれば日中戦争の重要な舞台としてなんとなく記憶しているはずです。
その重慶市の武隆区には、中国の北京に拠点を置く建築に関するウェブサイト『Archcy.com』が「2020年版・中国で最も醜い建築物ワースト10」に選ぶ、突っ込みどころ満載のアトラクションがあります。
中国名で『飛天之吻』。発音は「Fēitiān zhī wěn」です。アルファベットの上に見られる記号(ピンイン)の説明は省くとして、ローマ字風に読めばなんとなく音が分かります。
>>Google翻訳による発音はこちら
ただ、ぱっと見で日本人には最後の「吻」が分かりづらい漢字かもしれません。中日辞典を調べると、
<接吻(せっぷん)する. 口づけをする>(『講談社パックス 中日・日中辞典』より引用)
とあります。言われてみると「せっぷん」の漢字は「接吻」と書きますよね。『飛天之吻』の英語名は『Flying Kiss』です。
一体、どんなアトラクションなのでしょうか。
伝説上の仙女と白馬の王子を模した人型クレーン
『飛天之吻』とは、レストランの配膳(はいぜん)係がお盆で料理を運ぶように、伝説上の仙女と白馬の王子を模した高さ52mの人型クレーンが、回転式の円形展望台を上空まで持ち上げます。
シートベルトもない状態で手すりにつかまりながら、姫路城の天守閣よりもはるかに高い上空から乗客は眺望を楽しみます。
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しかも『飛天之吻』自体が標高1,000m近くに位置しているので、最高到達点からの眺めは圧巻みたいです。風が吹き抜け揺れを感じると、思わず足がすくむほどなのだとか。
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男女を模したクレーンはらせんを描きながら展望台を上空で動かしつつ、キスするような格好に最後はなります。そのため『飛天之吻』と名付けられているのですね。
足元の窓越しに「キスシーン」も楽しめる
ちなみに、恋物語の主人公である仙女と白馬の王子が「キス」するとき、人型クレーンの頭上に展望台は掲げられるので、乗客からすると口づけが足下で交わされる位置関係となります。要するに、ハイライトのシーンが見えません。
そこで、展望台の床には透明な窓が設けられ、足元の窓越しに「(実際に唇は触れない)キスシーン」を楽しめるようになっています。
伝説上の話として、皇后の怒りを買い山にされた仙女(仙女山)と白馬の王子(白馬山)の恋仲を、さらに決定的に引き裂く川(烏江)も展望台からは眺められます。
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あくまでも偏見ながら、突っ込みどころ満載の見た目なので、安全性の心配がどうしても感覚としてぬぐえないですが、中国の重慶を旅する機会があれば、ぜひ立ち寄ってみたいですね。
[参考]
※ You Won’t Be Able To Guess Why The Flying Kiss Ride In China Is Breaking The Internet! – TRAVEL + LEISURE
※ Is beauty to be found in ‘ugly’ attractions? – SHINE
※ Would You Go On China’s ‘Flying Kiss’? Here’s Why The World’s Tallest Attraction Ride Is So Terrifying – GQ
※ 重慶武隆「飛天之吻」奇葩建築,美學是誰的責任? – FAM
※ “看世界 到武隆” 双晒专场直播活动 – 国际在线
※ One of China’s most bizarre new attractions is dividing public opinion – IAAPA
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Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(
https://hokuroku.media/ )創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。
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