【実はこれが日本一】面積9.73平方キロ!日本最大の無人島は北海道沖にあった

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Feb 21st, 2023

日本一高い山は「富士山」、日本一大きな湖は「琵琶湖」、日本一高いタワーは「東京スカイツリー」など、有名な日本一はいろいろありますが、あまり知られていない、ちょっと意外な日本一を紹介するシリーズ「実はこれが日本一」。今回は、日本で一番広い無人島について紹介します。

北海道渡島大島
渡島大島全景 南西側上空から 2004年4月10日気象庁撮影(気象庁ホームページより)
 


 

北海道にある日本最大の無人島


Wikipediaより

日本には一体、いくつの島があるのでしょうか? 最近、公式の島の数が倍近く「増え」ました。「増えた」とは、国土地理院が島を数え直してみると、6,852あった離島が、1万4,152あったとわかったということです。

前は、1987年(昭和62年)に海上保安庁が発表した数で、35年以上の時を経て見直されました。

見直されるにしても、あまりにも変化が大きい印象があります。当たり前に思っていた「常識」も、意外にも頼りない土台の上に成り立っている場合が少なくないのですね。

さて、そんな島の話です。日本には数多くの島があるとわかりましたが、その中で最も大きい無人島といえば、どこになるのでしょうか?

小ささで競うと、どこまでを島と判断するのか(岩と判断するのか)、線引きが容易ではない部分があります。しかし、最も大きな無人島といえば、ある程度はっきりわかりそうな印象です。日本で最も大きな無人島はどこにあるのでしょう。

バチカン市国やモナコ公国より広い無人島


Wikipediaより

日本で最も大きな無人島は、「渡島大島(おしまおおしま)」です。自治体では、松前藩のあった北海道南部の松前町に属します。

地図をチェックしてみましょう。1/120万の縮尺の地図を見ると、函館などがある渡島半島の西方沖合、約50kmのところに、そこそこ大きな島が見えます。

松前町によると、上陸するには、沿岸から漁船で3時間ほどかかるそう。南北3.5km、東西6km、親指と人差し指でマシュマロを挟んで少しつぶしたような形の島で、島の周囲は16kmです。広さは9.73平方キロメートル。

例えば、バチカン市国の広さは0.44平方キロメートルです。モナコ公国の広さは2.02平方キロメートル、ニューヨークのセントラルパークは3.4平方キロメートル、そう考えると結構広い島ですよね。

なかなか人の住める場所ではない


Wikipediaより

これだけ広い島に本当に人は住んでいないのでしょうか?

松前町によると、

<江良岳737メートル、清部岳722m、寛保岳648メートルを頂点に海岸線部まで急傾斜地が>(松前町のホームページより引用)

続く地形だそうです。

目立った火山活動が現在はないもののいずれも火山で、1741年(寛保元年)に大噴火し、山体崩壊を起こして、渡島半島の沿岸にまで津波を引き起こしています。その被害は有史以来、東日本で起きた最大の噴火災害に数えられるようですね。

海岸線まで急傾斜地が続く上に、百科事典によると、海岸はがけが多いらしいので、普通に考えて人が寄り付く島ではありません。島の周辺は、豊かな漁場だそうですが、気象の急変が激しい地域で、海難事故も後を絶たたないのだとか。

人の居住は確認されているものの、ワカメの採取のために海女が季節限定で仮暮らししていただけみたいですね。

野鳥の暮らす北海道の火山島

オオミズナギドリ
Shutterstock.com

では、どんな生き物が暮らしているのでしょう? 野生化したウサギや子ネコほどのネズミが暮らしているようです。ウサギとは、1930年代ごろに上陸した人の手によって持ち込まれたらしいですね。

さらに、天然記念物に指定される「オオミズナギドリ」という鳥が暮らしています。百科事典によると、カモメに似た生き物で、日中は海上に出て、日没後に島に戻り、日の出前にまた飛び立つ毎日を送っているそうです。

サントリーの愛鳥活動というホームページによれば、穴掘りと木登りが得意な変な鳥だと紹介されています。

その オオミズナギドリの繁殖地として渡島大島は知られています。日本最大の無人島は、野鳥の暮らす北海道の火山島だったのですね。

以上、日本で最も大きな無人島について紹介しました。島に恵まれた日本。どのような離島が国内に他にあるのか、ユニークな特徴を持った島をこの際、ぜひ調べてみてくださいね。

[参考]
日本最大の無人島「渡島大島」におけるオオミズナギドリの受難史 – 海洋政策研究所
渡島大島の位置と歴史 – 松前町
渡島大島(おしまおおしま) – 気象庁
沿岸域 22801 渡島大島 – 生物多様性の観点から重要度の高い海域
日本の島の数1万4000超だった 国土地理院調査 35年ぶりに島の数変更へ – TBS
オオミズナギドリ – サントリーの愛鳥活動

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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