東京ドーム6倍以上の広さ!「世界最大のデパート」のルーツは「三越」【旅に関する面白いギネス記録】

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Jul 1st, 2023

1955年に書籍から始まった「ギネス世界記録」。人間が達成した記録や、自然界で起きた「世界一」など、さまざまな世界記録を認定・登録しています。その中から、旅行に関するギネス世界記録を紹介するシリーズです。今回は、旅の目的地にもなるデパートに関する世界一を紹介します。

韓国・釜山・新世界センタムシティ店
©️Colin Hui / Shutterstock.com
 


 

世界一広い百貨店

韓国・釜山・新世界センタムシティ店夜景
©️Keith Homan / Shutterstock.com

世界のデパートといえば、どこを思い出しますか? イギリスの「ハロッズ」や「セルフリッジ」、フランスの「ル・ボン・マルシェ」や「オ・プランタン」、中国の「SKP」、香港の「レーン・クロフォード」、ロシアの「グム百貨店」などでしょうか。

日本の百貨店では、「高島屋」「伊勢丹」などが思い浮かぶと思います。西武池袋線の沿線で生まれ育った筆者の場合は「西武」の印象が強いです。デパートといっても、それこそ世界中にいくつも存在するわけです。

その数あるデパートの中で、広さ世界一を誇るデパートといえば、どこかご存じでしょうか?

基本的に百貨店は、

<百貨店(なんでもそろっている店の意)>(小学館『日本大百科全書』より引用)

とあるように、いろいろそろっているお店なので、大前提として広い印象があります。

その広い百貨店の中でも「世界一広い百貨店」としてギネス世界記録にも登録される百貨店は、どこの国のなんというデパートなのでしょうか?

東京ドーム6個分以上の広さ

韓国・釜山・新世界センタムシティ店外観
©️Johnathan21 / Shutterstock.com

ギネス世界記録の公式サイトを見ると、記録保持者の名前は「SHINSEGAE CENTUMCITY DEPARTMENT STORE」と書かれています。後半の「デパートメント・ストア」は読めますが、前半部がちょっとわかりづらいです。

「シンセガエ?」とローマ字風には読めます。どうなのでしょうか。答えは、「新世界(シンセゲ)のセンタムシティ店」で、店内の広さが29万3,905平方メートルに達します。

『小学館の図鑑NEO+ぷらす もっとくらべる図鑑』によると、東京ドームの広さは4万6,755平方メートル。東京ドーム6個分以上の広さになる計算ですね。

世界で最も小さい国のバチカン市国と比べるとどうでしょうか? 外務省によると、その広さは約44万平方メートルとされています。さすがに、バチカン市国ほどではないものの「国家」の広さにもだいぶ近付いている印象です。

三越の百貨店が源流

韓国・釜山・新世界センタムシティ店(店内)
©️Chanawat Jaiya / Shutterstock.com

この新世界センタムシティ店は一体、どこの国にあるのでしょうか? 答えは、韓国の釜山。釜山とは、韓国の南東端にある港湾都市で、日本の福岡とフェリーでつながっているまちです。

韓国に初めて百貨店ができた時期は、日本による韓国併合の時代でした。1930年代に三越が京城に百貨店をつくり、その百貨店が戦後、韓国人経営者の手に渡ります。1963年(昭和38年)にサムスングループの傘下に入るとともに現在の名前になり、その後、独立を果たし、韓国各地に店舗を展開していきます。

新世界センタムシティ店は2009年(平成21年)に誕生し、世界一の広さを誇る百貨店としてギネス世界記録に認定されました。ファッションから本、キッチンウエア、おもちゃ売り場はもちろん、スパや屋上のゴルフ練習場まで店内にあるようです。

韓国の釜山を訪れた際には、その世界一の広さをぜひ、体感してくださいね。

[参考]
Centum City – Shinsegae
韓国の百貨店、新型コロナ乗り越え、上昇機運 – AFP
Largest department store – Guinness World Records
バチカン基礎データ – 外務省
地域ガイド – 韓国観光公社
Shinsegae Department Store – Seoul Tourism Organization

[All photos by Shutterstock.com]

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

SHARE

  • Facebook