【日本にいながら台湾旅行気分】豪華絢爛・異国情緒満載!日本最大の道教のお宮「五千頭の龍が昇る聖天宮」を訪問|埼玉県坂戸市

Posted by: ぶんめい

掲載日: Jul 25th, 2024

埼玉県坂戸市にある「五千頭の龍が昇る聖天宮」。田園風景の中に突如として表れる色鮮やかな建物は、本場台湾の宮大工が15年の歳月をかけて造りあげた、日本最大の道教のお宮です。豪華絢爛な彫刻や美麗な中庭といった建築美を楽しむことはもちろん、台湾式のおみくじ・参拝の体験からお土産の購入まで可能で、まるで台湾に旅行したかのような異国情緒を満喫できるんです! 今回は実際に「聖天宮」を訪問し、その魅力や、埼玉県にお宮が建った経緯など、情報満載でご紹介します。

聖天宮 本殿

日本最大の道教のお宮「五千頭の龍が昇る聖天宮」

聖天宮 正面の道路から

東武東上線の「若葉」駅から、バスに揺られて10分ほど。最寄りのバス停から少し歩くと、のどかな田園風景の中に、突如として豪華絢爛な建物が現れます!

聖天宮 天門から全体を眺める

こちらが今回訪れた、「五千頭の龍が昇る聖天宮(せいてんきゅう)」。中国・台湾を中心に古くからの歴史を持つ宗教、道教のお宮です。

日本ではあまり見かけることのない道教の施設。横浜中華街にある「横浜関帝廟(かんていびょう)」などは、ご存知の方も多いでしょうか。

しかし中でも「聖天宮」の規模は日本で最大! 外苑まで含めた敷地面積は8,000坪とのことで、本国の台湾に負けず劣らずのスケール感なんです。

入口からすでに圧倒的な「天門」

正面の道路に向かって開かれているのが、聖天宮の正面入口となる「天門」。
聖天宮 天門

日本のお寺や神社では見慣れないカラフルな色使いと、日の光を反射して輝く金色が異国情緒満載! それもそのはず、聖天宮の建物は、台湾の一流の宮大工さんを日本に呼びよせて建てられた本場そのものの造りなんです。

天門の装飾

さらに使用される黄色い瓦は、神様と皇帝の建造物にしか用いられない特別なものなのだそう。

その上には、“五千頭の龍が昇る”と名前にあるように、大きな龍の装飾が目を引きます。中国では、龍は神の使いとして考えられ、とても縁起がよいモチーフ。

屋根の下には、龍以外にも象や唐獅子、神々などの細かな装飾も見られます。お聞きしたところ、龍の意匠だけで、名前通りの5,000頭を超える彫刻が施されているとのことでした!

壮大なスケールと細緻な彫刻!「前殿」

一面に施される彫刻は必見

聖天宮 前殿

天門をくぐり、中央に見える建物が「前殿」。向かって右に「鐘楼」、左に「鼓楼」があり、それぞれに鐘と太鼓が収められています。

建物の幅は約50m、最高位(本殿)は約25mあり壮大そのもの。整然と敷かれた石畳が、迫力を一層際立てます。

彫刻の数々

前殿で注目したいのは、石造りに施された彫刻の数々。壁の上から下まで、文字の1つ1つに至るまでが彫り込まれています!

九龍柱

中でも見どころは、5mという大きさの1つの岩から、9頭の龍が透かし彫りで形作られているこちらの「九龍柱」。さらに彫刻は3層構造で、深い奥行きまで演出されているんです。

本場台湾でも、ここまでのものは滅多に見られないのだそう。超絶技巧に圧倒されました。

鮮やかな色使いの室内は異国情緒満載

前殿 鮮やかな室内

建物の中に入ると、より一層鮮やか! 紋様や絵、彫刻が所狭しと施され、室内を彩ります。

このカラフルさにも理由があり、中国古来の思想「五行」に相当する色が用いられることで、森羅万象を表しているのだとか。

たとえば日本の寺社仏閣での赤は基本的に魔除けを表しますが、中国・台湾では”幸運や子供を授かる”という意味を表す、とても縁起のよい色なのだそう。

前殿内部から本殿を望む

中庭と本殿を望む前殿の正面は、ガラス張りになっていました。

八卦天井

前殿の中央の上部にあるのが、八角形が何重にも組み合わされた万物を表す「八卦天井」。釘なしで組まれた1万以上の部品が織りなす複雑な造りは圧巻です。

占いにも通じるという“八卦”。ちょうどこの八卦天井の真下では、台湾式のおみくじを体験することができますよ。

ひと味違う台湾式のおみくじを体験

台湾式のおみくじを体験

番号が記されたくじを引いておみくじ文をもらう、という仕組みは日本と同じなのですが、簡単にはお告げがもらえないのが台湾式。

神筊

ここで使用するのが、三日月形の「神杯 (台湾語読みで”シン プエー”)」。道教では、陽は始まり、陰は終わりを意味すると考えられ、神杯も表裏がそれぞれ陽・陰を表しているんです。

こちらの神杯を地面に向かって落とし、その組み合わせによって運勢を占っていきます。

陰陽の1対がしっかりそろうまで、陽・陽なら再び神杯を落としたり、陰・陰ならくじの番号を引き直したり。迷いがあるとなかなかそろわないとのこと……。

おみくじは持ち帰ると吉

筆者は無事1回で陰陽がそろい、おみくじをもらうことができました! おみくじは近くの柱に結ぶこともできますが、台湾では、持ち帰って何度も読み返すが風習ですよ。

日本にいるとは思えない!美麗な「中庭」・「本殿」

フォトジェニックな空間が広がる中庭

前殿から、本殿の前に広がる中庭へ。中心に立って周囲を見渡すと、ここが日本であることを忘れてしまう、華やかな空間です。

回廊からの眺め

中庭を囲む回廊も非常に美麗でフォトジェニック。壁にも1面に鮮やかな絵画が描かれていました。

九龍網

本殿前には、「九龍網」と呼ばれる見事な透かし彫りの彫刻が。こちらも九龍柱と同じく、1つの岩から9頭の龍が生み出されています。

「三清道祖」を祀る本殿に参拝

本殿・本尊を望む

道教の最高神である「三清道祖」を祀っている聖天宮。本殿の中も豪華絢爛です(本殿内部やご本尊を撮影する際は、指定の場所より後ろから距離を取る必要があります)。

太極天井

天井を見上げると、極彩色のダイナミックな渦巻きに目を奪われます!

こちらは「太極天井」と呼ばれ、宇宙やこの世すべての始まりを表しているのだそう。吸い込まれるような精密な螺旋構造も、釘を使わず組み立てられています。

案内付きで安心・台湾式の参拝を体験

聖天宮 本殿

聖天宮ではおみくじだけでなく、台湾式の参拝も可能。

筆者も初めての経験でしたが、「参拝のご案内」として詳しく解説されているほか、常駐している係の方にも優しく教えていただけて安心です。

参拝では線香を購入

まずは3本のお線香(価格:500円)を購入し、手に持ちながら赤い台に跪いてお願いを……。

ただ願い事をするだけではなく、自己紹介や現状の説明まで含め、1つ1つの祈願をこと細かにお伝えするのが台湾式の礼儀作法。

そのため、台湾の方の参拝は時間をかけて行われ、その際に使われる線香も30センチほどでとても長く、天にお願いが届くとの考えなのだそう。

本殿前の香炉

その後は線香を香炉に立て、再び跪いて合掌とお辞儀を12回繰り返し、無事終了。願い事は、線香の煙にのって天まで伝わるそうですよ。

休憩スペースには台湾お土産も

充実の台湾お土産をチェック

休憩スペース

お祈りを済ませたあとは、休憩とお土産はいかがでしょうか。

こちらの休憩所では飲食が可能で、台湾の食品やお土産を販売中。暑い日でも空調が効いていてうれしいです。

自販機での販売と侮るなかれ、定番のお土産として人気のパイナップルケーキから、薬膳スイーツ、おかゆや豆漿(トウジャン)といった食品、台湾ローカルの飲料までバリエーション豊富なんです。

アップルサイダー

筆者は「蘋果西打(アップルサイダー)」をいただきました。

レトロなパッケージが可愛く、炭酸は控え目でりんごの味と香りがしっかり。甘さは強いですがケミカル感は無く、台湾で愛される定番ドリンクとして納得のおいしさでした!

「鐘楼」・「鼓楼」からの眺めも抜群

鼓楼

休憩スペースからは、前殿横の「鼓楼」に登ることができます(反対側に位置する「鐘楼」にも、同じく登ることができます)。

2階からの眺め 本殿側

少し急な階段を上がって、2階部分へ。ここからは前殿や本殿が見渡せます。

龍の装飾を間近で見る

燕尾形と呼ばれる、弧を描いて空へ伸びる屋根の装飾や、カラフルなタイルで彩られる龍や鳳凰などを間近で見ることができました。

田園風景

天門の方向に移動すると、聖天宮の周囲の、のどかな風景が広がっていました。高さがあるので眺望は素晴らしいのですが、埼玉県坂戸市のこの場所に、なぜ台湾の道教のお宮が? という疑問も浮かびます。

なぜ埼玉にお宮が?聖天宮の歴史

本殿前の装飾

この地に聖天宮が建つのには、れっきとした理由があるんです。

聖天宮を建てたのは、台湾の康國典大法師(こうこくてんだいほうし)という方。40歳半ばで大病を患った際、三清道祖と縁起をもって、一命をとりとめたのだそう。

その感謝としてお宮を建てようと建造の地を探していた折、なんと生国の台湾ではなく、日本のこの地がお告げで示されたんだとか。

1981年から着工した聖天宮。当時は敷地正面の道はおろか、最寄りの若葉駅すらまだなく、雑木林を開いて整地するところからのスタートでした。

本殿 柱の彫刻 

そこから15年の歳月をかけて、1995年に開廟。建物の形や向いている南東の方角まで、すべてにお告げ通りに建っているとのこと。縁もゆかりもなかった土地にお宮を建ててしまう、信仰の篤さに驚きです。

日本にいながら台湾旅行気分!アクセスや参拝時の注意点

前殿から回廊を望む 

本場さながらの建築美を満喫し、台湾式のおみくじや参拝も体験することができる「五千頭の龍が昇る聖天宮」。どこを切り取っても、日本にいるとは思えない光景でした。

個人利用の範疇なら写真撮影も可能ですので、美麗な写真が撮れること間違いなしです。撮影についての諸注意など、公式サイトもご確認くださいね。

交通のアクセスは、東武バス「戸宮交差点前」で下車して徒歩3分ほど。東武東上線の若葉駅から歩くと、20~30分ほどだそうです。キャパシティは100台という規模の駐車場もありますよ。

立地は少々遠いですが、台湾に行くよりは断然お手軽。豪華絢爛な建物はまさしく一見の価値ありです! ぜひ聖天宮で、日本にいながらの台湾旅行気分を味わってみてくださいね。

 

五千頭の龍が昇る聖天宮
所在地:埼玉県坂戸市塚越51-1
電話番号:049-281-1161
拝観時間:10:00~16:00(年中無休)
拝観料:大人(高校生以上):500円/中学生:250円/小学生以下:無料(大人の付き添いが必要です)
公式サイト:https://www.seitenkyu.com/index.html
 

 


 

PROFILE

ぶんめい

bunmei ライター

インドア派だけど、旅行はあまり計画立てずにフィーリング派。球技できないけど、野球観戦は現地で声出したい。胃弱気味だけど、ラーメン好き。文学部だけど、文字を見ないで美学を専攻。

インドア派だけど、旅行はあまり計画立てずにフィーリング派。球技できないけど、野球観戦は現地で声出したい。胃弱気味だけど、ラーメン好き。文学部だけど、文字を見ないで美学を専攻。

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