幻の酒米「雄町」
「雄町」は、現在普及している「山田錦」や「五百万石」などのルーツの酒米。背丈が高く病気に弱いことから生産量が増えず、希少価値が高い雄町は、「幻の酒米」とも言われています。
そんな「雄町」で醸されたお酒は、芳醇でコクのある味わい。その味は“オマチスト”と呼ばれる熱狂的なファンを生むほどのおいしさです。
年に一回の「雄町サミット」
今回は「雄町」の主な生産地である岡山県の酒米生産者と、全国の酒蔵120蔵から210点の岡山県産「雄町」で醸された日本酒が出品される「第15回雄町サミット」の唎き酒会に行ってきました。「雄町サミット」は、雄町を原料とした日本酒が全国各地の蔵元から集まり、「唎き酒会」（飲食店・酒販店・酒造会社等限定）と歓評会の審査発表が行われる年に一回のイベント。
会場に足を踏み入れると、ずらりと並んだお酒の数々。これだけ並ぶと壮観です。
ワイングラスにスポイトでお酒を注ぎ、風味や香りを楽しみながらそれぞれ味わいの違うお酒を試飲していきます。
雄町サミット歓評会では、出品されたお酒の中から“雄町らしさ”を基に審査を行い、優等賞・最優等賞の受賞酒を発表。
今回最優等賞に輝いたのは、栃木「望bo: 純米大吟醸 雄町」、佐賀「鍋島 特別純米酒 Classic 赤磐雄町米」、栃木「雄東 純米無濾過原酒」。「雄町サミット優等賞」と書かれたプレートがかけられたお酒は誇らしげに見えます。
岡山県の酒蔵が大集合！
同じフロアの別の会場では、「雄町」の約95パーセントを生産している岡山県の酒蔵が集結する『岡山蔵元大集結～お江戸にまたまた、雄町どうさまです！～』も開催。厳選された全14蔵がブースを出展しました。
安藤恵さん
会場内にはSSI認定 酒匠・唎酒師、岡山観光特使でもあり、2022 Miss Sake 岡山にも選ばれた安藤恵さんも来場。各酒蔵のお酒の特徴など色々教えていただきました。熱のこもったお話から、お酒への並々ならぬ愛を感じます。
編集部が選ぶ女性におすすめのお酒5選！
雄町の魅力を熟知した岡山県の酒蔵。中でも審査員が女性のみのコンクールで入賞したお酒を造っている酒蔵や、岡山県で初めて女性が杜氏に就任した酒蔵など女性に人気の５つの酒蔵さんに、女性におすすめの雄町を使ったお酒を選んでもらいました。
三冠酒造 三冠 雄町純米吟醸 無濾過生原酒
三冠酒造 前畠眞澄さん
三冠酒造のお酒は「名脇役に徹し食事を主役にできる酒」がコンセプト。日本酒を口に含むことでお料理を補完し、100％だった食事を120％にも150％にも上げていくことを目指しているのだそうです。
三冠酒造のおすすめは「三冠 雄町純米吟醸 無濾過生原酒」。クセがなく、米の旨味を感じられるお酒。ほかの食材を邪魔しないクリアな味は確かにおいしいお料理が食べたくなります。
冷やで飲むと、よりおいしくいただけるそう。生酒なのでお刺身など、生でいただくお料理に合わせるのが◎。 逆に火入れをしたお酒には火を通したお料理が合うのだとか。おいしいお料理のお供にゆっくりとおしゃべりを楽しみながら飲みたいお酒です。
十八盛酒造 多賀治 純米雄町無濾過生原酒
十八盛酒造 石合敬三さん
女性に人気のお酒が多いという十八盛酒造のイチオシが「多賀治 純米雄町無濾過生原酒」です。こちらのお酒は「第15回雄町サミット」の優等賞を受賞したお酒でもあります。
口に含むと弾けるような驚きのある味わい。絞ってそのままの状態で瓶に詰めているので、かなりフレッシュ感が際立ちます。
酸味と共にお米の旨みもしっかりと感じられ、後味はすっきりとしていて、一口飲み終わると、またもう一口飲みたくなるお酒です。
生原酒なので冷やして飲むのがおすすめです。お酒にインパクトがあってそれ自体が主役になれる一品ですが、魚介に合わせてもおいしいそう。一口目の驚きをぜひ味わってほしいお酒です。
菊池酒造 木村式奇跡のお酒 純米吟醸 雄町
菊池酒造 菊池大輔さん
菊池酒造のお酒は華やかさが特徴です。こちらのお酒造りでユニークなのは、指揮者でもある杜氏がお酒にクラシックを聴かせていること。科学的にはまだ解明されていないものの、発酵が旺盛になるといわれているのだそう。
菊池酒造で女性におすすめなのが「木村式奇跡のお酒 純米吟醸 雄町」。「奇跡のりんご」で知られる肥料・農薬・除草剤を使用しない木村式自然栽培で生育・収穫したお米で醸したお酒です。
審査員が女性のみというフランスのフェミナリーズ世界ワインコンクールの日本酒部門で2020年に1位、2024年にも金賞を受賞したそう。飲んでみると口中に風味が広がる華やかな味わい。これはクセになりそう！
こちらは冷酒で飲むとよりおいしくいただけます。甘味のあるお酒なので、カルパッチョなど酸味のある料理や肉料理と合わせるのがおすすめ。
嘉美心酒造 神心 純米 自耕自醸
嘉美心酒造 藤井進彦さん
岡山県で一番甘いお酒を醸すと言われている嘉美心酒造でおすすめなのが「神心 純米 自耕自醸」。名前にある通り、蔵元自ら農家さんと田植えを行い作ったお米を醸して造っているお酒です。安心して口にできる本物を提供するというこだわりが伝わってきます。
こちらのお酒は甘みのあるしっかりした味わい。よく冷やすとおいしくいただけます。合わせる食材は海のものがおすすめ！
雄町を使ったお酒ではありませんが、同じく嘉美心酒造の木陰の魚も一度味わってほしい一品。まるでワインのように甘酸っぱくてフルーティーな味わいは日本酒と言われなければわからないほど。日本酒が苦手な方も一度試してみては？
辻本店 御前酒 純米 菩提もとにごり酒（火入れ）
辻本店 辻麻衣子さん
辻本店の酒造りは岡山県産の米を使い、旭川の地下伏流水を汲み上げ、そのまま使用するなど地元産の原料にこだわっています。今回辻本店の「御前酒 純米 美作（みまさか）」は「第15回雄町サミット」の優等賞を受賞しました。
昔は女人禁制と言われていた酒造り。辻本店の辻 麻衣子さんは岡山県で初めての女性の杜氏です。そんな辻さんが選ぶ女性におすすめのお酒は「御前酒 純米 菩提もとにごり酒（火入れ）」。
うっすら濁っているにごり酒は、乳酸菌由来の酸味があって甘口です。冷やのイメージが強いにごり酒ですが、こちらはお燗にするとキレがよくなるのだそう。
乳酸菌とも相性がよいクリームミーなグラタンやフレンチの料理、魚よりお肉と合わせるのがおすすめです。
おいしい日本酒とお料理のマリアージュ。好みのお酒を見つけて晩酌の時間を楽しんでみてくださいね！
[Photos by 岡山県 , Mayumi.W]
PROFILE
SHARE
