コーヒーが苦手だった人が虜になる「MUI」の一杯
「コーヒーって苦手で……。」そんな人が最初のひと口で「何これ、おいしい!」と驚く。そんなクチコミを聞きつけ、元住吉にあるコーヒーショップ「MUI」に伺いました。早速コーヒーをいただいていきます!
「シンプルにおいしすぎる……!!!」
元より、ブラックコーヒーに対して「酸味が苦手」「後にまとわりつく苦味」と感じていましたが、実際にお店で飲んでみると「このコーヒーなら毎日飲みたい」と感じました。ミルクも砂糖も必要ない、雑味のないクリアな後味は、誰が飲んでもおいしいと感じる味わいです。
筆者が特に感動したのは、アイスコーヒーです。今回はエチオピア「イルガチェフェウォテ2300」(フレンチロースト)をいただきましたが、雑味がなくすっきりとした飲み口で、暑い日にもぴったり。冷たくても豆本来の甘みやコクがしっかり感じられ、ついつい何度も飲みたくなります……!
コーヒーに苦手意識があった人さえも虜にする不思議な魅力をもつお店です。
誰が淹れてもおいしい?その秘密を聞いてみた
店主の大沢さんが語る「誰が淹れてもおいしい」という言葉。その真意を探ると、MUIのコーヒーが驚くほどおいしくなる理由が見えてきました。

大沢 征史(おおさわ まさふみ)
株式会社無為 代表
料理学校卒業後、東京都・神奈川県内のカフェやレストランに勤務。2005年に堀口珈琲に入社し、堀口俊英氏に師事。焙煎の責任者を務める。2013年に退職のち、同年元住吉でコーヒー専門店「MUI」を開業。
素材:最高品質の豆選び
MUIで使用しているコーヒー豆は、生産者や農園までトレースできる最高品質のものばかり。信頼する仕入れパートナーとともに、豆の個性と向き合いながら本当においしいと思えるものだけを選んでいます。
焙煎:究極の焙煎技術
テイスティング回数40万回を超えるという店主の大沢さん自ら焙煎を担当。豆ごとに焙煎度を細かく調整し、素材の持つ香りや味わいを最大限に引き出す技術は、まさに職人の技です。
欠点豆の排除:毎日続ける丁寧な手作業
コーヒーの味を濁らせる原因になる「欠点豆」を全て手作業で取り除くのも重要なポイント。毎日4~5時間かけて行われる地道な作業が、おいしさの“ブレなさ”を支えています。

半分に割った欠点豆
欠点豆を割ってみると、通常の豆から絶対にしない“焦げた麦茶”のようなにおいがします。コーヒーの味わいに大きな影響を与えるため、MUIでは徹底的に排除しています。

コーヒー豆の比較 左がMUI、右が某有名コーヒー店
他店のコーヒー豆と比較してみると、豆の大きさや形、煎り具合など一目瞭然。MUIの豆はエグみがまったくなく、香ばしい香りがしました!
「おいしい」を追求するための“こだわらない”考え方
「こだわっているんですね」と言われるたびに、大沢さんは「これはこだわりじゃなくて、当たり前のことをしているだけなんです」と返すのだとか。素材を丁寧に選び、豆に合った焙煎を施し、欠点豆を取り除く。行程全てが特別なことではなく、おいしい一杯を届けるために必要なプロセスなのです。
無理に特別な抽出器具や技術を必要としないのも、MUIのコーヒーの特徴。「誰でも淹れられて、毎日飲めるおいしさ」を大切にしているからこそ、初心者でも安心して楽しめます。
「MUI」でドリップコーヒーに初挑戦!
筆者はこれまで、コーヒーを自分でドリップした経験がほとんどありませんでした。そんな私が今回、MUIの店主・大沢さんに教わりながら、ペーパードリップでの“はじめての一杯”に挑戦してみました!
MUIのコーヒー、ペーパードリップで大切なのはたった3つだけ。
- 粉の量
- 抽出量
- 抽出時間
この3点さえ意識すれば、誰でも安定しておいしいコーヒーが淹れられるとのこと。とくに大沢さんが強調していたのは「抽出時間」。タイマーを使って、4分を目安に調整します。

ダルトン ドリップポット(650ml) 2,530円(税込)
お湯は一度にたくさん注ぐのではなく、こまめに少量ずつ、先の細いドリップポットがおすすめ! 今回使用させていただいたポットは店頭やMUIの公式オンラインショップでも購入できるそうです。いざお湯を注いでいきます!
最初は戸惑いましたが、ペースを掴むうちに「この時間がコーヒーの味を作っているんだな」と実感できるようになりました。
結果はというと……びっくりするほどおいしかったです。最初にいただいたコーヒーと明確な違いもなく、淹れた本人が「本当に自分で淹れたの?」と思うほど。初挑戦でもここまでおいしくできたのは、やっぱり豆の力がすごいのだと実感しました。
さらに詳しく知りたい方は、店主・大沢さんによる『ペーパードリップ』解説記事もぜひご覧ください。ご家庭でのコーヒーづくりに役立つヒントがたっぷり詰まっています!
街に開かれたカフェ「MUI」がつくる心地よい距離感
MUIの魅力は、おいしいコーヒーだけではありません。店内に入ると、木の温もりが感じられる、シンプルで居心地のよい空間が広がっています。カウンター越しに交わす会話や、ふらっと立ち寄った人同士のゆるやかなつながりも、MUIの大切な要素です。

オーダー画面 コーヒーの相談メニューが!
メニューには『コーヒーの相談』という一風変わった項目もあり、「どんな味が好きか」「今日の気分はどんな感じか」などを伝えると、スタッフがぴったりの一杯を提案してくれる仕組み。コーヒーを“産地”や“品種”で選ぶのではなく、“どんなふうに飲みたいか”で選べるのも、MUIらしい心遣いです。

ジョージさんのチーズケーキ
また、カフェタイムをより豊かにしてくれるケーキや焼き菓子も用意されています。コーヒーと甘いものの相性をゆったり楽しむ時間も、MUIでの醍醐味のひとつです。
パケ買い必至のデザイン!ギフトもおすすめ
MUIのコーヒー豆は、パッケージデザインも人気の理由のひとつ。イタリアのデザイン会社が手がけた赤色が特徴のロゴやラベルは、贈り物としても映える洗練された佇まい。ポスト投函できるギフトボックスや、季節限定ラベルなども用意されており、大切な人へのちょっとしたプレゼントにもぴったりです。
なお、ギフトの多くは“豆のまま”で贈られるのがMUIらしさ。店頭のほか、通販「MUI」の公式サイトからも購入可能なため、気になった方はぜひご覧ください!
元住吉のどこにある?気になる店舗情報
MUIは、東急東横線「元住吉駅」から徒歩約6分。駅前の商店街「ブレーメン通り」をまっすぐ進み、通りから少し入った場所にお店があります。
赤い看板が目印で、静かな住宅街の一角にたたずむ落ち着いたロケーションです。
気負わずにふらっと立ち寄れて、五感で味わうコーヒー体験ができる場所——それが「MUI」。コーヒーが苦手だった人にも、コーヒーが大好きな人にも、新しい一杯との出会いがきっと待っています。
[Photos by Ray]