
2024年、韓国の果てにオープンしたスターバックス
愛妓峰(エギボン)平和生態公園は、韓国と北朝鮮の国境を流れる祖江(チョガン)沿いに位置する平和公園です。朝鮮戦争の激戦地だった「154高地」に、2021年に開園しました。北朝鮮の開豊郡までわずか1.4kmという距離に位置します。展望台のほかに、「平和・生態・未来」をテーマにした展示館が整備されている場所です。
海兵隊第2師団が管轄する民間人統制区域にあるため、公園の入場には身分証明書の提示と入場管理が必要です。
その公園の敷地内にスターバックスがオープンしたのが2024年11月のことでした。
ソウル市内発のツアーで訪れるのが一般的で、料金は大人1人あたり60,000〜70,000ウォン前後(約6,400円〜7,500円 ※2026年4月のレートで算出)。今回、宿泊したホテルがソウルから向かうよりも近かったため、自力で行ってみることにしました。
事前に配車アプリのダウンロードを
土日や祝日なら、愛妓峰平和生態公園には電車と路線バスを乗り継いでアクセスできます。しかし訪れた日は平日だったため、タクシーで向かう必要がありました。帰りの移動手段を確保するため、配車アプリをダウンロードして向かいました。
最初にUberをダウンロードしたものの、ローミングしていた日本の携帯番号ではSMS認証ができず、使えませんでした。そこで韓国で広く使われている配車サービス・カカオT(Kakao T)をダウンロードしたところ、登録も認証も問題なく完了。
ホテルの最寄り駅・コムダンサゴリ駅周辺からは、アプリで呼ぶより先に流しのタクシーがつかまりました。
走り出して10分ほどすると、集合住宅が少なくなり田舎の風景に変わります。気になったのは視界の悪さでした。遠くの山が霞んでいて、「スタバに着いても北朝鮮が見えなかったらどうしよう」という不安が頭をよぎります。
クレジットが使えず現金で入場料を支払う

乗車してから約45分ほどすると、片側に韓国の国旗が掲げられた道に差しかかりました。そのまま5分ほど進むと、公園の検問所が見えてきます。

到着したのは、工事現場の駐車場のようなエリア。タクシーの料金は約27,700ウォンでした。小さな建物が2つあり、団体と個人で受付の場所が分かれているようです。個人で訪れる際は、検問所に近い方の建物で手続きを行います。

まず用紙に必要事項を記入します。書く内容は氏名、生年月日、韓国での滞在先住所、電話番号。用紙には英語も併記されています。

記入後はパスポートと共に窓口に提出します。こちらが日本人だとわかると、スタッフは日本語で対応してくれました。
入場料は大人(19歳以上)3,000ウォン、青少年・軍人(13〜18歳)2,000ウォン、子ども(7〜12歳)1,000ウォン。6歳以下と65歳以上は無料です。なお公式サイトにはカード決済のみ対応と記載がありますが、私が持っていた日本のクレジットカードでは決済ができませんでした。現地では現金で支払いができたので、念のため現金も用意しておくと安心です。
公園の入場者数は1時間ごとに管理されています。訪問時は平日午後で空いていたため、予約なしで受け付けてもらえましたが、休日は混み合うようです。公式サイトで時間帯ごとにチケットの残数が確認できます。必要に応じて事前に予約したり残数を確認したりしておきましょう。
料金を支払ったらチケットを受け取ります。チケットは検問所の出入りで必ず必要なのでなくさないように気をつけましょう。
シャトルに乗ったら銃を持った兵士が本人確認を行う
受付を終えると、無料シャトルバスか徒歩で検問所を通過し、まずは平和生態展示館を目指します。行きはバスで向かいました。
検問所では、車内へ銃を持った軍人がバスに乗り込んできて、入場券と照らし合わせながら乗客をチェックします。なかなかの迫力でした。
ちなみに検問所付近や軍の施設は撮影禁止となっています。

山中の整備された道路を5分ほど進むと、シャトルバスは平和生態展示館に到着。目に入るのは長さ約112mの吊り橋。スターバックスへ行くには、展望台を目指して歩かなければなりません。

さらに丘の傾斜に沿ったジグザグの遊歩道の先に馴染みの緑のロゴが見えます。


1.4km先に見える北朝鮮とスタバ

スタバは展望台の建物の2階にあります。


店舗の北側には、双眼鏡の先に北朝鮮領の陸地が広がっていました。川幅はわずか1.4kmです。

対岸に見えるのは「ヘムル宣伝村(해물선전마을)」と呼ばれる集落です。1960年代に建てられたとされ、韓国側に北朝鮮の豊かさをアピールするために造られた宣伝用の村とされています。建物は見えますが、訪れるたびに静寂が漂うと報じられることが多く、実態は不明な部分が多い場所です。カメラのファインダーを向けると、5〜6階建てのアパートの輪郭がはっきりと見えました。

店内はシンプルな内装で、席の間隔はゆったりしています。入って右側の壁は一面ガラス張りで、北朝鮮側の風景が見えます。


窓際の席は全て埋まっていましたが、中央の席に座っても視線をガラスの方へ向ければどの席からも対岸が見えます。


アメリカーノ(4,700ウォン)とベーコンチーズサンドイッチ(7,600ウォン)を注文。


出入り口付近には、タンブラーやコーヒー豆などの定番グッズが陳列されていました。過去には愛妓峰スタバ限定のタンブラーが販売されていた時期もあったようですが、訪問時はありませんでした。


展望台の敷地内には「平和の鐘」があります。朝鮮戦争の戦死者遺骨発掘現場で収集された薬莢と、撤去されたDMZの鉄条網を溶かして鋳造したとのこと。
「愛妓峰」という名前は朝鮮時代の伝説に由来します。伝えられているのは、愛する人を清に連れ去られた女性「愛妓」が、この丘から北の空を眺め続け、そのまま生涯を終えたというお話。展望台へは、かつてのクリスマスツリー鉄塔をモチーフにしたジグザグの遊歩道が続きます。
なお、スタバの営業時間は10:00〜16:30です。公園閉園の17:30より1時間早く閉まります。午後に訪れる場合は時間に気をつけましょう。
タクシーを求めて30分。田舎道を歩く
閉園時間近くまで過ごし、平和生態展示館から徒歩で検問所に戻りました。

20分ほど遊歩道を歩くと検問所に到着します。バスで通過したときとは雰囲気が異なり、若い兵士に日本語で「さようなら」と声をかけられました。服装は軍人そのものですが、日本で見かける高校生や大学生くらいの兵士でした。
和やかな気持ちで検問所を離れた後、タクシーを呼ぼうとカカオTを起動します。しかし、駐車場付近では一向につかまりません。しかも閉園時間ギリギリまで残っている観光客の姿はなく、あたりは閑散としています。仕方なく、幹線道路を目指して歩きました。広がるのは田舎の風景。農家の一軒家、畑。時折牛の鳴き声が聞こえます。車もほとんど通りません。
30分ほど歩いてようやく幹線道路に出ると、カカオTでタクシーが捕まりました。ホテル付近までの料金は30,000ウォンでした。
ツアーなら送迎付きですが、自力で訪れる場合は帰りの足を確保しておく必要があります。平日に閉園ギリギリまで残っているとタクシーが捕まえにくいので、午前中に公園を訪れて午後の早い時間帯に戻るように予定を立てた方がよいかもしれません。カカオTにはタクシーの予約機能もあるので、事前に手配しておくのも一つの方法です。
なお、週末・祝日はグレ駅(구래역)発の7-2番バス、またはウンヤン駅(운양역)発の3-2番バスが愛妓峰平和生態公園まで運行しています。
出発前に確認しておきたい4つのメモ
ツアーではなく直接向かうときに気をつけたいことは以下の4点です。
愛妓峰スターバックスに個人で行くとき気をつけたいこと
- パスポートと現金を忘れずに。クレジットカード決済ができない可能性があります。
- 配車アプリのダウンロードや設定は出発前に済ませておきましょう。
- 検問エリアでは撮影はできません。軍人や軍事施設の撮影は法的な問題になる場合があります。
- 戻る時の交通手段を確認しておきましょう。アクセスは平日と週末で大きく異なります。
いくつものハードルを越えた先にある愛妓峰平和生態公園のスターバックス。韓国と北朝鮮の両国に思いを馳せる時間は、街中で何気なく過ごすカフェタイムとは一線を画す特別なひとときになるはずです。
住所:京畿道金浦市月串面平和公園路289(경기도 김포시 월곶면 평화공원로 289)
電話番号:+82-31-999-3949
営業時間:9:30〜17:30(入場締切16:30) 年中無休
料金:大人(19歳以上)3,000ウォン、青少年・軍人(13〜18歳)2,000ウォン、子ども(6〜12歳)1,000ウォン。6歳未満と65歳以上は無料
URL:http://aegibong.or.kr/
住所:京畿道金浦市月串面平和公園路289(경기도 김포시 월곶면 평화공원로 289)
電話番号:+82-1522-3232(スターバックスコリア共通番号)
営業時間:10:00〜16:30 ※公園の入場時間により変動する場合あり
公式サイト:www.starbucks.co.kr
※店舗や時期により商品の仕様や品揃え、価格が変わる可能性がありますので、ご注意ください。
※店舗営業については最新情報をご確認ください。
©︎しげたまこと


