
INAXライブミュージアムとは?

INAXライブミュージアムは、愛知県常滑市にあるLIXIL運営の体験型文化施設。やきものの町・常滑で土とやきものの魅力を伝え、2026年10月に20周年を迎えます。7館で構成され、体験教室も人気。レストランとミュージアムショップも併設され、老若男女問わず、1日中遊べるスポットです。
INAXライブミュージアム7つの館
- 窯のある広場・資料館
- 世界のタイル博物館
- トイレの文化館
- 建築陶器のはじまり館
- 土・どろんこ館
- 陶楽工房
- やきもの工房
- ピッツェリア ラ・フォルナーチェ
- ミュージアムショップ
煙突の迫力と歴史の重厚感が印象的な、施設のランドマーク。大正時代の土管工場の大きな窯と建屋の中に入れます。窯の中ではプロジェクションマッピングの演出もあり。常滑の土管産業の歴史を今に伝える資料館。
装飾タイル7,000点以上を収蔵する世界でも珍しい専門博物館。紀元前から近代まで、時空を超えるタイルの旅を楽しめます。フォトスポット満載! コレクション展示も興味深く、タイル沼にハマってしまうかも。
美しすぎる陶磁器製便器から、国産初の温水洗浄機能付き便器、上海万博で「世界一トイレ」として話題を呼んだ黄金の便器など、日本のトイレ文化を紐解く館。清らかさや他者への配慮に重きを置く日本の精神についても学べます。
明治時代初期から1930年前後に建てられた、日本を代表する芸術性の高いテラコッタを展示。本物の近代建築の「破片」を間近で見られる、レトロ建築好きにはたまらない場所です。20世紀建築の巨匠であるフランク・ロイド・ライトの代表作「帝国ホテル旧本館」に挑戦した、常滑の職人たちの探求に心を打たれます。
光るどろだんごづくりなどの体験教室が人気。土をふんだんに使った建築の温もりや気持ちよさを感じる館内で、土に触れ、遊び、体感することで、土の無限の表情に出会えます。
モザイクアートやタイルdeリース、プチトイレ絵付けなど、予約不要で当日ふらっと参加できるメニューから本格的な絵付けまで開催。自分のペースで、気軽に陶を楽しめる工房です。
タイルの見本を手に取って触れられるのが魅力。タイル・テラコッタの復原品、クリエーターとのコラボレーションの一部などを展示。革新的な「やきもの」に取り組んでいます。
博物館の観覧者以外も利用OK。薪窯で焼くイタリア産の粉を使ったピザや、旬の食材を使用したパスタを、開放感あふれる明るい店内で楽しめます。自家製のイタリアンドルチェもあり。
オリジナルグッズから日常を彩るアイテム、建築・土・やきものにまつわる書籍まで。トイレのかたちをした「もなか」菓子や、光るどろだんごづくりの自宅キットも。
【見どころ①】大正時代の土管工場が残る「窯のある広場・資料館」
高さ22mの煙突はミュージアムのランドマーク的存在。耐震工事を経て当時の風格を今に伝えます
敷地内に一歩足を踏み入れたとき、その迫力と美しさに目が奪われたのが、「窯のある広場・資料館」です。ここは1921年(大正10年)から1971年(昭和46年)まで、実際に土管を焼くための工場として使われていた場所。当時の煉瓦造の大きな窯(両面焚倒焔式角窯)とそれを囲む建物、そして煙突が保存・公開されています。

窯から屋外の煙突につながる煙道を見ることができる
大正時代以降に普及した煉瓦造りの角型の窯で、左右の焚口から激しく噴き出した炎が窯の上部でぶつかり、下部へ下がりながら内部の作品を包み込んで焼きます。その様子はミュージアムのプロジェクションマッピングでもわかりやすく再現。製品を均一に美しく焼くことができるのが特徴です。

石炭を燃料に土管を焼き続けていた窯の内部では、当時の様子をビジュアルで解説するプロジェクションマッピングも上映されており、産業遺産としての価値と現代的な演出が同居した空間になっています。

現在は生産が終了している陶製土管。安価で軽い塩ビ管や鉄筋コンクリート管などに置き換わっていますが、「そもそも陶製の土管ってどれくらい耐久性があるんだろう」と疑問に思いスタッフさんに聞いてみると、本来陶製の土管の寿命は非常に長く、環境がよければなんと100年以上形を保ち続けるそうです。実際、今も東京の虎ノ門エリアで、伊奈製土管が掘り出されたことがあるといいます。
土管製造に使われた道具や機械、当時の最盛期の町の表情を伝える写真資料も展示されている
窯の蓋の文字は、漢字の「八」だと思ったらカタカナの「ハ」だそう。INAX の礎を築いた伊奈初之烝(いな はつのじょう)さんの「ハ」なのだとか
【豆知識】やきもの散歩道ではレンガ煙突や土管に注目!

常滑の町に今も60本ほど現存するレンガ煙突。当時は400本近くの煙突が林立し、「煙突の煙で雀も黒かった」と言われています。散歩道では、先端が切られた煙突をよく見かけますが、これは地震や台風で倒れないよう、あえて短く切り詰めているためです。

特に登窯の10本煙突は圧巻の迫力! 苔むしたレンガと緑とのコントラストが、まるでジブリ映画のような世界観です。日本で現存する登窯としては最大級とされ、国の重要有形民俗文化財に指定、近代化産業遺産にも認定されています。

常滑の「やきもの散歩道」では、あちこちで土管や焼酎瓶が埋め込まれた壁や道を見かけます。なかでも左右の壁にびっしりと土管と焼酎瓶が並ぶ土管坂は屈指のフォトスポット。坂道に敷き詰められているのは、「ケサワ」という土管の焼成時に使用した捨て輪の廃材です。
【見どころ②】フォトジェニック!世界のタイル博物館

世界7,000点のタイルが集まる、国内で数少ない専門博物館「世界のタイル博物館」。紀元前から近代に至るまでの世界各国の装飾タイルを収蔵・展示しています。

1階の装飾タイル空間では、装飾壁の原点であるメソポタミアのクレイペグやイスラーム建築を思わせるタイル張りのドーム天井、アール・ヌーボー様式のイギリス・ヴィクトリアンタイルなど、時代ごとの装飾の世界観に没入できます。

見て、触れて、自ら入り込めるため臨場感たっぷり、写真映えするスポットも満載! 思わずシャッターを切る手が止まらなくなります。

そもそも、タイル研究家・山本正之さんが、常滑市に約6,000点のタイルを寄贈し、LIXIL (当時のINAX)が常滑市からその管理・研究と一般公開の委託を受けて開設された同館。2階では、その貴重なタイルのコレクションが、オリエント・イスラーム・スペイン・オランダ・イギリス・中国・日本など地域別に展示されています。
エジプトの世界最古のタイル(紀元前27世紀)

アッシリアの彩釉レンガ(紀元前8-前7世紀)
写真上の緑がかった青色のタイルは、世界最古のタイル「エジプト・ファイアンス・タイル」。エジプト史上初のピラミッドである、ジェセル王の「階段ピラミッド」の地下の壁に張られていました。
写真左:多彩レリーフ、中央:ヴィクトリアンタイル(19-20世紀)、右:和製マジョリカタイル
筆者が特に惹かれたのが、イギリスのヴィクトリアンタイルに憧れ、模倣し、日本で作られた多彩色の和製マジョリカタイル。主に大正初期から昭和10年代に生産されました。この和製マジョリカタイルは、各国の人々を魅了し、東南アジアやインド、中南米、アフリカなどに広く輸出されたと言います。海外からの注文に応じて、さまざまな意匠のタイルが作られていて、それがまた面白い。日本でも、京都市の銭湯「船岡温泉」などで現役の装飾として見ることができます。
スペイン・バルセロナを中心に活躍した、世界的に著名な建築家・ガウディの若い頃建設された「エル・カプリチョ(奇想館)」のタイルも興味深く、筆者のいつか行きたいディスティネーションとなりました
ミュージアムショップでタイルの魅力を家に持ち帰る
ミュージアムショップで書籍『和製マジョリカタイルー憧れの連鎖』(税込1,650円)を衝動買い
世界のタイル博物館1階には、ミュージアムショップも併設。実際のタイルや、タイル図案のコースター・鍋敷、タイル収蔵品を写したポストカード、マジョリカ柄のガラスマグネットなどタイルアイテムも多数そろいます。
タイルを写したポストカード(各税込198円)

岐阜県多治見市で焼成されているレトロな日本の装飾タイル(85mm×85mm 各税込550円)
【見どころ③】大人気!土・どろんこ館

ミュージアムの中で一番人気とされているのが「土・どろんこ館」での体験プログラムです。表面がピカピカに輝く「光るどろだんごづくり」や「土のパステルづくり(現在休止中)」など、実際に土に触れながら楽しめるワークショップが充実しており、家族連れやデートでの来館先としても選ばれています。
光るどろだんごづくり 基本色
光るどろだんごづくりは、季節により選べるカラーが決まっています。基本色は「あか・ベージュ・みどり・みずいろ・くろ」。そこに、2026年9月1日からスタートしている秋カラー、20周年記念イベントの宇宙だんご「10月木星・11月土星・12月天王星・1月海王星・2-3月銀河」がラインナップされています。


今回筆者は基本色で挑戦。所要時間の目安は約60分です。まずは、おだんごをステンレスカップの上に置き、ステンレスカップに押しつけながら回転させて、凸部分を削ります。

色付けは厚塗り厳禁! 手のひらに好きな色をスプーンでのせ、指で薄く広げて、その上におだんごを転がします。色を塗れば塗るほど光らなくなるため、薄く色をのせるのがコツだそう。しかし筆者は薄くしすぎて模様が上手く出なかったので、加減が難しいなと感じました。
両手のひらに挟んでおだんごをコロコロ転がしながら乾燥させ、また色付けをして乾燥、を繰り返します。
磨きに使うのはなんとガラス瓶の口。押さえつけるように円を描き、おだんごの表面を磨きます。さらにビニール袋で磨き、完成です!

自宅に持ち帰ってからも、2週間毎日1-2分手でコロコロ転がすことで、さらにピカピカになるそうです!
光るどろだんごキット
価格:税込1,650円
INAXライブミュージアムのオリジナルアイテム。どろだんご1個、削るためのステンレスカップ、磨くためのガラス瓶、絵付けの化粧どろ5色各1本がセットになっています。
【見どころ④】2025年4月に新設!トイレの文化館

新たに開設された「トイレの文化館」では、木製便器の時代から、華やかな装飾が施された陶磁器製便器、水洗化を経て現代のトイレへと至る日本のトイレの進化の歴史を、実物約50点と豊富な資料でたどることができます。

このロケットのような、巨大な土器のようなもの、なんだと思いますか? 実は今でいう公衆トイレ。伊奈初之烝が考案し、四代目の長三郎が特許出願しました。中には便槽と雨覆い、背部に取り出し口、上部に臭気抜きの穴が設けられています。

写真上:染付花鳥図 向高形小便器、染付花図 厠下駄(愛知・瀬戸 明治時代後期)
写真下:染付花と蝶図 小判形大便器(愛知・瀬戸 明治時代後期)
この美しい青と白の染付便器は、明治時代後期のもの。江戸時代後期に町人の間で粋とされた、藍染めの着物や白地に青色で絵付けされた染付の器。明治時代には、そのしゃれた風が陶磁器製の便器にも涼やかに吹き始めます。富裕層や旅館、料亭などに始まり、庶民にまで広がっていきました。
水洗便器、座る洋風便器、節水・消音・医療用温水洗浄・乾燥機能などはすべて海外技術の導入。そこから急激に暖房便座やおしりを洗う文化、便座の自動開閉、便器の自動洗浄、小型化によるデザイン革新など、日本独自の開発で世界をリードするようになる
特に興味深いのは、徹底的に清らかさと快適性を突き詰めてきた、日本独特のトイレとの向き合い方です。それは、自然との共生、他者への配慮、繊細さから生まれた、日本特有の文化。トイレを清らかに保つことが病や厄災を遠ざけると信じられていた価値観は、現代にも通じています。
トイレの最中
価格:税込390円
トイレの形をしたユニークな「もなか」菓子。LIXIL 榎戸工場と常滑の老舗和菓子店・大蔵餅とのコラボレーションによる和菓子です。
【見どころ⑤】20周年記念企画
2026年10月にグランドオープン20周年を迎える、INAXライブミュージアム。「ライブ!ライブ!ライブ!―この博物館は生きている」をテーマに、原点を見つめなおし、年間を通じて、五感を使って楽しみ、学び、遊ぶ、躍動感あふれるイベントや、日本の住まいと土にまつわる企画展などを展開します。
メインの10月10日(土)は「アニバーサリーデー」で、朝10時から夜20時まで1日中プログラムが組まれています。この日は学生以下の入館料が終日無料、17時以降は全員入館無料です。
アニバーサリーデーの主な企画
| プログラム | 日時・場所・料金 |
|---|---|
| 土の遊園地であそぼう! | 10/10(土)〜12(月祝)、各日3回制※10/10のみ2回(20名/回)|どろんこ広場、700円/人 ※要予約 |
| トークセッション「土の記憶をひらく」 | 10/10 15:30〜17:10|土・どろんこ館ホール、共通入館券で聴講可 ※要予約 |
| ナイトミュージアム&ライトアップ | 10/10 17:00〜19:00(ナイトミュージアム)/18:00〜20:00(ライトアップ)|世界のタイル博物館含む一部施設、無料 |
| 音楽ライブ「ゴミンゾク」 | 10/10 17:30〜18:30|窯のある広場(雨天時は世界のタイル博物館)、無料 |
| キーホルダーづくりWS | 10/10、3回制(15名/回)|陶楽工房、200円/人 ※要予約 |
ミュージアム&町歩きで見えてくるもの
やきもの散歩道の常滑牛乳ミルクスタンド「BAITEN」
常滑の町では、当たり前のようにレンガ煙突、やきもので装飾した道や壁、煤やタールで黒く塗られた黒壁に出会います。それは現代の私たちにとって、レトロで映える散歩道に映ります。しかしそれらは、土とやきものに向き合ってきた人々の想いや挑戦が重なってできたもの。
ミュージアムで見つけた小さなヒントを持って常滑の散歩道を歩いてみると、いつもと違う常滑の顔が見えてくるかもしれません。
愛知県常滑市奥栄町1-130
開館時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:毎週水曜日(祝日の場合は開館)、年末年始
共通入館料:一般1,000円、学生800円、中高生500円、小学生250円
アクセス:常滑ICから車で約7分、常滑駅からバスで約10分、中部国際空港から約15分
駐車場:第1・第2、山の上、合わせて無料80台
レストラン営業時間:
平日 10:00 ~ 18:00(L.O. 17:15)
土・日・祝日 10:00 ~ 21:00(L.O. 20:00)
毎週水曜日(祝日の場合は営業)/年末年始
https://livingculture.lixil.com/ilm/
※時期により商品の仕様や品揃え、価格が変わる可能性がありますので、ご注意ください。
※営業については最新情報をご確認ください。
©Aya Yamaguchi
