海外旅行中に歯が痛くなった経験はありますか? お腹が痛い時にはお守り代わりに持っていた常備薬で助かったという方も、歯が痛くなったらどうして良いか分からないのではないでしょうか。
ついつい忘れがちなお口の中のこと。旅行先で歯が痛くなると、旅を存分に楽しむことができません。国によっては高額な費用が発生しますし、日本と同じような治療が受けられる保証もありません。
そこで今回は、タイのサムイ島で昨年一人旅を満喫してきたという歯科医師、郷田梨紗先生(渋谷メトロプラザ歯科)にお話を聞いてきました。
突然の歯の痛み。どうしたらいい?
-早速ですが、旅行中に歯が痛くなったらどうすれば良いでしょうか?
なかなか悩ましいですね。虫歯による痛みなのか、歯周病によるものなのかによっても全く違います。現地の歯科医院に行ったとしても言葉の問題から、症状を正確に伝えたり、説明を正しく理解したりするのが難しいことも。国によっては、日本と同じレベルの治療を受けることが難しい場合も多いですしね。
-正露丸を歯に詰めると痛みが軽減するというのは本当でしょうか? 用法・用量のところに「むし歯痛には、1~1/2粒を歯窩(むし歯の穴)につめてください」(大幸薬品ホームページより)と書いてありますが・・・。
効くこともあると思います。ただ虫歯が治ったり、進行が止まるわけではないので帰国したらすぐに歯医者さんに行ってくださいね。あくまでも応急的なものとして使用しましょう。歯周病による痛みの場合は、殺菌効果のある洗口液でうがいをすると痛みを軽減してくれることがあるかもしれません。
-旅行中に歯が痛くならないようにするにはどうするのが良いでしょうか?
やっぱり予防することが大切ですね。海外では歯の治療に高い費用がかかることもあります。毎日の歯磨き、フロスだけではなく、歯科医院で定期的にクリーニングを受けることがオススメです。虫歯、歯周病のチェックもして、もし見つかったら治療が必要です。症状にもよりますが、治療には時間がかかるので、旅行の1か月前には歯科医院にいらして欲しいです。そうすれば、歯科医師も余裕を持って治療計画を立てることができます。
-飛行機に乗ったら歯が痛くなったという経験をした方も多いようなのですが、関係はありますか?
関係がある場合もあります。先日も岡山大学の森田学教授が歯周病患者の痛みや腫れの症状に気温や気圧の変化が関係していることを発表されていました。
機内と機外の気圧変化が歯周病に悪い影響を与えて痛みを誘発する可能性があります。また旅行先との気温の変化が大きい場合も要注意ですね。
-旅行疲れも関係がありますか?
体力が低下したり、睡眠不足が原因で、歯周病が悪化することはあり得ます。旅行中は楽しくてついつい無理な日程をこなしたり、夜更かしをしがちですが、睡眠時間も確保して疲れをためないことが重要です。どんなにおいしいお酒を飲んで心地良くても、必ず歯磨きをしてから寝ましょう。ご自身が加入している旅行保険が、歯の治療に対応しているのかどうかを確認しておくのも大切です。
旅行好きの郷田先生、ご自身も日頃から歯のケアは欠かさないでいるとのことです。せっかくの旅行を台無しにしないために、毎日の歯磨きに加えて、定期的に歯科医院で予防のためのクリーニングを受けましょう。
[取材協力:渋谷メトロプラザ歯科]
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