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第三回目は、かつて世界最大のモーターシティとして栄えた「デトロイト」。栄華を極めながらも産業の衰退と人口流出によって2013年に財政破綻。現在でもゴーストタウン化が進み、失業率、貧困率ともに高く「全米で最も治安の悪い都市」と呼ばれています。
栄華と没落のモーターシティ
米国ミシガン州デトロイト。炭田・鉄山や水運に恵まれ古くから鉄鋼業が発達。1903年にフォード・モーター社のT型フォードの工場設立をきっかけに、GMやクライスラーも進出。全盛期には180万人を超える人口を有し、世界屈指の自動車産業の街として繁栄しました。
しかし1967年にアフリカ系アメリカ人による「デトロイト暴動」が生じたことによって、白人高所得者層が徐々に街を離れ始めるなど、影も差してきました。さらに1970年代に入ると燃費がよく、コストパフォーマンスに優れた日本車のシェアが拡大。より安価な労働力を求める企業は生産拠点を国外へ移転。人口流出が深刻となり、デトロイトの景気は悪化の一途をたどってしまったのです。
2009年、GMとクライスラー社の破綻によって、関連企業も次々と倒産。そしてさらに2013年にデトロイト市が財政破綻。180億ドル(約1兆8,000億円)もの負債を抱えました。ダウンタウンの工場やビルはそのまま放置されることに。
近年は自動車産業の復活に伴って経済を取り戻しつつあると言われますが、高所得者層は郊外の高級住宅街に暮らす傍ら、低所得者層や移民は依然ダウンタウンに居住。街は荒れる一方なのだそう。
デトロイトの観光地や郊外では高層ビルやショッピングセンターが並ぶ一方で、ダウンタウンでは至る所で廃墟を目にします。朽ち果てた住居は、かつての栄光と影を感じずにはいられません。
デトロイトの見所
ミシガン中央駅
1913年に建てられたミシガン中央駅。当時世界では最も高層の駅だったのだそう。国家歴史登録財に指定されるも、街の衰退によって1988年に閉鎖。映画のロケ地として使用されたこともあったのだとか。解体計画も出されたものの、資金不足を理由に中止。現在は巨大な廃墟となっています。
ルネッサンス・センター
ウォーターフロントにある超高層ビル群。オフィス、ホテル、ショップをはじめ、GM本社や日本領事館も入っています。デトロイトの中は貴重な安心・安全な場所なので、ゆっくりと楽しめます。
デトロイト美術館
古代エジプト美術から現代美術まで65,000以上の芸術品を所蔵する、デトロイト美術館。財政破綻によって収蔵品の売却の可能性も取り沙汰されましたが、国内外の財団や支援者の資金援助により免れたのだそう。
現在のところデトロイトは外務省からの注意喚起は発表されていませんが、暴力的強盗犯罪件数は全米一。廃墟となった工場や住居が並ぶエリアは治安が特に悪いのが現状。個人で訪れるのはあまりオススメはできないところです。
米国における自動車産業の栄枯衰退を表しているデトロイト。発展と崩壊の意味を改めて考えさせてくれる、特別な街なのかもしれません。
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