世界でも通用する日本語の単語のひとつ
「Sushi」や「Tsunami」など、そのまま世界でも通用する日本語の単語が増えてきました。そこに数年前から、「Ikigai」が加わったのをご存知でしょうか。そう、あの「生きがい」です。ただそれは、日本人が想像する「生きがい」に新たな解釈が加わり、「Ikigai学」とでも呼べるような哲学として世界に広がっていったのです。詳しくご紹介させてください。
世界でベストセラーになった「ikigai」
©︎Naoko Kurata
そもそも「Ikigai」という言葉が世界に広く知られるようになったきっかけは、一冊の本でした。スペイン人のFrancesc Miralles氏とHéctor Garcia氏(2004年より日本在住)が共著し、2016年春に出版された「ikigai」という本があるのです。欧州では早い段階で翻訳もされ、その斬新な内容が話題を呼びました。筆者の住むオランダでも2016年のうちに現地語に訳されベストセラーになっています。
その人気が世界規模に広がったのは、2017年夏。英語版の出版にあたり、イギリスのBBCや世界経済フォーラム (本部ジュネーブ)のブログで「ikigai」の考え方を取り上げたことが大きなターニングポイントとなりました(直接の本の紹介は無し)。それが追い風となり、「Ikigai」本の存在も広く知られるようになったのです。インスタグラムでも日々、世界中の人々が「ikigaiを読んだよ」と思い思いの画像をシェアし続けています。では一体何が、そこまで人々をひきつけているのでしょう。
「ikigai」を構成する要素たち
日本語を母語とする私たちは、「生きがいの言葉の意味」を深く考えたことはないのではないでしょうか。けれど外国には「生きがい」にぴったりくる訳語が存在しないため、「ikigai」著者たちは詳細にその考え方を解説しています。そして「そこを繋げるのか!」と日本人には斬新に見えるトピックも引き合いに出しているのです。
簡単に説明すると、「あなたが好きなこと」「世界が必要としていること」「報酬を受けられること」「あなたが得意なこと」が重なり合った中心に「生きがい」があると説いています。上の図は書籍の中にも描かれているのですが、このコンセプトが世界の人々を強く魅了したのです。
そして「ikigai」の著者たちは、「生きがいを持って生きる人々」の象徴として、沖縄の大宜見村のご老人たちを挙げています。大宜見村は自治体が「長寿の里」宣言をするほど、人々が元気に過ごしている村。その大宜見村の住人たちが元気に生き生きと過ごす様子を「ikigaiを持って生きる姿」の理想とし、「そのように健康に歳を重ねる秘訣」として「腹八分」「さんぴん茶」(沖縄で人気のお茶)なども本文中で挙げているのです。日本人には「生きがい」と「健康」はなかなか結び付かない概念ですが、確かに健康でないと精いっぱい生きるのが大変になりますよね。この本の指摘で、改めて気づかされました。
世界に広がった「ikigai」は、日本人の考える「生きがい」とは少し異なりますが、好意的に世界に迎え入れられました。「ikigaiの国=日本」というイメージを裏切らないためにも、日々生き生きと過ごしていきたいですね。
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[Ikigai: A Japanese Concept to Improve Work and Life]
[Is this Japanese concept the secret to a long, happy, meaningful life?]
[Instagram / ikigaibook]
[長寿の里 / 大宜味村]