【実は日本が世界一】高低差83.4cm!最短のエスカレーターは川崎の地下に

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Aug 17th, 2022

日本にある意外な世界一を紹介するTABIZINの連載。今回は、ギネス世界記録にも掲載されている意外な世界一を紹介します。

エスカレーターに乗る人
Shutterstock.com

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世界一の短さを誇る川崎のエレベーター

JR川崎駅前
picture cells / Shutterstock.com

皆さんの家の近所にある特徴的なエスカレーターといえば、どんなエスカレーターがありますか? 昇降機事業の健全な発展を目指す一般社団法人日本エレベーター協会によると、香川県丸亀市の遊園地「NEWレオマワールド」には長さ96m・高低差42mのエスカレーターがあるそうです。

大阪にある梅田スカイビル空中庭園展望台へのエスカレーターや、北海道の札幌ドームにあるエスカレーターには、空を散歩しているような気分になれるエスカレーターもあるとのこと。

富山県に暮らす筆者にとっての特徴的な事例は、富山駅前にある商業ビル「マリエ富山」の入り口にある短いエスカレーターでしょうか。

段差にして8段くらしかありません。所要時間も8秒くらいなので「なんであるの?」といった感じです。しかし、エスカレーターの短さでいえば、まだまだ上がいて、世界一の短さを誇る場所が日本にはあるそうです。

神奈川県川崎市にある商業施設「川崎モアーズ」と「川崎アゼリア」を結ぶ地下連絡通路「プチカレーター」(愛称)ですね。

ギネス世界記録でいまだ破られない記録


Wikipediaより)

プチカレーターの短さはすさまじいです。段数はわずか5段。垂直方向の高さの変化は83.4cm。安全面を考慮し、速度を落としての運転なので、所要時間は8秒間となっていますが、「The shortest escalator」として1989年(平成元年)10月にギネス世界記録に認定されています。

2022年8月時点で、ギネスワールドレコーズ社の公式サイトに掲載されています。まだ、この記録は破られていないようです。

エスカレーターのメーカーは日立製作所で、異なる階を移動する際の高低差を垂直で測った83.4cmの記録が世界で最も短いと認定されました。

そもそも、どうしてこんなに短いエスカレーターになったのか、川崎モアーズの公式サイトにその背景が書かれています。

川崎アゼリアの地下通路が川崎モアーズの地下1階・2階のちょうど間に位置してしまったので、その高低差を解決する手段としてエスカレーターを設置し、結果として世界最短になったのだとか。

エスカレーター+階段という不思議な構造


JR川崎駅東口 川崎アゼリア入口 2011年4月撮影(Wikipediaより)

ただ、プチカレーターには疑問点もあります。川崎アゼリアと川崎モアーズを結ぶ地下連絡通路は、階下から階上へ移動する場合、階段(5段)+踊り場+エスカレーター(5段)となっています。

その真横には、階段(5段)+踊り場+階段(5段)もあります。どうして途中まで階段であり、途中からエスカレーターなのでしょうか。

うがった見方をすれば、記録をつくるために途中から階段を組み合わせたようにも見えます。

しかし、実際は違います。川崎市の公式サイトにも背景が書かれていて、当初は、1本の長いエスカレーターを当たり前につくる予定だったのだとか。

工事着工後に床下に1本のはりが通っていると判明すると、工事断念の議論が起きます。最終的には、エスカレーター+階段(踊り場も)という不思議な構造になりました。その偶然が、結果として世界一の記録を生んだのです。

一度、足を運んで記念撮影し、SNS(会員制交流サイト)などで友達に自慢するのもよさそうですね。

[参考]
プチカレーター (ぷちかれーたー) – 川崎市

Shortest escalator – Guinness World Records

プチカレーター – 川崎モアーズ

おもしろ図鑑(ずかん) – 一般社団法人日本エレベーター協会

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PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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