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コリアンタウン以外の新大久保
新大久保といえば韓国! ……ですが、いまは多国籍な街になっていることをご存じでしょうか? 東南アジアや南アジアの人々が行きかい、多様な文化やご飯を楽しめる場所なんです。
その出発点はJR山手線の新大久保駅。改札を出て東(つまり写真では左)に進むと韓流女子があふれかえるコリアンタウンですが、今回は西側(写真では右)に行ってみましょう。
新大久保多国籍エリアの中心地「イスラム横丁」
大久保通りを渡ってマツモトキヨシの角を北に曲がると、そこは新大久保多国籍エリアの中心地。通称「イスラム横丁」と呼ばれている一角です。
「イスラム横丁」という名前の通り、ハラル食品(イスラム教の人々が食べられるもの)を扱う食材店がいくつも並んでいます。店内をのぞいてみれば、スパイス、調味料、米や豆、お菓子、それにシャンプーやせっけんなど現地の雑貨もいろいろ。
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店員もお客も彫りの深い南アジア系の人々が中心ですが、話してみれば日本語は通じるし、みなさんフレンドリー。スパイスの使い方やおすすめの食材など、何でも親切に教えてくれます。
また「イスラム横丁」と呼ばれてはいますが、イスラム教徒ではないベトナムのレストランもあるし、ネパールの居酒屋や食材店、タイマッサージ、中華系の美容室なんかもあって実に多様。アジアをごった煮にしたようなごちゃごちゃ感こそが、新大久保の面白さです。
新大久保駅から大久保駅の間に並ぶ多国籍な店
大久保通りに戻って、西に歩いてみましょう。新大久保駅から大久保駅の間の300mほどの間にも、多国籍な店が点在しています。
ビル丸ごと中華食材や中国の書籍なんてところもあるし、不動産屋でも扱う物件は外国人も歓迎。だから住むだけでなく、ここでビジネスをしようとたくさんの外国人が集まってくるのです。
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「ドン・キホーテ」や「業務スーパー」といったおなじみの店もありますが、ここもやっぱりアジア食材がとっても充実しているんです。とくにドンキの品ぞろえは専門店並みで、いつも近隣に住むアジア系の外国人でにぎわっています。
大久保通りから南北に伸びる路地の中にもさまざまなスポットが。とくにネパールが目立つでしょうか。レストランや食材店だけでなく、サリーやアクセサリーを売る店もあれば、旅行会社や、子どもたちの通う小さな学校まであります。
もともと民家や別の飲食店だったところを居抜きで流用しているところも多く、なんだか不思議なたたずまいを見せています。
歩いていて印象的なのは、やっぱり独特のゴチャ感でしょう。日本の八百屋の中でネパールの総菜が売っていたり、その隣が中国の鴨専門店と回転寿司で、上階が朝鮮族のレストラン……そんな場所が新大久保にはいくつもあります。
ベトナムと中国どちらの食材も扱う店があったり、狭い一角にトルコのケバブ屋とベトナムカラケとネパールレストランが同居していたり。
新大久保の多国籍化が進んだ理由
どうしてこれほどの「多国籍化」が進んだのでしょうか?
理由はたくさんあります。
昭和初期から留学生を受け入れる施設があったこと。戦後に移り住んできた韓国・台湾の人々がいたこと。高度経済成長期には、お隣の歌舞伎町で働く外国人が増え、その人々の「ベッドタウン」になったこと。1980年代からは日本語学校が急増したこと……。
新宿からすぐそばという便利な立地もあって、いつしか新大久保の多民族化は進んでいきました。
近年では、この街にビジネスチャンスを求めてやってくる外国人が急増しています。また週末には、遊びにやってくる外国人でにぎわいます。
ここで買い物をし、故郷に送金をして、それから友達と食事に……徒歩圏内に、食材店からレストラン、送金会社など外国人の暮らしに必要なものが何でもそろっている新大久保は、実に便利な場所なんです。
それに新大久保には、コミュニティとなっているお寺もいろいろあります。「媽祖(まそ)」という台湾の神さまを祀る廟や、ヒンドゥー教のお寺、イスラム教のモスク、もちろん日本のお寺も神社もあって、祈りの姿もまた多様。
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新大久保駅から大久保駅にかけて、あちこち見たり食べたりしながら歩いて半日くらいでしょうか。コリアンタウンのほうも楽しいですが、ときには駅を出て左側に行ってみて、アジアの熱気に触れてみてはどうでしょうか。
[All photos by Hirokazu Murohashi]
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murohashi ライター
1974年生まれ。週刊誌記者を経てタイに移住。現地発の日本語情報誌に在籍し、10年に渡りタイ及び周辺国を取材する。帰国後はアジア専門のライター、編集者として活動。「アジアに生きる日本人」「日本に生きるアジア人」をテーマとしている。現在は日本最大の多国籍タウン、新大久保に在住。外国人コミュニティと密接に関わり合いながら取材活動を続けている。
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