【実はこれが日本一】日本最初の公園は東京で一番低い山にあった

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Oct 4th, 2022

日本一高い山は「富士山」、日本一大きな湖は「琵琶湖」、日本一高いタワーは「東京スカイツリー」など、有名な日本一はいろいろありますが、あまり知られていない、ちょっと意外な日本一を紹介するシリーズ「実はこれが日本一」。今回は、日本で最初に誕生した公園について紹介します。

飛鳥山公園の花見
NTRdesign / Shutterstock.com
 


 

日本の公園の歴史は明治時代に始まる


歌川広重『名所江戸百景』より「飛鳥山北の眺望」。飛鳥山は江戸きっての花見スポットのひとつであった(本文参照)image by 歌川広重(Wikipediaより)

皆さんの家の近くにも、大小さまざまな公園があると思います。そもそも公園とは辞書で調べると、公衆のために設けられた庭園・遊園地を言うそうです。

ただ、百科事典を読むと、日本の公園の歴史は明治時代に始まるとのこと。そもそも公衆のために設けられる、いわば、民主的な施設の公園が、江戸時代に生まれるわけがないからですよね。

もちろん、江戸・京都の近郊に、庶民も楽しめる景勝地や遊覧の場所などはあったようです(この後に登場する公園も庶民に開放されていた)。しかし、現代人の発想で言う公園は、鎌倉時代から続く封建制度が終わる明治維新を待たなければいけなかったのですね。

明治初期に東京で5つの公園が認定された

飛鳥山公園
飛鳥山公園 image by ↑PON(Wikipediaより)

では、日本最初の公園は具体的に何年に、どこで最初に誕生したのでしょう。

ヒントは、明治初期の東京です。1つの公園が誕生したというよりも、1872年(明治5年)、東京で5つの場所が公園として指定されました。

具体的には、上野公園・芝公園・浅草公園・深川公園・飛鳥山公園です。

いずれも有名な公園ですが、この中で飛鳥山公園だけはちょっと知名度が低いかもしれません。下手すると、奈良県かどこかにある公園だと勘違いしてしまいますが、実際は、東京の北区にあります。

周辺の人には古くから愛される桜の名所ですね。筆者の友人も近所に暮らしています。

飛鳥山公園の花見
出典:国立国会図書館「写真の中の明治・大正」

そもそも飛鳥山公園は、江戸時代に8代将軍の徳川吉宗が桜の苗木を植え、整備を始めた歴史を持ちます。

江戸庶民にはその後一般開放までされた、ある意味で「公園」としての役割を初期から果たしてきた珍しい場所のようです。当時としては、ほかの桜の名所で禁止されていた酒宴や仮装も認められた、画期的な行楽地だったとか。

江戸時代のみならず、公園に認定された明治時代にも、桜の名所として多くの人に親しまれてきました。国立国会図書館の所蔵写真帳を見ると、1900年(明治33年)に和装姿で花見する人たちの白黒写真が確認できます。

東京で一番低い山にある公園

飛鳥山公園のモノレール
kuremo / Shutterstock.com

この飛鳥山公園、日本最初の公園以外にも、もう1つのユニークな記録を保持しています。公園の名前からもわかるように、山につくられた公園で、標高は25.4mになります。

この飛鳥山が実は、東京で一番低い山とされています。「山登り」の手段として延長48mのモノレールまで走っています。

残念ながら、このモノレールの短さまで日本一というわけにはいきませんが、いろいろユニークな歴史と特徴を持つ公園です。

普段は東京に暮らしながら、なかなか北区の方に足が向かない人も、日本一・東京一の公園を見に、足を運んでみてはいかがですか? 3つの博物館と庭園が公園内にはあります。モノレールにも乗れます。楽しみの幅は広いですね。

[参考]
飛鳥山公園モノレール「あすかパークレール」と「アスカルゴ」 – 東京都北区まちづくり部 工事課・道路公園課
飛鳥山モノレール(あすかパークレール)「アスカルゴ」 – 飛鳥山3つの博物館
飛鳥山公園(東京都) – 嘉穂製作所
飛鳥山公園
飛鳥山の桜狩 – 国立国会図書館

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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