福山城 写真提供:広島県
日本一駅から近い天守閣
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意外な日本一を紹介するTABIZINEの連載の中で、鉄道や城のテーマにした日本一を取り上げると、多くの読者が読んでくれる傾向が見られます。
そこで今回は、鉄道と城の両方に関係した日本一を紹介します。ずばり、日本一「駅チカ」の城はどこかという話です。
復元であったとしても、天守閣(城郭の本丸にある最大のやぐら)のあるお城では、日本一「駅チカ」のお城は、広島県東部の福山市にある「福山城」だといわれています。
『日本の城がわかる事典』(講談社)によると、1622年(元和8年)に完成、山陽道と瀬戸内の海路を押さえる土地に、徳川家康の従兄弟である水野勝成が築城しました。
明治時代に出された廃城令と、第二次世界大戦の空襲を経て、お城の大部分は失われましたが、現在の天守閣は、1966年(昭和41年)に復元されています。
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この福山城は、JR山陽新幹線・山陽本線の福山駅前にあり、駅自体は、かつて三の丸だった場所につくられています。まさに「駅チカ」のお城ですよね。その近さは、
<日本一 駅から天守閣が近い城>(福山市のホームページより引用)
と、地元の自治体が宣言するほど。
ただ、明治時代に駅をつくる段階で、地元のシンボルともいわれた福山城の石垣を壊し、内堀を埋め立てる必要があったため、地元の人たちからは反対の声が上がったようですね。
駅と共存する天主台
天守閣のない城では、日本一の「駅チカ」城はどこになるのでしょう? 公益財団法人日本城郭協会公認のウェブサイト「城びと」によれば、同じ広島県の三原市にあるといいます。
三原市は、先ほどの福山市から見て、西隣の尾道市のさらに西側にある自治体です。この三原市中心部にある「三原城」が、天守台のないお城としては日本一の「駅チカ」城だとされています。
私の確認した紙の地図では「三原城跡」という表記が三原駅の「近く」に確認できました。しかし実際は「近く」どころか、三原城に乗り上げるような形で駅がつくられています。
「城びと」に寄稿した城郭ライターの萩原さちこさんの言葉を引用すれば、
<“駅に近い”というより“駅と共存している”>(「城びと」より引用)
状態です。
三原市によると、とにかく昔は、広大な敷地を誇るお城だったそうで、その広い敷地の一部に駅が乗り上げる格好でつくられたのですね。
三原城に天守閣はありません。しかし、天守閣を支えていた天守台(現地の表記は天主台)はあります。駅から見れば、ちょっと出っ張った場所に張り出す屋上テラスのような形で、天主台が存在しています。
このお城は、1567年(永禄10年)、毛利元就の三男である小早川隆景によって築城が始められ、かつては、「浮城(うきしろ)」と呼ばれたそう。周囲が埋め立てられており、今でこそわかりづらいですが海が近く、満潮時には、海の中に浮かんで見えたからですね。
今では、その浮城に駅が乗り上げているという不思議な光景を眺められます。
国土を埋め立て、その埋め立て地を一直線に分断する鉄道を、お城の上にでもいいから欲した日本人の当時の精神性が、ちょっとだけ見える気がします。
以上が、日本一「駅チカ」のお城になります。旅の途中に駅前で時間を持てましたという場合は、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。
[参考]
※ 入封400年記念シリーズ(10)日本一 駅から天守閣が近い城 – 福山市役所
※ 9月2日【ぶら探訪】「福山城跡の破壊度を検証する」に参加しました – 備陽史探訪の会
※ 第5回 三原城 浮城と呼ばれた、日本一の“駅近”城 – 城びと
※ 三原城跡 – 三原市